
「餅は餅屋」という言葉があるが、大工が餅を作ることは悪いことなのか?
もしかしたら、専業の餅屋が気づかなかった工夫を大工がしてくれるかもしれない。ゆえに筆者は、「餅は餅屋」という言葉があまり好きではない。旧来の考えに固執して、思考の硬化を起こす危険性があるからだ。
それはガジェットの分野においても同様だ。異業種の技術者が敢えてその製品に関わることで、誰も見たことのない新しいモノが生まれる可能性が高まる。
荷物を見守るセキュリティタグ
「セキュリティタグ」と呼ばれるガジェットは、かねてから存在する。
GPS機能を使い、トラッカーが現在どこにあるかを地図表示する。この機能を使えば、タグをバッグに取り付けて「失くしたバッグがどこにあるのか」ということをリアルタイムで把握できる。
『GUARDIAN』もそのようなコンセプトの製品だ。バッグやスマホなどに設置し、同時に所有者のスマホとBluetooth接続する。
たとえば専用アプリから「動くと知らせる」をONにした場合、少しの移動でもGUARDIANもしくはスマホから音が奏でられる。GUARDIANが離れていった時や、逆に近づいた時に音を鳴らす設定も用意されている。
いざとなったら「最後に接続が切れた場所」を地図に表示し、それを手掛かりに荷物を探すことも可能。盗難・紛失防止用スマートタグとしての基本的な機能は用意されている。
ガジェットにも「格好良さ」を
ガジェットとしてのGUARDIANは、特に革新的な製品というわけではないと筆者は考える。同様のコンセプトのものは複数存在するからだ。
が、GUARDIANは香川県の皮革製品メーカーが開発に関わっている。
この製品のカバーとストラップは、イタリア製レザーで作られている。要は革小物である。セキュリティタグは、その見た目が「いかにもガジェット」というものが多い。しかし、GUARDIANに限って言えば見た目は洒落たキーホルダーのようだ。それが果たして何なのか、説明がなければ誰も見当もつかないだろう。
ガジェットライターがその機能を称賛する製品は、必ずしも見た目に優れているとは限らない。機能と外見は別物……と書いてしまえばそれまでだが、「便利だけど格好良くない」と考えて最先端ガジェットの購入をためらってしまうのも、また人情である。
だからこそ、「餅は餅屋」ではいけない。異業種のプロフェッショナルを敢えて企画に参加させることで、従来より一歩進化したものが生まれるはずだ。
また、これからは単に「盗難防止ガジェット」という触れ込みだけでは製品を売ることはできないだろう。セキュリティタグ自体が今や珍しいものではなくなったため、それを普及させるとしたら何かしらのプラスアルファが求められる。
ボタン電池で稼働
ところで、このGUARDIANに関して筆者が驚いた点がひとつある。
それは電池だ。
GUARDIANの電力は充電池ではなく、ボタン電池1個。裏蓋を外して取り換える。このようなガジェットの場合、ケーブルにつなぐ必要のある充電池より使い捨ての電池のほうが取り回しがいいのだろう。このあたりは大いに評価できる部分だ。
GUARDIANはクラウドファンディングMakuakeで出資を受け付けている。価格は8750円(3月17日現在)。思ったよりも安い、というのが正直な感想だ。もっともこれはMakuake限定の23%割引価格で、一般販売予定価格は1万780円。
なお、この一般販売予定価格だが、出資希望者が相次いで量産効率が上がった場合は値下げの可能性もあるそうだ。
※クラウドファンディングには立案会社の問題でプロジェクトが頓挫する可能性や支援金が戻らなくなるリスクも稀にあります。出資に当たっては、読者様ご自身でご判断いただきますようお願い致します。(編集部)
【参考】
スマホと連携して見守る。カワイイ革小物 GUARDIAN-Makuake
取材・文/澤田真一
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