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未開拓の宇宙への入り口「成層圏」が新たなフィールドに!世界で動き始めた気球による宇宙旅行ビジネス

2021.04.04

宇宙旅行というとどんなイメージを持たれるだろうか?今までに宇宙へ行った人は、宇宙航空研究開発機構JAXAによると2020年8月14日現在、世界各国で566名になるという。この多くは、アメリカ航空宇宙局NASAやJAXAなどの世界各国の宇宙機関などで選抜された宇宙飛行士だ。しかし、この中には、民間の宇宙旅行者も含まれている。例えば、2001年4月、世界初の宇宙旅行者となったデニス・チトー氏をはじめ数名存在する。このようにまだまだ、民間の宇宙旅行者というのは、少ないのが実情だ。

しかし、世界各国のベンチャーなどを中心とした企業は、宇宙旅行へのビジネスを着々と進めている。実現するのもそう遠くない将来だと感じる。今回は、宇宙旅行とは何か、そしてその中でも成層圏をビジネスのフィールドとした気球による旅行についてフォーカスしたい。

成層圏から見る地球や宇宙も

「宇宙旅行」ってなに?

宇宙旅行とは、その字のごとく、宇宙へと旅行することである。では、宇宙とはどこからが宇宙なのだろうか? 実は、世界一般的な共通認識としては高度100km以上を宇宙と定義している。これは、国際航空連盟によって定められたものとされているが、ただ、米空軍などは、高度80km以上を宇宙と定義している。連盟では、この定義について現在でも調査や議論が行われている。https://www.fai.org/news/statement-about-karman-line

では、宇宙旅行にはどの様な種類があるだろうか。まず、サブーオービタル旅行がある。サブオービタル旅行とは、ロケットなどの輸送機で上昇し、高度100kmまで到達するというもの。トータルの旅行時間は、90分程度であるが、高度100kmには数分程度滞在でき、無重力空間を体験しながら、宇宙からの地球や星などの景色を眺めることができる。

また、宇宙ホテル滞在というのがあるだろう。上記で紹介したデニス・チトー氏は、国際宇宙ステーションISSに滞在した例であるが、宇宙空間に浮かぶ居住空間に滞在するという観点では、宇宙ホテル滞在と分類しても大きくは間違っていない。これは、地球の周りや月の周りでも当てはまるだろう。他にも宇宙船外旅行というものも宇宙旅行の一種と言えるのではないか。宇宙飛行士は、宇宙ステーションの外へと出て宇宙船外活動EVAを実施する。この際、重厚感のある船外宇宙服を着るのも特徴だ。これをエンターテインメントの分野として実施する、そんな旅行だ。他には、月や火星に作られた都市などに滞在する旅行も未来にはありえるだろう。

成層圏をビジネスフィールドとした気球による宇宙旅行

前節で宇宙旅行について紹介した。しかしながら、さらに宇宙旅行に分類したい旅行がある。それが、成層圏へと気球で向かう旅行だ。読者の中には、成層圏だから宇宙じゃないだろうと思う人もいるかもしれない。しかしながら、成層圏はおおよそ高度20〜30kmで、普段航空機が飛行している高度10kmの2~3倍の高度まで行くことができ、そこからの眺めは宇宙へ到達したかのような感覚になるはずだ。

世界では、このフィールドをターゲットにした企業が存在するのだ。

中でも、一番先に紹介したいのは、日本のSpace Balloonという企業だ。すでに関東沖で気球飛行実験にも成功していて、近い時期に有人飛行実験を目指しているという。茨城県の大洗町の広大な砂浜海岸には、「スペースポートIBARAKI」という宇宙港を立ち上げる構想もあるのだ。

Space Balloonと大洗町の宇宙港「スペースポートIBARAKI
(出典:Space Balloon)

他にも世界には、アメリカのSpace PerspectiveWorld View、中国のKuangChi Scienceなど成層圏旅行を手掛けようとする企業がある。Space Perspectiveについて詳しく紹介すると、Space Perspectiveの人が乗り込む以下の宇宙船カプセルの名はNeptune。海王星の意味だろう。地上のロンチパッドで気球により宇宙船Neptuneは上昇していく。あえてリフトガスにはヘリウムは使わず、水素を使うという。ヘリウムは、医療用など様々な用途があり貴重だからだ。水素という空気よりも軽く、世界のバールンで活用されていることが理由だ。このNeptuneには、パイロット1名と8名の乗客を乗せることができる。高度20〜30kmの成層圏まで上昇し、そこで2時間浮遊しながら、360度のパノラマ景色を楽しむことができる、そんな旅行だ。Neptuneは、トイレも設置されていて、地球との通信も可能という。緊急事態に備えて、バックアップのパラシュートも備えている。地球へと戻る際には、海へと着陸し、船によって回収される。

Space Perspectiveの成層圏に達した宇宙船カプセルNeptuneのイメージ
(出典:Space Perspective)

気球による宇宙旅行が、一番ニーズの高い旅行かも!?

繰り返しになるが、成層圏に向かうこの旅行は厳密には宇宙旅行ではない。しかし、なぜ、筆者は、この旅行が宇宙でなく、成層圏であってもニーズの高い旅行となるのではないか、そんなことを感じている。その理由について述べたい。

まず、安全性が挙げられる。この気球による成層圏旅行は、リフトガスを使って浮いていく旅行だ。リフトガスが水素の場合、爆発の危険性はあるかもしれないが、ヘリウムという安定な希ガスを使うケースもある。カプセルはロバストに作られており、緊急時にはバックアップパラシュートがつけられ安全に地球へと帰還することができるのだ。ロケットなどは、今では打ち上げ失敗数は減ったが現在でも100%の打ち上げ成功率とはなっていないのだ。

他にも、人の訓練が不要であることも大きい。宇宙旅行では、NASAやJAXAの宇宙飛行士が受ける訓練とは全く異なるが、ある程度の訓練が必要と言われている。ロケットなどの輸送機からの振動や様々なGに耐えなければならないので、ある程度健康な人に限定される可能性もあるのだ。しかしながら気球による成層圏旅行はこの点に関してはフリーなのだ。

また、気になるのは価格だろう。サブオービタル旅行の費用としてVirgin GalacticやBlue Originなどは1000万円〜2000万円台の価格帯となるようだ。もちろん、もっと高い価格を提示している企業もある。これよりも低価格なのが、気球による成層圏旅行だ。World Viewは700万円台の価格を発表しているし、Space Perspectiveは1300万円台を発表している。

他にも、宇宙へと行かなくても、成層圏からの眺めは宇宙へ到達したかのような感覚になるはず。無重力体験はできないが、できないからこそのメリットもあるのだ。2、3時間、成層圏に滞在することができるので、気軽にパーティーや結婚式、披露宴なども開催できるのだ。このようなメリットがあるため、気球による成層圏旅行は、ニーズが高いのではないかと予想している。

文/齊田興哉
2004年東北大学大学院工学研究科を修了(工学博士)。同年、宇宙航空研究開発機構JAXAに入社し、人工衛星の2機の開発プロジェクトに従事。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は各メディアの情報発信に力を入れている。

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