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制度制定から7年で認知度はいまだ3割「ベビーカーマーク」が浸透しない理由

2021.03.11

出典:バリアフリー ベビーカーマークについてのお知らせ|国土交通省

みなさんは「ベビーカーマーク」をご存知だろうか。

ベビーカーマークとは、ベビーカーを安心して使用できる場所・設備のこと。主に、公共交通機関や公共施設などのエレベーター、鉄道やバスの車両スペースに掲出されている。

ベビーカー利用者の利便性・安全性を向上のため、国土交通省は、2013年6月に「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」を設置。この協議会において、2014年3月にベビーカーマークが制定され、2015年5月には、日本工業規格(JIS)に登録された。

しかし、制定から7年経った今でも、このベビーカーマークが世間に浸透されていない現実がある。

ベビーカーマークを知っていた人は1000人中30.8%

国土交通省が2019年に行った、ベビーカーマークの認知度に関する1,000人へのアンケートによると、ベビーカーマークを知っていた人は30.8%、残りの69.2%の人が知らなかったという結果に。

知っていた308人のうち、「見たことがあり、意味まで知っていた」という人は52.3%、「見たことはないが、意味は知っていた」という人が47.7%だ。知っていた人の中でもマークを見て答えられる人は1,000人中161人のみということになる。

マーク制定から、アンケートを行った2019年まで5年経っても、全体の3割程度の認知度というのは、少ない方なのだろうか。

そこで、ヘルプマークを例に見ていきたい。ヘルプマークは、2013年から都営地下鉄などの各路線で配布され、2017年にJIS化された。

ヘルプマークとは、義足や人口関節を使用している人、内部障害や難病、妊娠初期の人など、外見からはわからないが援助を必要としている人が、周囲に配慮が必要としていることを知らせるための目印。

2020年に東京都が行ったモニターアンケートによると、ヘルパーマークを「意味も含めて知っている」と答えた人は、59%。2017年にJISに登録されてから、わずか3年で約6割の人に認知されていることになる。

ベビーカーマークはJIS登録から5年経過で約3割。国土交通省はベビーカーマークの認知度拡大に向けて、さらなる施策が必要になると言える。

制定の背景は「邪魔者扱い」される現実

ベビーカーマークの制定は、公共交通機関等における、ベビーカー利用に対する苦情が増加したことが背景にある。「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」を設置した2013年に、大阪府茨木市の阪急茨木市駅周辺で、乳児が乗るベビーカーを蹴る事件が発生。

協議会設置から8年経った今でも、ベビーカーにまつわるトラブルは絶えない。直近では、ツイッター上で「ベビーカーで入れるカルディがあったらいいのになぁ」というつぶやきが炎上した。

また、ベビーカーを引いて電車に乗車すると、舌打ちされたりにらまれたりすることがあり、電車に乗って移動すること自体に危険を感じる声も。

このような現状を問題視し、2019年に東京都では、都営大江戸線の車両全58編成のうち「子育て応援スペース」を3編成で導入。特に、朝の満員電車に無理やりベビーカーを押し込んで乗車しなければいけない、子連れ出勤する人たちの声を汲み取った。

しかし、子育て応援スペースの車両が増えた分、毎朝満員電車に乗って通勤している人々にとっては、より「ぎゅうぎゅう詰め」状態が深刻になる。現在はコロナ禍でリモートワークが増えたため、以前のような満員具合は解消されたが、今度は子育て応援スペースが増えた分、「他の車両が3密状態になっている」という不満を持つ人もいるだろう。

子育て応援スペースが設けられていないJR等の他の電車でも、コロナ禍と言えど通勤時と退勤時の車内は、3密が揃っているほどの混み具合に。

そこへベビーカーを押している人が乗車すると、「混んでいるのに場所を取るな」「コロナ禍で電車に小さな子供を乗せるなんて非常識だ」という意見も聞こえてきそうで、さらなるトラブルに発展しかねない。

小さな子供もその親も、そのほか通勤している会社員にとっても、誰にでもコロナは恐怖そのもの。それぞれに事情があって電車を利用しており、密を生み出しているのは「お互い様」だということを忘れてはならない。

特にトラブルが起きやすいコロナ禍において、ベビーカーのお出かけをより安全に、快適にするためには、周りの協力も必要。それぞれの立場ですべきこと、できることを考えると、せめてベビーカーマークがある車両では、ベビーカーを持つ親子にスペースを譲ることかもしれない。

<参考>
出典:ベビーカーマークに関する世論調査|内閣府

取材・文/ユリサ

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