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フェミニンなブランド名は温かい印象!?女性らしさに秘められた商業的アドバンテージ

2021.03.07

 いい買い物だったようだ――。暖かくて肌触りも良く、着ていて楽である。何のことはない、その買い物とは初めて購入して着てみた婦人用肌着だ。

1駅手前で降りて早稲田通りを歩く

 早稲田通りを歩いていた。某所で所要を済ませてからの帰路、東京メトロ東西線を早稲田で降りた。それというのも高田馬場へ向かっての“1駅ウォーキング”をするためだ。

 通りに面した地下鉄の出入口を出ると商店街が伸びている。飲食店や書店、不動産屋など学生街ならではの店舗が続く。某ハンバーガーチェーンなどのチェーン店も多い。

 冬晴れの午後、長い距離を歩くには絶好の日である。空気はひんやりしているものの風もなく寒さはまったく苦にならない。暖かい婦人用の肌着を身に着けていることもその理由の1つかもしれない。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 もちろん初めから意図があって購入したわけではない。ネットショッピングでほかの衣類を購入する際、たまたまこの婦人用の肌着を見かけて価格も安くなっていたことから試しに買ってみたのだ。

 レディースの衣服を身に着ける体験は個人的には前代未聞のことであるが、何の問題もなく快適に着ることができている。普段選ぶメンズのサイズより大きめにしたのだが、その目論みは功を奏してぴったりだ。

 賑やかな学生街だが立派な鳥居を構える「穴八幡宮」を過ぎたあたりから店も人通りも急に少なくなり、都会の住宅街といった風情を帯びはじめる。歩くにはむしろ好都合だ。

 それにしても自分が婦人服を着る日が来るとは思ってもみなかった。しかしサイズさえが合っていれば不都合なことは何もない。特にインナーであればまったく何の問題もなかった。

 ゆるい上り坂を歩き続ける。今後も婦人服を買うことがあるかといわれればそんなことはないと思うが、最近は性別に関係なく使うモノでも女性向けのデザインになっているものが少なくないような気もしてくる。

 先日、ドラッグストアで薬用ローションを買ったのだが、期間限定のおまけでついてきたのが可愛らしいデザインのリップクリームを入れるポーチだった。薬用ローションはもっぱら男性が使うものだという勝手な先入観があったが、女性の愛用者もけっこう多いということなのだろうか。

 住宅街然としていた通りだが、それでもラーメン店などの飲食店がポツリポツリと店を構えている。シンプルでお洒落な雰囲気のカフェもいくつ通り過ぎた。学生、特に女子大生にも入りやすそうなお店ばかりだ。

 時節柄、風邪などひいていられないということもあり、普段からなるべくショウガを摂るようにしている。免疫力を高めるといわれ風邪の予防効果があるとされているショウガを摂るべく、最近はカップに入っているインスタントの豚汁をよく買うようになっているのだが、その商品名とデザインは完全に若い女性向けで、買うたびに自分がまるでOLさんにでもなったかのような気分にさせられている。

 意図せずともこのように女性向けのデザインのモノが身近にけっこうあるものだ。紙マスクのパッケージなども女性が描かれているものが多いようにも思える。

“女性らしさ”に商業的にアドバンテージ

 緩い傾斜をほぼ登りきると広いT字の交差点が見えてくる。西早稲田交差点だ。このあたりから通りの両側に構える店舗が徐々に多くなってくる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 交差点近くの店舗の前にちょっとした行列ができている。並んでいるのは大半が女性だ。

 近づくとどうやらパン屋のようだ。白をベースにしたお洒落なデザインの店構えで、店内もきっとそうなのだろう。比較的最近オープンしたお店のように思えるがかなりの人気店だ。そして並んでいるお客を見れば、女性から多大な支持を受けていることがわかる。

 一般的に女性はパンが好きなイメージがあるが、こうした“実例”を目の当たりにしてしまうと、世のパン屋はすべからく女性のためにあるのではないかとさえ思えてくる。

 カフェやパン屋もそうだが、モノが売れない時代にあって女性向けの商品やサービスはますます存在感を増してきていると言えるのでははないだろうか。最新の研究でも、マーケティングにおいて女性らしい“フェミニン”なブランドイメージには商業的成功において大きなアドバンテージがあることが報告されている。フェミニンなイメージが醸し出す“ぬくもり”が、性別を問わず消費を後押ししているというのだ。


「言語的にフェミニンなブランド名は温かく感じられるため、より好まれ、より頻繁に選択されます。これは、フェミニンなブランド名のアドバンテージと呼ばれる効果です」

「過去20年間、インターブランドのリストにある各ブランド名の言語特性を分析すると、言語的に女性的な名前のブランドがリスト上位を構成する可能性が高いことがわかりました。さらに、ブランドのランクが高いほど、言語的に女性的な名前を持つ可能性が高くなります」

 この女性的なブランド名の利点を観察した後、研究者たちは何が起こっているのかをよりよく理解するために一連の実験を行いました。参加者は、言語的にフェミニンな名前のブランドは温かく感じられ、これにより購買意欲が高まったと報告しました。

※「American Marketing Association」より引用


 カナダ・カルガリー大学、米・モンタナ大学、シンシナティ大学、仏・HEC経営大学院の合同研究チームが2021年1月に「Journal of Marketing」で発表した研究では、実験を通じてフェミニンなブランドネームには商業的なアドバンテージがあることを示唆している。

 何をもって女性らしさのあるブランドであると評価するのか。それはまず第一にブランドネームの“語感”であるという。言葉の持つ意味はほとんど関係はなく、その名前の語感がフェミニンである場合、商業的にアドバンテージが生まれるという。たとえばナイキ、コカ・コーラ、ディズニーはすべてフェミニンな語感のブランドネームであるという。

 ではフェミニンな語感のブランドネームにはどんな効力があるのか。それは消費者に“温かみ”や“ぬくもり”を感じさせる効果があるという。そして“温かみ”は安心感につながり、財布のヒモを緩ませ消費を後押しするということだ。

 今通り過ぎたパン屋の店構えは確かに温かみというか、ホッとさせるフェミニンな要素があったといえるだろう。そして実際にお客の大半が女性である。たまたま婦人服の肌着を着ていることもあるが、何かと女性らしさやフェミニンさから学ぶことは多いようだ。

闘ったり逃げたりしなくて済む女性的“温かさ”

 歩き進むと通りは再び商店街の様相を帯びはじめ、通行人も増えてくる。しかしそもそもこの通りの人通りは本来はこんなものではない。ご多聞に漏れず、大学の授業が占めるオンラインの割合が増えて、通学する大学生の数が大幅に減っているのである。この一帯の飲食店や店舗の利用客が大幅に減っていることは想像に難くない。大学生が客層のメインになっている店はなおさらだ。

 高田馬場に着く前にどこかで食べてみてもよかった。お昼時は過ぎているが、まだランチをやっている店もあるだろう。気づけば通りの両側にはズラリと各種の飲食店が連なり店選びはよりどりみどりだ。

 人気のラーメン店をやり過ごすと、香港料理店やカレー店などが見えてくる。その中には真っ赤な看板のタイ料理店があった。トムヤムラーメンで有名な店だ。そういえばライスヌードルを使った料理は久しく食べていない。入ってみてもよいのだろう。

 通りには学生が減ってしまっているが、店内はそれなりの客の入りだ。女性が多い。確かにタイ料理はパン屋ほどではないにしても、日本では女性が好むイメージがあるようにも思う。海外でどのようなイメージなのかはわからないが……。

 2人がけのテーブル席に着き、トムヤムラーメンのランチセットを注文する。作り置きしていたのであろうサラダとガパオライスがすぐにやってくる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 女性らしいこと、フェミニンであることの“効能”は温かみがあり、ホッとさせてくれることにあるということだが、今いるこの空間もまた間違いなくホッとさせてくれる空間である。

 基本的に飲食店は居心地がいい空間なのだとは思うが、一部の寿司店や割烹料理店、居酒屋、ラーメン店などには威勢が良いタイプの店もある。そういう威勢が良い店ではなかなか痛快な飲食体験が味わえたりもするのだが、多くの女性はそういう威勢が良い店よりも、この店のようにホッとできる“癒し系”の店のほうを好みそうに思えるのだがどうなのだろうか。そして実際、そのような店にはこうして女性が多く訪れているのである。

 トムヤムラーメンがやってきた。真っ赤なスープの酸味といい、パクチーの風味といい、久しぶりであったが確かにこういう味だったという過去の記憶がよみがえってくる。思っていた以上にボリュームがある。ゆっくり腰を据えて食べたほうがよさそうだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 女性らしさがあり、フェミニンで温かみがあり、ぬくもりがある状況や場所を多くは好ましく感じるのだろうが、それはむしろ危険を感じなくて済むことからくる安心感であるという。

 進化人類学的に我々の脳は初対面の人物に鉢合わせたり、未知の場所に足を踏み入れたりした際には、瞬時に“闘う”か“逃げる”のかを判断しているといわれている。これは「闘争=逃走反応(fight-or-flight response)」と呼ばれ、反応の強さの程度はさまざまではあるが、極端な場合は初対面の人物と一戦交えるのか、それとも一目散に逃げるのかを素早く判断しているのである。確かにサバイバルにおいては重要な反応であるといえる。

 なかなか物騒な話であるが、しかしこの闘争=逃走反応は基本的に男性の社会を前提としているものだ。出くわした人物が女性であった場合、むしろ“温かさ”や“ぬくもり”を感じて安心感を抱くように感情が動かされる働きがあるという。そしてこの“温かさ”を抱かせるブランドイメージはビジネスにおいて大きなアドバンテージを持つのである。

 久しぶりのトムヤムラーメンを堪能することができてじゅうぶん満足だ。ちなみに今店に入ってきたお客はまたしても女性である。ともあれ今回のように行き当たりばったりのお店選びにおいて、女性に人気があるかどうかは重要なポイントになるのだろう。今後の店選びに活かしてみたいものだ。

文/仲田しんじ

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