
オリックスカーシェアが5年連続で総合満足度第1位
コロナ禍の影響で日本の「カーシェアリング事情」にも変化が起きている。「J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス顧客満足度調査℠」の結果を見ると、カーシェアの利用目的では「旅行」が33%と最も多いものの、前年調査(2020年3月発表)と比べて-8ptの減少となっている。
コロナ禍における自粛ムードの中、年に数回の旅行の際に、といった用途でカーシェアを利用していたユーザーが減少していることがうかがえる。一方で「近隣での日常的な買い物」や「郊外や遠方での買い物」、「荷物の運搬」、「家族などの送迎」といった日常使いでの利用割合は増加となった(図1参照)。
新型コロナウイルスの収束がこの先も不透明な中、日常生活の移動手段としてのカーシェア需要は今後も高まっていくことが想定されるが、旅行時の移動手段としての需要回復にはまだ時間がかかると推察される。
利用者はマイカー保有者と非保有者に二分、マイカー非保有者の今後の利用意向は高いが満足度には課題
カーシェアリングサービス利用者における自家用車の保有状況を見ると、半数が自家用車(マイカー)を保有しているユーザー、半数がマイカーを保有していないユーザーに二分される結果となっている(図2参照)。マイカー保有ユーザーにおけるカーシェアの利用理由として、「自家用車は家族などで共有していて、車を使いたいときに使えないときがあるため」が最も多く挙がっており、日常生活における2台目需要の代替という側面も見られる。
マイカー有無別に今後のクルマに関する意向を見ると、マイカー保有者では「この先はクルマを持たずにカーシェアを利用できればよい」という回答が14%に対し、マイカー非保有者では半数以上が「この先もクルマを持たずにカーシェアを使いたい」という結果となった(図3参照)。
マイカーを保有する代わりにカーシェアリングサービスを使い続けたいというユーザーは多いと言える。
しかし、マイカー保有者と非保有者におけるカーシェアリングサービスの満足度を比べると、マイカー非保有者の満足度は総じて低い結果となっている。このような層は、買い物等の日常シーンでカーシェアを利用するケースがより多く、利用頻度も高い傾向にある。
7割前後のユーザーが「空車がみつからず、利用をあきらめた」、「利用したいステーションに空車がなく、違うステーションで探さなければいけなかった」というストレスを経験しており、今後の期待としても「ステーションの増加・エリアの拡充」を挙げる傾向も高い。
今後カーシェアリングサービスが「クルマを持たなくてもよい」というユーザー層からの期待にも応え、マイカー保有の代替サービスとしての位置付けを高めていくためには、現状以上のステーションや車両の増加が必須とも言える。加えて、モバイルアプリやウェブサイトからの予約時の不満点として、「希望条件(時間・場所・車種)に合う車両を検索しづらかった」という指摘が25%以上あがっており、4人に1人は予約ツールが使いにくいと感じている結果となっている。
高頻度でカーシェアを利用するユーザーほど、使いたい時に手軽にすぐに予約手続きができるといったことへのニーズは高いと考えられる。予約アプリを中心としたユーザビリティの更なる改善もこの先求められるだろう。
総合満足度ランキングは下記の通りとなった。
第1位:オリックスカーシェア(695ポイント)
5年連続の総合満足度第1位。「各種料金」「サービスメニュー」「車両」「予約」「コールセンター」の全ファクターで最高評価。
第2位:タイムズカーシェア(682ポイント)
第3位:カレコ・カーシェアリングクラブ(677ポイント)
J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス顧客満足度調査℠概要 》
年に1回、国内のカーシェアリングサービス*利用者を対象に、カーシェアリングサービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今年で5回目の実施となる。
*カーシェアリングサービス事業者が車を貸す企業提供型カーシェアリングサービス
実施期間:2021年1月
調査方法:インターネット調査
調査対象:半年以内に日本国内でカーシェアリングサービスを利用した18~64歳男女
回答者数:1,742人
構成/ino.
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