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〝死のホテル〟を舞台に推理オタクや陰謀論者の暴走を描いたNetflixのドキュメンタリーシリーズ「事件現場から: セシルホテル失踪事件」

2021.03.11

2013年、アメリカ・ロサンゼルス。恐ろしい事件が多発することで有名な“死のホテル”で、観光客の女子大生が失踪した。

Netflixで2021年2月10日から独占配信中のNetflixオリジナルシリーズ『事件現場から: セシルホテル失踪事件』は、エリサ・ラム失踪事件の詳細を解説するドキュメンタリー(全4エピソード)。

制作は、映画『テッド・バンディ』やNetflixオリジナルシリーズ『ジェフリー・エプスタイン: 権力と背徳の億万長者』『殺人鬼との対談: テッド・バンディの場合』などを手掛けたジョー・バーリンジャー。

事件が発生した“セシルホテル”は、ドラマシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル』の舞台“ホテル・コルテス”のモデルとしても知られる。

あらすじ

2013年、アメリカ・ロサンゼルスにある悪名高いセシルホテルで、観光旅行中の女子大生エリサ・ラムさんが失踪。

カナダの名門ブリティッシュ・コロンビア大学に通っていたエリサ・ラムさんは、聡明で真面目な性格、非行歴はなかった。

日記代わりに利用していたTumblrによると、精神疾患に悩んでいたラムさんは、カナダからアメリカへ“自分探しの旅”に出かけたようだった。

警察による捜査の中で、エレベーターの防犯カメラに失踪直前のラムさんが映っていた映像が発見された。

公開されるやいなや映像は瞬く間に拡散され、ネット上では推理合戦が過熱した。

見どころ

Netflixのドキュメンタリー『ナイト・ストーカー:シリアルキラー捜査録』でも取り上げられた連続殺人鬼リチャード・ラミレスの潜伏先としても有名だったセシルホテル。

1924年開業、当時としては大金の100万ドルが投じられ、「息をのむほど立派なセシルホテル」などと報じられた。ラグジュアリーホテルの部類ではないものの、開業当初は華やかで明るい雰囲気だったことが伺える。

しかし世界大恐慌以降は急速に荒廃。アパートの審査に通らない人、逃亡中の犯罪者など、住所不定・訳アリの人々が身を隠す場として定着した。

セシルホテルがあるスキッドロウは、ロサンゼルス一の危険地帯とされる。

スキッドロウは、いわば「行き場をなくした人々が最後にたどり着く場所」。行政はロサンゼルス全体の治安維持のために行き場をなくした人々をスキッドロウに封じ込め隔離しようとし、その結果スキッドロウの内部は無法地帯と化した。

セシルホテルの元総支配人もインタビューに応えているが、その口ぶりは異様なまでにあっけらかんとしている。

時おり薄笑いを浮かべながら、他人事のように淡々と語る元総支配人。陰惨な光景を日常的に目の当たりにしすぎたのかもしれない。

当時、セシルホテルから警察への通報件数は、平均1日1~3回。ある日元総支配人が宿泊客を案内していると、廊下に大きな銃を構えた警察の射撃手がいたそうだ。もはやホテルの経営責任云々のレベルを越えており、完全に制御不能のお手上げ状態だった。

“死のホテル”や“連続殺人鬼の安息の地”など恐ろしい別名があるセシルホテルだが、「安いから」と何も知らずに宿泊する外国人観光客は少なくなかった。

極めて危険な状態を黙認しつつ、利益のために何も知らない外国の観光客を集客するのは無責任ではないだろうか。

今やネット検索で簡単に情報収集はできる時代だが、セシルホテルの特殊な事情についてよく調べなかったからといって自己責任にされるのは気の毒だ。

そして、以前ご紹介したNetflixのドキュメンタリー『猫イジメに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』と同様に、本作でもネットの特定班や推理オタクの暴走に焦点を当てている。

長らく集客に苦心してきたセシルホテルだったが、皮肉なことに、失踪事件後は大勢の推理オタクや陰謀論者のYouTuberなどがセシルホテルに殺到。建物内で独自の現場レポートや捜査を行った。

『猫イジメに断固NO!』と同じく、推理オタクや陰謀論者の暴走により、確たる証拠もないまま無実の人が犯人として世界中から壮絶なネットリンチを受ける悲劇が起きた。

推理ゲームに没頭する前に、ネットの向こうにいるのは生身の人間であることを認識し、事件被害者の尊厳にも敬意を払うことが大切だろう。

Netflixオリジナルシリーズ『事件現場から: セシルホテル失踪事件』
独占配信中

文/吉野潤子

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