
訳アリ女3人組が繰り広げる、痛快逃亡劇の結末は……?
スペイン発大人気クライム・ドラマ『ペーパー・ハウス』のクリエイター、アレックス・ピナによる待望の新シリーズがNetflixにて独占配信中。
2021年3月19日にスタートしたNetflixオリジナルシリーズ『スカイ・ロッホ -赤い空の向こうに-』(シーズン1・全8話)。1話あたり約30分という程よい長さながら、各話の内容は濃厚。
シーズン2の配信が既に決定済みだ。
あらすじ
世界中の女性を騙して、ほぼ人さらい同然の手段で働かせているスペインの娼館“花嫁クラブ”。
そこで働く娼婦ジーナ、コーラル、ウェンディが本作の主役だ。
過酷な労働環境の中で、3人の友情は恋人以上・家族以上に強固なものとなっていた。
元締めのロメオは、娼婦たちの弱みに漬け込み、限界まで搾取しようとする。何かと理由をこじつけて店に対する借金を負わせ、娼婦が辞めようとすると故郷の家族に危害を加えると脅すのだ。
卑劣な脅しに激昂したジーナは、ある日ロメオを鈍器で殴ってしまう。反撃してきたロメオに殺されそうになるジーナを、異変に気づいたコーラルとウェンディが助ける。
3人は協力してロメオを倒し、車で逃亡する。
見どころ
スタイリッシュな映像に、情熱的なスペイン音楽の組み合わせは、他の海外ドラマにはない独特の魅力を醸し出している。
冒頭の悲惨な状況の段階からなぜかワクワクするのは、これから怒涛の反撃が行われる予感がするからだろう。
使えるものは何でも使う、逞しくしたたかな3人。
悲しみも怒りも、爆発させた後はあまり尾をひかない。
どんなにつらい境遇でも、明るさと優しさを失わない強い人がいるものだが、この3人もまさにそう。
娼婦に対する偏見や差別は社会全体に根強く残っているが、本作では、社会のどんなところにも正義と優しさは存在することが強調されていると感じた。
「やられっぱなしの、悲劇のヒロインのままでいられるか」という3人の気迫も、本作をさらに面白いものにしている。
娼婦目線から見た男性の性欲に対する赤裸々な本音も綴られているので、男性が観ると夢から覚めて現実を突きつけられたような気持ちになり、ションボリとしてしまうかも。
クライム・サスペンスだがコメディぽいシーンも多々あり、重々しく深刻になりすぎない“抜け感”がなんだかオシャレな作品だ。
Netflixオリジナルシリーズ『スカイ・ロッホ -赤い空の向こうに-』独占配信中
文/吉野潤子