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岩手、宮城、福島の東日本大震災経験者の5割が「景気や雇用について復興を実感せず」

2021.03.15

3.11から10年が経った今。あの日、岩手・宮城・福島にいた被災者たちは、どの程度、復興が完了していると感じているのだろうか。

応用地質はこのほど、東日本大震災経験者(岩手・宮城・福島)20歳~69歳の男女600名を対象に「東日本大震災の被災経験と復興に関する調査」を実施した。調査結果は以下の通り。

54.7%が「復興が完了している」と感じている

東日本大震災から10年。常磐線の全面開通や、仮設住宅(プレハブ住宅)の供与終了など復興が進んでいる報道が多くされているが、実際に震災当時から現在も岩手・宮城・福島に在住している東日本大震災の被災経験者はどのように感じているのだろうか。

今回の調査では、「完全に完了している(6.2%)」、「ほぼ完了している(48.5%)」の合計54.7%が「復興が完了している」と感じているが、およそ半数は「まだ復興が進んでいない」と感じていることがわかった。県別にみると、宮城県が「復興が完了している」と感じている人の割合が64.5%と最も高く、岩手県が48.5%と最も低い結果となった。

約5割が景気や雇用などについて復興を実感していない

それぞれの項目で復興実感について質問したところ、「道路や鉄道、橋、堤防などインフラ(86%)」が最も多く、「病院/学校/役所などの公共施設(85.5%)」、「自身の住宅(80.5%)」、「自身の生活再建(76.2%)」、「商店街、商業施設など(67.6%)」が続いた。

一方で「景気や雇用など地域経済活動」については46.8%と、復興を実感している人は半数以下に留まり、経済活動において復興の実感を持てない人が今も多くいる現状が見えてきた。

震災から10年を迎え、インフラなどハード面での復興は進んできたものの、景気や雇用回復などの施策充実が今後の復興事業を考える上で重要なポイントとなりそうだ。

※「実感している」、「やや実感している」の合計を実感していると定義

各項目の県別での割合を見ると、「あなた自身の生活再建」以外で、岩手県が他県より実感値が低い結果となった。なかでも、「商店街、商業施設など」、「景気や雇用など地域経済活動」における復興実感については、岩手県と他2県で大きな差が見られる結果となった。

「商店街、商業施設など」:宮城(76.5%)・福島(73.5%)に対し岩手(53.0%)
「景気や雇用など地域経済活動」:宮城(52.5%)・福島(55.5%)に対し岩手(32.5%)

※「実感している」、「やや実感している」の合計を実感していると定義

いま必要だと思うインフラTOP3は、「防災」「観光」「情報通信」

現在、各地で様々な復興まちづくりが進められているが、今回の調査では半数近い44.7%が「災害を抑制する堤防や砂防ダムなどの防災インフラが必要だと思う」と回答し、防災インフラに対する期待が高いことがわかった。

また、上記と同程度の割合で「町を活性化させる観光インフラ (ホテルや観光施設等)」、「スマートなまちづくりにむけた情報通信インフラ」と回答しており、防災はもちろん、経済活性化やスマート社会への意識の高さもわかる結果となった。

ちなみに、県別では「新たな道路や鉄道、橋など経済や暮らしを支える交通インフラ」が必要だと思う割合は、福島県よりも、岩手県・宮城県の方が多い結果となった。さらに、「町を活性化させる観光インフラ (ホテルや観光施設等)」が必要と回答した人の半数近くは岩手県だった。

岩手県は、地域経済活性化への課題感が他2県と比べて高いということがここでもわかった。

災害に備え自治体に期待すること 約6割が「被災者生活支援の充実」と回答

災害の到来に備え、お住まいの地域の自治体に期待することは何ですかの問いに対し、58.2%が「被災者生活支援の充実」に期待していることがわかった。

次いで、「食料/医薬品の備蓄(50.5%)」、 「避難誘導策や避難路の確保など(46.7%)」、「津波や建物倒壊防止に対する対策(45.7%)」、「ハザードマップの周知(42.3%)」、「地区防災計画策定の支援(37.5%)」となった。

半数以上が今後の復興事業に「地元民の雇用創出」や「過疎化対策」を期待

今後の復興事業において期待する施策について質問したところ、最も多かったのは「地元民の雇用創出(63.5%)」、次いで「高齢化、過疎対策(52.8%)」、「経済補償(44.3%)」となった。被災地のみならず、地方の課題となっている人口流出、高齢化、過疎化などへの対策は、被災地においても特に期待値が高いことがわかった。

<県別の傾向>

県別の傾向を見ると、「地元民の雇用創出」、「都市からの企業誘致」、「Uターン/Iターン施策」など地域経済活性化に関するものは、岩手県の数値が他県に比べて高い結果となった。一方で、「経済補償」においては、福島県が他2県よりも期待値が若干高い傾向がうかがえた。

2人に1人が地区防災計画をまったく知らず、取り組みへの参加経験なし

東日本大震災での経験を踏まえ、地区防災計画の策定が期待されているが、「取り組みを行っている」との回答は21.2%に留まっており、「まったく知らず、取り組みに参加したこともない」の回答が半数を超え、「地区防災計画」の浸透度が低い実態がわかった。

※地区防災計画とは、災害対策基本法に基づき、一定の地域に居住する住民どうしが、自分たちの地域の人命、財産を守るために助け合い(共助)行動するために策定する、自発的な防災活動に関する計画のこと

「取り組みがない、知らない」 社会的関心の低さが理由か

自身の住むエリアでの地区防災計画の取り組みがない、または知らないと回答した人に理由を聞いた。

回答の多かった順に「行政の働きかけがない(46.9%)」、「専門知識がなくどのように策定していいかわからない(42.1%)」、「住民同士のつながりが希薄化し協力が得られない(35.5%)」、「マスコミでも報道されない(30.2%)」となった。自治体の取組みにもばらつきがあることや、報道で目に触れる機会も少ないことなど、社会的な関心の低さや、普及に向けた課題があることがうかがえる。

東日本大震災前後で行った防災対策 多いのは「避難所とハザードマップの把握」

東日本大震災前後で、行なった防災対策について質問をした。

震災前から行っていた対策で最も多かったのは、「避難所の把握(36.8%)」、次いで「ハザードマップの把握(27.5%)」だった。各項目とも震災をきっかけに対策する方が一気に増えているが、中でも防災アプリの増加率は他項目の中で突出しており、この10年でのスマホの普及率向上が関係している可能性もある。

一方で、震災前後ともに「何も対策していない」という人が約3割いることがわかった。被災経験者であっても一定規模の人は、その後に特段の行動変容が起こるわけではないようだ。

避難するうえで最も有効な情報入手手段は「緊急速報メール」

避難において最も有効な情報入手手段については、約4割の人が「緊急速報メール」と回答し、次点のテレビ・ラジオと20%近くの差となった。携帯電話から突然鳴る、あの音に恐怖を感じる方も多いかと思うが、やはり、肌身離さず持っている携帯電話が真っ先に情報を入手するツールとして有効と考えているようだ。

東日本大震災の経験者が伝えたい教訓「とにかく逃げて!」

東日本大震災の経験者が教訓として伝えたいことを聞いたところ、「とにかく自分の命が大切」、「とにかく逃げてください」、「自分の命は自分で守る」の声が多く集まり、一刻も早い避難の重要性が伝わった。

また、避難ルート・避難所・ハザードマップの把握や、飲食料、防災グッズの準備、その他にも停電時に使用できるラジオやガスコンロ、寒さ対策の灯油や車のガソリンを満タンにしておくなど、経験者ならではのリアルな声も多く集まった。

東日本大震災の経験を基に、いつくるかわからない震災に向け日ごろからの備えをすることが大切だ。

■まとめ

今回の調査では、東北3県に在住の東日本大震災経験者の、被災から10年経過しての復興現状や、今後の復興事業への期待などがわかった。

インフラに関しては、全体的に8割以上の人が復興を実感しているようだ。一方で、景気や雇用など地域経済について復興を実感している人は、5割程度になった。今後の復興事業において期待する施策についても、「地元民の雇用創出」、「過疎対策」、「経済補償」の割合が多く、引き続き経済面での復興施策が重要だという事がわかった。

昨今、重要性が謳われている住民やコミュニティによる「地区防災計画」については、「まったく知らず、取り組みに参加したこともない」との回答が半数を超え、言葉自体の浸透度や社会的な関心が低いこと、また普及に向けた課題がある可能性も見えてきた。

<調査概要>
調査時期:2021年2月19日~2月25日
調査対象:岩手・宮城・福島の20歳~69歳 男女600名(震災時および、現在も3県に在住)
調査手法:インターネットによるアンケート調査
※調査結果・データは四捨五入しており、合計パーセンテージが100%にならない場合がある。

出典元:応用地質株式会社

構成/こじへい

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