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いよいよ始まる4キャリアの新料金プラン、20GB=2000円台の戦国時代を勝ち抜くのはどこ?

2021.03.27

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はドコモ・au・ソフトバンクから出そろった新料金プランについて話し合っていきます。

※新型コロナウイルス対策を行っております

ソフトバンク「LINEMO」はインパクト不足?

房野氏:ドコモ、au、ソフトバンクから20GB/月をベースとする新料金プランが発表されました。どのような印象をお持ちでしょうか。

房野氏

石川氏:ソフトバンクの「LINEMO」は、ドコモとauの20GBプランに引っ張られてしまっている印象もあります。これから個性を出すために「Aホールディングス(LINE)」と「Zホールディングス(Yahoo!)」の経営統合で方向性が決まってから進化していくでしょう。

ソフトバンク「LINEMO」

石川氏

法林氏:LINEMOは、石野君が心配していた本田翼さんのCM起用続投があったね。

法林氏

石野氏:そうですね(笑)

石野氏

石川氏:とはいえ、本田翼さんを起用してあの歌にしてしまったので、LINEモバイルから代り映えが全然しない。

法林氏:実はそこがLINEMOの鍵。LINEとYahoo!は現時点で株式の持ち関係だけ統合している段階で、中身の統合はこれからです。経営統合が完全にできるまではLINEモバイルやLINEMOは「LINE」の看板を継続しなければなりません。これはYahoo!の看板にかかっている金額をどうするのかという話にもなってきます。

 当面の間は、ソフトバンクという括りの中にYahoo!(Y!mobile)があって、その隣にLINE(LINEMO)というブランドがあるというイメージなのかな。だからこそLINEMOにはYahoo!プレミアムがなかったりするのでしょう。

石野氏:Y!mobileはYahoo!、LINEMOはLINEでそれを束ねているソフトバンクが上位の階層にあるという構図。ソフトバンクのプランにLINEのスタンプがついてくると、「ソフトバンクだとYahoo!もLINEもついてくるんだな」とすっきり整理されます。今のままだと、サービス面でソフトバンクとY!mobileのすみわけがなくなってしまっているので、LINEMOができたことでうまく整理されていくかもしれません。経営統合で人材やシステムが統合されても、Yahoo!やLINEのブランドがなくなることはないと思うので、両ブランドをしっかり活かしていくと思います。

石川氏:ただ、LINEMOの先行エントリーキャンペーンにPayPayボーナスを付けるのはどうなんでしょう。時間がない中でよくやってくれたとは思いますが。

法林氏:しょうがない部分ではあるんだけど、ちょっとカッコ悪いよね。

石野氏:あと、「超PayPay祭り」の一覧の中にLINEMOの先行エントリーが書かれていて、いくら還元とはいえそこに入れてはダメだろうとも思いました。

超PayPay祭り

石川氏:この先どう分けられていくのかというのがポイントですね。LINEのデータカウントフリー(使い放題)が特徴ですが、それが魅力的なんだとするとMVNOのLINEモバイルがもっと集客できたはずです。LINEモバイルが一生懸命やってもダメだったからソフトバンクに託したみたいな形なので、そこまで引きがないのではと個人的に思っています。

法林氏:正直、LINEを使いすぎたせいで容量オーバーしたとか、そんな話はあまり聞いたことがないし、データカウントフリーにそこまで大きなメリットはないでしょう。

 LINEモバイルからLINEMOへの移行はそこまで難しくないでしょうが、ソフトバンクやY!mobileからLINEMOへ移動するには「Yahoo!プレミアム」がないという障壁がある。Yahoo! IDは様々なサービスのアカウントと紐づけて利用している人も多いので、それができなくなる。その代わり、LINEMOで契約して、別途、Yahoo!プレミアムの有料会員になるかといわれると微妙でしょう。

 LINEとYahoo!には決定的な違いがあって、Yahoo!はパソコンやインターネット黎明期からスタートしているのに対して、LINEはスマートフォンの頃から。若い世代はLINEですが、40歳台以降の人はYahoo!のほうに親しみがある。

石野氏:あと個人的にはPayPayの還元率が下がるのは痛いと思います。

法林氏:主婦層とかには痛手だよね。

石野氏:本来Yahoo!プレミアムに匹敵するものがLINEMOについていればすっきりしたのですが、「スタンプ無料」しかない。バランスが悪いですよね。

石川氏:ソフトバンクとしては、そこまでLINEMOにプラン変更してもらいたくないというのが内心あるのではないでしょうか。

法林氏:ARPU(ユーザー1人あたりの売り上げ)も下がるからね。

石川氏:3キャリアの中では、安いプランに乗り換えられると一番困るのはソフトバンクでしょう。大容量プランの加入者が全体の7割程度いるので、20GBプランに移行されると経営的には痛手。ブランドとしてある程度分けるのはありな気がします。一方でドコモは低容量プランの加入者が圧倒的に多いので、その層をahamoにして、いずれ使い放題に移行してもらうための料金プランです。キャリアによって立ち位置は微妙に違うでしょう。

本命は20GBプランよりUQ mobileやY!mobile!?

石野氏:それでいうと一番お得なのは何気にUQ mobileな気もします。バランスが良いし、3GB/1480円はY!mobileも対抗しきれなかった破壊力のある料金です。

法林氏:UQ mobileはMVNO時代から長くやってきていますし、auのサービスもオプションで付けれるように対応しています。ゼロベースで立ち上げるahamoやLINEMOより環境は整っており、幅広い層に選ばれやすく仕上がっているでしょう。

 LINEの魅力がメッセージング以外のどこにあるのかといわれると難しくて、LINEのクレジットカードで3%ポイント還元などありますが、三井住友カードがナンバーレスカードで5%ポイント還元をはじめてしまった。LINEは新策に手を出すのは早いけれど、他社からすぐにつぶされてしまっている印象があります。

石野氏:今回の値下げ論争の中で、UQ mobileとY!mobileが以前より魅力的になったなと思います。結局人が集まるのはそこな気もしますし、オンラインプランは留守番電話や転送電話が使えないなど制約が多すぎます。

法林氏:Apple Watchも使えませんね。

石野氏:キャリアメールを使えないことだけがピックアップされていましたが、そういう制約が発表後に続々と発覚していて、先にいわないとダメだろうと思いましたね。

法林氏:ビジネス用途として考えるとメッセージングはできるし、留守電はそこまで重要じゃないかもしれませんが、電話サービスの根幹の1つですし、ないなら先にいわなければいけなかった。ドコモはそこが読めてない。

石川氏:我々のようなヘビーにスマートフォンを使うビジネスパーソンはターゲット層ではないということですかね。ahamoは最初から若者向けと説明していましたが、povoとLINEMOは明言していません。原点に立ち返るとこれらも若者向けでしょうから、我々は大容量プランを使えばいいという話ですね。

法林氏:結局20GBプランはどれもおひとり様用プランってことですね。

石川氏:ソフトバンクは低容量プランを発表しましたが、各社低容量プランの料金は高止まりしている状態。契約している人は損をする形になってしまっているので、契約プランの見直しが必要でしょう。

石野氏:ドコモは低容量プラン加入者の逃げ先、UQ mobileやY!mobileに対抗するプランがありません。ahamoだけで流出が止まるかは疑問ですね。ただ、ahamoは3キャリアで最初に出した20GBプランのインパクトが強くて、povoやLINEMOが発表された際にはツイッターのトレンドに上がるなど、必ず比較対象にされています。知名度も現時点では最もあると思うので、うまくやった印象ですね。

 ただ、いざ自分が契約しようとすると「家族で低容量ならY!mobileのほうが安い」となりかねないのが気になります。もともとドコモからUQ mobile、Y!mobileに人が流れたことの対抗としてahamoを発表、流出は止まりましたがUQ mobileとY!mobileが2月から料金を下げたので、また流出してしまうのではという懸念もあります。

石川氏:ドコモとしては低容量プランは提携しているMVNOにおまかせという感じですが、ドコモユーザーにMVNOを選ばせるのもどうかなと思います。

法林氏:ドコモはもともと保守的な企業ですからね。大切なのは、それぞれのブランドがどこからユーザーを確保したいのかです。ドコモとしては若年層が弱いので、3~5年後も若い人にドコモを使い続けてもらいたいというプランがahamoです。そう考えるとドコモ内のプラン変更というよりは、新規契約やMVNOからの乗り換えがメインターゲットなのではとも思います。発表会のプレゼンの中にもありましたが、大学を卒業して家族から自立する際に最適なプランになっています。

 povoも同じで独り立ちするユーザー向けですが、LINEMOにはあまり感じない。単純にLINEモバイルの回収対策という印象です。それぞれが誰をターゲットにしているのかをよく見てみると、それぞれのプランがうまくいくか否かが見えてくる気がします。

 あと、Y!mobileの新料金プランが出て乗り換えた人は、スマートフォンのアンテナピクトに5Gが表記されると話題になってます。なんちゃって5Gではありますが、これで5Gへの興味関心が高まる可能性はありますね。

石川氏:それでいうと3月以降、5G端末への乗り換えが加速するのかなと期待できますね。

石野氏:5G契約者数でいうと、Y!mobileが一斉に5Gへ切り替えると、ソフトバンクがトップになるのかな。きちんと通信できるかどうかは別ですが。ただ、Y!mobileの5Gを早速使ってみてわかったのは、3GBプランでは通信容量が足りないことです。一瞬で終わってしまうので、このプランは追加料金が派生しやすいので、ソフトバンクにとっては稼ぎどころだなと感じます。

石川氏:それってキャリアの狙いですよね。エリクソンのレポートを見ると2年後には1人当たりの毎月のデータ通信量が20GB平均になるともあるので、低容量プランでは早晩足りなくなることが目に見えています。キャリアとしては低容量プランを出しましたが、いずれは無制限プランに乗り換える方向に持っていくのではないでしょうか。

石野氏:3GBプランはおとりというか、値段は下げましたけど5Gに切り替えると容量が足りなくなる。スピードテスト1回で1GBほど使うので、その3回分と考えると、容量が少ないです。

石川氏:ビデオ会議をすると、1回1時間として1GB前後、データを消費しますからね。まだ家から出にくい情勢ですが、今後屋外でビデオ会議するとなると、容量が足りなくなることは目に見えています。

房野氏:20GBで2480円、2980円のプランはキャリアの利益になるのでしょうか。

石野氏:そんなに儲かるわけではありませんが、オンライン専用の契約プランなので販売代理店を挟まないという特徴があるので、利益は出ます。

石川氏:コストがかかっていないという面で見ればありだと思いますよ。

法林氏:ドコモの井伊社長にインタビューした中で印象的だったのは、携帯電話会社はショップや回線取得にコストをかけすぎているという話。20GBプランでそのコストがかからないのはかなり大きいでしょう。

株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 井伊 基之氏

石野氏:あとは留守番電話といったレガシーなサービスをバサッと切ったからこそ、あの値段が成立している面はあります。

石川氏:端末に対しての2万円割引もやらないでしょうし、なんなら端末は自分で用意してくださいとなりかねないので、そうなるとあの値段でもありかと思います。

法林氏:まだまだキャリアにとってはコストがかかるプランだとは思いますが、将来的にはeSIM契約者は安くなる可能性もあるでしょうね。

......続く!

次回は、楽天モバイルのこれからについて話し合いする予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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