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楽天と日本郵政の資本業務提携報道で見落とされている重要な視点

2021.03.20

 3月12日に資本・業務提携を発表した日本郵政グループと楽天グループ(プレスリリース)。互いの強みであるリアルとバーチャルを融合して、戦略的にビジネスを進めるのが主な狙い。背景には、日本郵政が持つ豊富なインフラ資源を活用し、巨大IT企業Amazonを打ち負かしたい思いがあるようだ。

引用元:第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ/楽天

資本提携では日本郵政が約1500億円を楽天に出資するほか、米国ウォルマートが約165億円、中国テンセントが約650億円を楽天に出資する。総額約2400億円を調達した楽天は、楽天モバイルのインフラ整備に資金を充てる。世界最大の小売業であるウォルマートや、SNSやQRコード決済、コンテンツビジネスに強みを持つテンセントが名を連ねていることも対Amazonへの布陣強化か?と想像できる。

引用元:かんぽ生命の日本郵政グループにおける位置づけ/かんぽ生命

業務提携では、日本郵政、日本郵便、楽天の3社が提携社として名を連ねる。上図の通り日本郵政は日本郵便の親会社。日本郵便は、郵便事業や郵便局の運営を行っている。 

物流・モバイル・DXの3分野で提携内容を煮詰め、金融・ECの2分野では提携可能性を検討

 郵便局は全国合わせて約24000の拠点がある。人が住むところに郵便局は必ずあるといっても過言ではなく、対をなすように物流網が出来上がっている。拠点と物流網を活用した新たな収益源として、ネット通販の大手楽天との提携は合理的だ。日本郵政と楽天が発表したプレスリリースによれば、業務提携は5つの分野ごとに協議しているという。

(1)物流

先駆けて2020年12月に日本郵便と楽天が物流での戦略的提携に合意した内容(参考:プレスリリース)が強化されている。

共同の物流拠点や配送システムの構築、商品受け取りサービスの提供、楽天通販の商品配送のゆうパック利用など。バーチャル主体の楽天に対して様々な施策が提案できる。通販の業務効率化ができ、打倒Amazonへの強力な布陣となる。

(2)モバイル

郵便局内にあるイベントスペースを活用して、楽天モバイルの申し込みカウンターを設置し、利用者獲得につなげる。また郵便の配達網を活かして、効率よくマーケティング施策を実施する。

(3)DX

楽天グループから日本郵政グループに対して、DX推進の協力や、DXに精通する人材を派遣する。

以上3つの分野では業務提携の詳細を協議し、以下の2つの分野では、どのような提携ができるか、検討しているとのこと。

(4)金融

キャッシュレス決済や保険の協業

(5)EC

物販の協業

郵便局と通信サービスとの連携は前例があった

 調達した資金の使途が全て楽天モバイル関連なので、業務提携内容も楽天モバイルとの取り組みに注目しがち。実は2016年からインターネットイニシアティブ(IIJ)社が、通信サービス「IIJmio」の販売を郵便局で行っていた。郵便局員が対面でサービスの説明や申込み手続きを行なうのではなく、郵便局内に販売用カタログを設置する形式。IIJmioとスマートフォンがセットで申し込みできるカタログで、入手した顧客はIIJに直接購入を申し込む。すると、IIJから「ゆうパック」で初期設定済のスマートフォンが送られてくるサービスである。

■IIJmioの販売で郵便局は、カタログを設置する場所

引用元:株式会社インターネットイニシアティブプレスリリースより

今回の楽天との提携では、郵便局内のイベントスペースや配達網を活かすとしているので、郵便局員が楽天モバイルの販売やマーケティング活動を行なうのかが気になる。とりわけ、郵便局といえば高齢者の利用が多そうというイメージがあるし、日本郵政グループで起こった「かんぽ生命」の不適切契約問題では、高齢者が不利益となる事例が目立っていた。一方で、販売拠点数を数えれば、NTTドコモ・au・ソフトバンクの各ショップ数より郵便局数のほうが明らかに多い。どんなにデジタル技術が発達したとしても、対面で販売員から説明を聞いたり質問をしたりしたい顧客はいなくならないはず。「遠くのドコモショップより近くの郵便局でスマホの相談がしたい」という顧客ニーズをうまく引き出し、楽天モバイルの契約に適切に漕ぎ着けられるか見ものである。

■信頼回復に向けて慎重になっている今こそ、業務提携に期待が持てるか?

引用元:日本郵政トップページバナー

主導権は出資した日本郵政側にあることを忘れてはいけない

 今回の楽天と日本郵政の提携に対する各メディアの記事を目にすると、楽天が主導権を握っているかのように見える記事がある。少なくとも筆者はそう感じた。「ITに関する事業は将来性がある」という思い込みに騙されていないだろうか。利益を獲得するために出資者が出資先を使役するのが、投資では当然のことである。

 結果的に、Amazonに対抗できる状態が出来上がるかもしれない。DIME読者の皆さんは、楽天がリアル世界をバーチャルビジネスで活用しようとしている視点だけではなく、日本郵政が楽天を使って、企業存続のために新たな収益源を獲得しようとしているという視点や、同じ出資者であるウォルマートやテンセントがどのような相乗効果を楽天に求めているかという視点にも目を向けていただきたい。

文/久我吉史

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