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クリエイター必見!文化庁のイベントサイト「MAGMA sessions」が示すメディアアーカイブの未来

2021.03.14

文化庁は2月16日(火)より、メディア芸術4分野のアーカイブの現状を知り、これからについて考えるイベントサイト「MAGMA sessions〜マンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアートのアーカイブの現在〜」を公開しました。

当イベントサイトでは、メディア芸術関係者や一般の方を対象に、各分野の有識者によるトークセッションやインタビューを2月16日(火)より無料公開。2月19日(金)には、文化庁「令和2年度メディア芸術連携基盤等整備推進事業」の成果報告会の様子がライブ配信されました。

サイト内のコンテンツは動画・テキスト・音声の3形式で用意され、普段なじみのない専門用語にはミニ解説が付くなど、一般の方も観覧しやすいような構成になっています。

『MAGMA sessions』の目的



「MAGMA sessions」のMAGMAは、Manga/Animation/Game/Media Artの頭文字を組み合わせたもの。これら4分野のメディア芸術のアーカイブとこれからにスポットを当てることで、その課題や意義のみならず、その面白さを人々へと発信することを目的としています。

※令和2年度メディア芸術基盤等整備推進事業について

各研究機関等におけるメディア芸術作品のアーカイブ化を支援し所蔵情報等の整備を推進するとともに、産・学・館(官)の連携・協力により、分野・領域を横断して課題解決に取り組む調査研究等を一体的に実施するものです。また、今後のメディア芸術作品等の収集・保存・活用を担う専門人材の育成を図り、もって我が国のメディア芸術の振興を目指しています。

合計9つのプログラムには「読む・視る・聴く」の3形式を用意

実際に「アニメーションのアーカイブのいま」(約13分)を視てみました。内容はプロダクション I.G 山川道子さんへのインタビューで構成されています。

アニメーションの制作現場では、何をどのようにアーカイブしているのでしょうか?

Chap.1:自己紹介

山川さんは2001年にプロダクション I.Gに入社。入社後、制作進行に携わったのち、広報担当へ。その後、プロダクション I.Gのアーキビストとしてアニメーションのアーカイブを担当しています。

Chap.2:アニメーション制作の工程

アニメーションの作り方はスタジオによってまちまちの部分があるそうです。 今回、山川さんは「機動警察パトレイバー2 the Movie」を例に、基本的な流れを紹介してくださっています。

こちらは「機動警察パトレイバー2 the Movie」の絵コンテを印刷したもの。これで映画一本分です。

絵コンテでは、一つひとつのカットごとに絵が描かれ、セリフや各シーンがどのようなものかが説明されています。アニメーターさんにはキャラクターやメカ、背景の設定画を渡し、その絵コンテを元に、原画を描いてもらうそうです。

原画が描き終わると、次にキャラクターに色を塗り、背景を描き、撮影に入ります。今はパソコン上で撮影作業を行いますが、昔は映画のフィルムで作っていたそうです。

映像化後、声優さんに声を吹き込んでもらい、磁気テープに収録。それを映画会社、もしくはテレビ局にお渡しする。ここまでがアニメーション作品を納品する流れとなっています。

こうした多くの工程を経て、私たちの目に触れるのですね。

Chap.3:アーカイブで何を残すべきか

まずはクリエイターの意図や考えが分かる作品を

クリエイターの意図や考えが分かる作品や、「あの時、ああいう作品で、このシーンが好きだったな」というように、作品を見た方々の記憶を蘇らせるようなものや、作品の人気の有無に関わらず、後進の育成に役立つような素晴らしい原画や伝説的なアニメーターの絵などもアーカイブで残すべきだと述べられていました。

Chap.4:アーカイブの対象

産業廃棄物扱いになってしまうアニメーション資料たち

アニメーションの資料においては、納品物以外の原画もセル画も、納品した後には全て産業廃棄物扱いになってしまいます。そのため、アーカイブを残すには、それらの資料の保管に会社としてどれだけお金をかけられるか、という見通しも重要になってきます。

山川さんが挙げた具体的な「モノ」として、プロダクション I.Gでは基本、絵コンテや原画、レイアウト、セル画、アフレコ台本などをアーカイブしているとのことでした。その時代その作品の作り方に応じて、演出家の意図が伝わるもの等はどんなモノになるのか、ということを考えながら資料を残しているそうです。

Chap.5:プロダクション I.Gのデータベース

作品の資料はバーコードをつけてデータとして管理

プロダクション I.Gではデータベースは作っておらず、在庫管理システムのウェブページをデータベース的に活用。資料自体にバーコードをつけてデータで管理しているため、データを見ればどの箱にどの資料が保管されているかが分かるようになっています。

Chap.6:「アーキビスト」の仕事内容

シーンに合うスキルを持った人を、必要なタイミングでアサインする

制作現場では「あのシーンは誰が描いているんですか?」と絵コンテマンを探したり、原画マンを探したりしています。そのタイミングでアーカイブ担当に問い合わせがあり、そのシーンを描いた人を管理システムを調べてお伝えします。アーキビストは、期待しているシーンに、その技術をもった人をアサインするのです。

アーキビストに求められる要素としては、制作現場での作品の作り方を知っていて、その工程ではどういう資料が求められるのかを常日頃リサーチしたり、ディスカッションして話を聞いておいたりしておくことが挙げられます。

また、さまざまな素材であるアーカイブの対象を、どのように保管すれば一番綺麗な状態で残せるのか。すぐに調べてすぐに取り出せる状態にできるのか。そのためにどう整理しておくといいのかを考えることも大きな仕事です。

Chap.7:「アーキビスト」に向いている人

単純作業の中でも勉強すべきことを探し、知識をつけていける人

では、アーキビストに向いている人とはどんな人でしょうか。

そもそもアーキビストとは、資料を整理していつ取り出してもいいように保管をする仕事。資料をしっかりと後世に繋いでいくのがベースの仕事になります。

単純作業も少なくないため、それだけになってしまうと、ただただ作業量が多いため辛くなってしまいます。「一体これはどうやって作られているのか」「これを残すにはどうしたらいいのだろうか」と毎日自分の中で勉強するものを探し、知識をつけていくことが大切です。そういうことが全く苦にならない人であればずっと続けていける仕事です。

Chap.8:アニメーション業界におけるアーカイブの課題とは

アーカイブを活用できる場所の少なさ

アーカイブが使用される場所は、現状あまり多くありません。

宣伝期間であれば、作品のイベントを催し展示することができますが、それが終わると、その原画が人々の目に触れる機会は極端に少なくなります。

資料を持っている人が活用まで考えられない

制作会社はアニメーションを作ることが本業。資料の展示を企画したり、商品化したりといったことまでできる会社は、そう多くないのです。
今後は、使える人達にどうやって資料を渡していくのか、繋げていくのか、その方法論を作っていくことが期待されます。

Chap.9:アニメーション業界ならではのアーカイブの難しさ

分散した資料を活用するとき、権利処理にコストがかかってしまう

アニメーションは分業制で作られます。そのため、それぞれ描いている方たちの部署や専門職があり、資料が分散して残っています。それらを活用しようとした時には製作委員会方式や権利者が多いため、権利処理に非常にコストがかかってしまいます。

興味がある人たちと協力し、アーカイブ活用の希望をつなげていきたい

山川さんは「今後はアーカイブ資料をより利用してくれる方や、それをビジネスに変えて付加価値をつけてくださる方と協力できたら素敵です」と語ってくれました。

「アニメーションのアーカイブのいま」(約13分)を視て

長年アニメーション業界に携わってきた方が、業界の内情やアーカイブの現状について知っておきたい部分を大変わかりやすく話してくださっていて、勉強になることばかりでした。アーキビストという職種に興味が湧くとともに、原画の展示会がアーカイブ活用の場所として重要な役割を果たしていることさえ知らなかった筆者がいました。

良い作品を良い形で残していくには、やはり人の手が必要です。今回インタビューを視たことで、「今後、メディア芸術のアーカイブを残すにはどうすべきか。何か取り組めることはないだろうか」と考えるきっかけになりました。

合計9つのプログラム

1.トークセッション

各分野の有識者がメディア芸術のアーカイブの現在とこれからを議論します。

メディア芸術アーカイブの目指す未来〜メディア芸術アーカイブについて語りつくす大座談会〜(約1時間20分)

2月16日(火)13時配信開始

【登壇者】
坂倉基(角川武蔵野ミュージアム 図書館担当)
三崎絵美(明治大学 米澤嘉博記念図書館 司書)
本間友(慶應義塾大学ミュージアム・コモンズ 専任講師、アート・センター所員)

【ファシリテーター】
三原鉄也(筑波大学 図書館情報メディア系 特任助教)
山川道子(株式会社プロダクション・アイジー IPマネジメントチームアーカイブ担当)

ネット・デジタル社会におけるアーカイブの公開・活用〜現物・ライセンスが拓く新たな道〜(約1時間10分)

2月16日(火)13時配信開始

【登壇者】
赤松健(漫画家、公益社団法人「日本漫画家協会」常務理事、株式会社Jコミックテラス取締役会長)
施井泰平(スタートバーン株式会社 代表取締役 最高経営責任者)
高崎俊(弁護士)

【ファシリテーター】
山内康裕(レインボーバード合同会社代表社員)

アーカイブ・企画展示の現在地〜「機動警察パトレイバー 2 the Movie」「ゲンガノミカタ展」の現場から〜(約1時間20分)

2月17日(水)13時配信開始

【登壇者】
イトウユウ(京都精華大学マンガ学部 特任准教授)
風間美希(森ビル株式会社 展覧会・イベント企画/プロデューサー)
山川道子(株式会社プロダクション・アイジー IPマネジメントチームアーカイブ担当)

【ファシリテーター】
山内康裕(レインボーバード合同会社代表社員)

アーカイブを「みんな」でつくるには?〜アーカイブはコミュニティのH U Bになり得るのか〜(約1時間15分)

2月17日(水)13時配信開始

【登壇者】
伊藤ガビン(編集者)
小田雄太(COMPOUND.inc代表)
平信一(電ファミニコゲーマー編集長)
豊田啓介(建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授)

【ファシリテーター】
山内康裕(レインボーバード合同会社代表社員)

テック×メディア芸術の未来〜メディア芸術データベースの可能性〜(約1時間)

2月18日(木)13時配信開始

【登壇者】
大藤充彦(株式会社ツクリエ 取締役)
大向一輝(東京大学 准教授)
三宅陽一郎(日本デジタルゲーム学会 理事)
渡辺智暁(国際大学GLOCOM教授、主幹研究員)

【ファシリテーター】
山内康裕(レインボーバード合同会社代表社員)

メディア芸術データベース https://mediaarts-db.bunka.go.jp/

2.令和2年度メディア芸術連携基盤等整備推進事業 連携基盤整備推進事業 報告会

2月19日(金)13時より※ライブ配信のみ
当事業におけるメディア芸術4分野(マンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアート)の成果報告等のライブ配信を行いました。

3.インタビュー(アーカイブ活動報告)

2月16日(火)13時配信開始
マンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアートのメディア芸術4分野の有識者に対して行った、アーカイブ活動の現在についてのインタビューを公開。

<メディアアート分野>インタビュー:野間穣(NPO法人コミュニティデザイン協議会 代表)

【コンテンツ内容】
・メディアアートのアーカイブのいま(約10分)
・事例紹介「メディアアート・インフォグラフィック」

・ウェブ版「文化庁メディア・アート年表」の公開へ(約10分)

http://cdc.jp/mac/

<アニメーション分野>インタビュー:山川道子(株式会社プロダクション・アイジー IPマネジメントチームアーカイブ担当)

【コンテンツ内容】
・アニメーションのアーカイブのいま(約13分)
・事例紹介「機動警察パトレイバー 2 the Movie」

・プロダクション I.Gのアーカイブ活用(約9分)

<マンガ分野>インタビュー:大石卓(横手市増田まんが美術館 館長)

【コンテンツ内容】
・マンガ原画のアーカイブのいま(約14分)

・特別企画展「ゲンガノミカタ」に込められた想い(約10分)

<ゲーム分野>インタビュー:尾鼻崇(立命館大学ゲーム研究センター 客員研究員)

【コンテンツ内容】
・ゲームアーカイブのいま(約18分)

・「Ludo-Musica:音楽からみるビデオゲーム」からみるゲームアーカイブの課題(約29分)

イベントサイト概要

イベントサイト名:MAGMA sessions〜マンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアートのアーカイブの現在〜
サイトU R L:https://magma-sessions.jp
開催期間:令和3年2月16日(火)〜3月末日

〈運営体制〉
主催:文化庁
運営:メディア芸術コンソーシアムJ V事務局
総合プロデューサー:山内康裕(レインボーバード合同会社代表社員)
クリエイティブディレクター:小田雄太(COMPOUND.inc代表)

取材・文/サヨサモコ

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