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10年前とは違う!欧州組の強行招集とJリーガーの奮起が生んだサッカー日韓戦の圧勝劇

2021.03.27

Etsuo Hara / Getty Images

 2020年Jリーグベストイレブンの山根視来(川崎)の先制弾に始まり、鎌田大地(フランクフルト)の豪快な2点目、そして終盤にはドイツ・ブンデスリーガのデュエル王・遠藤航(シュツットガルト)の3点目。3月25日に横浜・日産スタジアムで行われた日韓戦で、日本代表は宿敵・韓国代表を3-0で撃破。ホームで10年ぶりの勝利を飾った。

必勝体制を整えた大きな意味のある一勝

 香川真司(PAOK)の2発と本田圭佑(ネフチ・バクー)のゴールで圧勝した札幌ドームでの歴史的勝利から10年。その後の日本は分が悪かった。2013年東アジア選手権(現EAFF E-1選手権=韓国)では柿谷曜一朗(名古屋)の2発で勝ち切ったものの、2015・17・19年のE-1では2試合連続未勝利。17年は1-4、19年は0-1で連敗している。仮に今回も負けるようなことがあれば、森保一監督の解任論が再燃しかねない状況だった。それを回避し、2022年カタールワールドカップ(W杯)最終予選・本大会に弾みをつけたのは、非常に大きな意味がある。

 もちろん得点した3人は素晴らしかったが、今回の勝因を考えると海外組の主力を呼べたのが大きい。日本はキャプテン・吉田麻也(サンプドリア)を筆頭に、大迫勇也(ブレーメン)、南野拓実(サウサンプトン)、遠藤航ら海外組9人を招集。21日にセリエA・トリノ戦があった吉田とポルトガルの離島・アゾレス諸島からの移動を強いられた守田英正(サンタクララ)に関しては、チャーター便を使って帰国させるというウルトラCまで敢行。日韓戦必勝体制を整えたのだ。

「月曜日までに日本に入らないといけなかったんですけど、(夜の)11時半くらいにギリギリに羽田に入って、僕ら以外の飛行機は飛んでいなかったので、空港職員のみなさんに待機していただいて、何人もの型が僕のために働いてくださった。そういうのも含めて結果を出さなければいけなかった」と吉田は神妙な面持ちでコメントしていた。

 今回の代表戦開催に向けての入国特例は「試合3日前までの入国」が必須。23時半に到着しても、入国審査を終え、PCR検査陰性確認が取れなければ、「22日中の入国」とは認められない。PCR検査も即座に結果が出るように体制を敷いていたのだろう。

 韓国の方はソン・フンミン(トッテナム)、ファン・ヒチャン(ライプチヒ)ら主力を呼べなかったが、クラブが許可しなかったことだけでなく、そこまでの対応は取れなかっただろう。「コロナ禍で試合前の準備」で日本は勝っていたことになる。

 ここからU-24アルゼンチン2連戦(26・29日=東京・北九州)、30日のカタールW杯2次予選・モンゴル戦(千葉)、4月8日のなでしこジャパンのパラグアイ戦(宮城)、11日のパナマ戦(東京・国立)と国際試合が続くが、毎回これだけの特別措置ができるわけではないだろう。コロナが今後どうなるか分からないが、世界中にワクチンが行き渡るには数年かかる見通しで、再拡大が何度かやってくるかもしれない。となれば、今回のノウハウが役に立つ時は必ずやってくる。合宿中のホテルで国内組・海外組の滞在フロアを分けたり、食事会場や移動バスを別にするといったアプローチも含め、先々に生かしてほしい。

Jでも高い意識を持ち続ければ、そん色ないプレーができることを示した佐々木、山根

 しかしながら、最終予選や本大会時も呼べない人間が出てくる可能性もゼロではない。そうなった時、必要不可欠なのが、分厚い選手層に他ならないい。

 今回の日韓戦を例に取ると、長友佑都・酒井宏樹(ともにマルセイユ)のフランス勢が招集不可となり、佐々木翔(広島)と山根が両サイドバックに抜擢された。

 森保ジャパン発足時から名を連ねる佐々木は2019年アジアカップ(UAE)も経験していて、指揮官の戦術やサッカースタイルを理解していたからよかったが、山根の方は全くの無印。年代別代表経験も皆無で、一緒にプレーしたことがあるのはスタメンでは守田くらい。それでも伊東純也(ゲンク)といい距離感でタテ関係を形成し、川崎同様の攻撃参加を披露。先制弾を叩き出すに至った。さらに守備面でも吉田のフォローもあって高い強度を前面に押し出した。

「この活動の一発目に麻也くんからJリーグでいつも行っている1.5倍くらいの力で行かないとダメだと言われていたので、そういうパワーで行きました。僕自身、球際とかは湘南(ベルマーレ)時代にチョウ(・キジェ=現京都)監督に口酸っぱく言われていたので、それを出すだけだった。湘南時代にやっていたことは間違いなかったんだなっていうのはひとつ証明できたと思います」と本人は神妙な面持ちで話したが、大舞台でいきなり結果を出す選手が出てくるのは頼もしい。

 ボランチの守田にしても「柴崎の代役」という印象ではなく、「遠藤と並ぶ主力」というインパクトを残したのが大きかった。彼ら川崎勢は2020年Jリーグ・天皇杯2冠の立役者で、ベストイレブンにも名を連ねている。国内で力をつけ、国際舞台でもそのまま相手を凌駕する力を発揮できる状況は日本サッカー界全体にとってもプラスだ。もちろん海外にいた方がデュエルや相手のフィジカルコンタクト含めて圧倒的に強いため、日常的にその環境でやっていた方が有利だが、Jでも高い意識を持ち続ければ、そん色ないプレーができることを彼らが示した。これはJリーガー全体に刺激になりそうだ。

 こういった新顔の台頭に、U-24世代も刺激を受け、躍動しなければならない。所属先で試合出場機会の少ない三好康児(アントワープ)、食野亮太郎(リオ・アヴェ)、久保建英(ヘタフェ)に比べると、Jで異彩を放つ三笘薫や旗手怜央(ともに川崎)、今季3ゴールの田川亨介(FC東京)らの方が研ぎ澄まされたパフォーマンスを見せることも十分あり得る。そうやって選手層がどんどん向上していけば、コロナで招集見送りになる者が出たり、クラスター発生で複数人が離脱した時も安心して国際試合に挑めるようになる。

 もちろんベストメンバーをつねに集められるように、日本サッカー協会としては海外組がプレーする国やクラブとの連携を密にし、多少のムリも聞いてもらえるような関係作りをしておくことも重要だ。それを続けていても、今回のように厳しい防疫を講じているフランス勢やコロナ陽性者が出た原口元気・室屋成のハノーファー勢、シュミット・ダニエルらシントトロイデン勢のようなケースが出ることは覚悟しなければいけない。万が一に備え、できることは全てやる。今回の3月代表ウイークがその一歩と言えるだろう。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

 

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