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強力なパフォーマンスを極上のエレガンスで包み込むBMWアルピナ「D5 S」「XD4」「XD3」乗り比べ

2021.03.07

最高の素材を最高の料理人が最高の技で仕上げた一品を、通人と呼ばれる人たちが50年以上に渡って愛でて来た。我々はそれを老舗の味わいとして認め、好き嫌いはあったとしても、もはや余人が苦言や評論を挟み込む隙など見当たらない。

アルピナのステアリングを握っていると、いつもそんな思いが湧いてくる。本来はベースとなっているBMW車だけでも、これ以上の手数を加えずとも、十分に味わい高く仕上がっている。ところがアルピナはBMW車をベースに、さらなるハイエンドモデルを作り上げて世に問い、一定の評価を得てきた。

そこでひとつだけ懸念されるのは、アルピナは大量生産ではなく、匠が時間を掛け高度なチューニングを施し、少数の台数を仕上げるというプロダクトのため、どうしてもプライスはベース車より高めになること。結果として“BMWよりも高級な存在”というイメージが一般的に出来上がってしまう。これは仕方がないことだが、実際にハンドルを握ってアルピナを走らせてみると、その感覚は少し違っていることに気が付く。ベースの良さを可能な限り生かしつつ、アルピナが別のテイストを加えて新たな世界観を作り上げるのだ。単なるBMW車のチューニング車という単純なロジックではないことが分かる。

そんな中で最初に乗ったのはBMW5シリーズのディーゼル・モデルをもとにアルピナが仕上げた「BMWアルピナD5 S(以下D5S)」だ。

アルピナの王道はサルーンにあり

走り出してすぐに感じるのは“いかにもアルピナ”といった味だった。スポーティな走りを支えるガッチリと支えるタフな足回りでありながら、路面の起伏を丁寧に吸収しながら実現した乗り心地の良さ、とびっきりの速さを実現しながらも高い静粛性を保っているとことなど、ベクトルの違う性能をバランス良く表現するのが本当に上手いのである。

D5Sは全長が4960mm、全幅も1870mmというかなり大きなサルーンだが、このバランスの良さがあるお陰で、走り出すとクルマを小さく感じるのである。体へのフィット感がいいと言うか、ひとクラス下の3シリーズ、いやそれより小さく感じることさえあるほど。

それはエンジンのフィールが絶品であることと、足回りにおいても4輪のバランスを丁寧に取りながら最高の調和を取っているから。これこそアルピナの真骨頂なのだが、ディーゼル・モデルのD5Sにも、その味がキッチリと生きているのだ。

直列6気筒ディーゼルエンジンは電気モーターによるトルクアシスト可能なマイルド・ハイブリッド・システムを採用。最高出力は347馬力、最大トルク730Nmというスペックで、実際のフィーリングはとても自然でリニアな感触がとても高い。アクセルをグッと踏み込めば、その踏み込み量にピタリと合う感覚でトルクが増してきて車速も上がる。さらにブレーキのフィールも心地いい。ペダルを踏めば、その力加減の強弱に合わせてストッピングパワーが確実に出てくる。コーナーでステアリングを着れば、少し温めたナイフでバターの表面をなぞるように気持ちよく路面をタイヤが切っていくのだ。

アルピナがチューニングしたスポーツ・サスペンションと専用設定の可変ダンパーの組み合わせのお陰なのか、ボディは終始フラットな状況を保ってコーナーを抜けていく。速さとコンフォートの絶妙なバランス。サーキット走行でもない限り、ごくごく平和に心地いいスポーティな走りを楽しめるのがアルピナだ。そしてこの徹底したバランスの良さがD5Sを小さく感じさせている秘密。良く出来た車ほど小さく感じるという、自分の中にある判断基準は決して間違いではないことを改めて確認する。

一方で後ろを見ればリアシートは大人ふたりが寛げるだけの快適さを備えている。さらに白枠内に駐車するべく、クルマを動かせば、改めて5メートル近い全長や全幅の広さ、そして車格を意識するから、一瞬戸惑うことすらあるが、別段使いにくいわけではない。そしてここで改めて気が付いたのである。アルピナの王道はサルーンにあり。さりげなさの中に、最上級の痛快な走りを潜めたエクスプレスサルーンが欲しければ、まずはここから初めるべきなのだ。

そんな感想を抱きながらD5Sの試乗を終えた。アルピナの手掛けたハイパフォーマンスディーゼルとスポーティな足回り、そして程よいサイズ感のサルーンボディ、その調和の良さに「ひょっとして理想の1台」と考えている本心を見つけてしまった。

D5Sの、あまりのバランスの良さに心をひかれながら、次ぎにステアリングを握ったのはX4をベースにしたクーペSUV「BMWアルピナXD4(以下XD4)」。

クーペSUVのエレガンスがさらに加速する

最高速度は268km/h、0~100km/hの加速は4.6秒。そのパフォーマンスを支えているのはBMWの3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンをベースに4基のターボチャージャーを装備したパワーユニット。最高出力は388馬力で、最大トルクは770Nmを発揮する。

スペックだけ見ていても始まらないのでさっそく走り出す。低速からジワジワとトルクが増してくるが、決して乱暴な振る舞いは見せない。なんともジェントリーな表情のままスムーズに加速していく。アルピナがドイツの自動車部品メーカー、ZF社と共同開発した8速ミッションの助けもあるのだろうが、低速から高速までシームレスに速度が増していくのだ。気持ちよく回るエンジンと全回転域で適正なパワーを引き出すミッションとが実現した走りの味は“快感”と呼んでもいいほど。

さらに気持ちよさはサスペンションの出来の良さでさらに増幅されていく。アルピナでシャシも含めて改良が加えられているため、コーナリングでの踏ん張る感覚がより高くなっている。重心の高いSUVにとってこれは走行安定性を高めるためにも重要なポイントだ。電子制御式ショックアブソーバーを採用したアルピナのスポーツ・サスペンションは、ハイペースでワインディングを走り抜けるときに心強い存在となった。もう一点、BMWのxDriveシステムをベースとした4WDシステムは、最適にトラクションを配分して路面をガッチリととらえながらコーナーを抜けていくことも気持ちよさの一因だった。

幸いにして試乗車にはオプションとして用意されている22インチアルミ合金製高密度鍛造ホイールが装備されていた。タイヤはXD4に合わせ新たに開発されたピレリ製の高性能「P Zero」。これだけ足元を完璧に仕上げて操縦安定性の高さを追求しているからだろうか、SUVの走りにありがちな腰高感、大きなタイヤのドタバタとした感触など、ネガティブな要素はほとんど意識せずに済んだ。やはりここまで本格的に仕上げられたスーパーSUV、ショッピングや食事主体の街乗りだけでは勿体ない。ロングドライブに、ワインディングに、そしてワインディングにと、アクティブに移動するには最適な選択になる。だが一方で、このXD4をワインディングで走らせるなら、自制心を持ってステアリングを握らなければいけないことを肝に銘じたい。

試乗の3台目として準備していたのはアルピナのSUVラインナップでもっとも小さなモデル、「BMWアルピナXD3(以下、XD3)」だ。

走りと実用の最良バランスがここにある

正直に言えば付け足し程度に考えていたXD3だ。3Lの直列6気筒高性能ディーゼルエンジンにツインターボを与え、足元は4WDで固めたSUV。試乗したばかりのXD4に比べれば最高出力355ps、最大トルク730N・mというパフォーマンス。順当にパワーアップをしてきたとは言え、コンパクトなボディを見ているだけでは、それほど興味が湧かなかった。ところが走り出してみると、そんな印象で乗り込んだことを猛烈に反省した。

ボディの手頃なサイズ感もあるからだが、走りはあらゆるシーンでライトウエイト感覚に溢れていた。アルピナの足回りはスポーツモデルにすれば少しソフトな味つけになっている。コンフォートとスポーティのバランスを上手く表現するためのセッティングだと思うが、XD3の足は、その基準から少しばかり外れていて、硬かったのだ。ガッチリとボディを支えるという印象の足で、路面の起伏をリアルに感じる。だからと言って乗り心地が悪いのではない。路面からの明確なインフォメーションをダイレクトに受け取りながら走る感覚は、ライトウエイトスポーツカーそのもので、嫌いではない。

おまけにステアリングの操作には少しのタイムラグもなく、切れ味のいい反応を見せながら曲がっていく。そのフィーリングはちょっぴり癖になりそうなぐらいに楽しいのである。これまでアルピナの最大の魅力はスポーツ性と乗りやすさのバランスの良さと思っていたが、こんなにライトウエイト感が勝っている味つけはひょっとして初めてかも知れない。自在さと軽さが随所で感じられる走りを楽しんでいるうちに、気が付くと笑顔になっているのだ。

ベースになっているBMWのX3、そのラインナップでもっとも強力な「M40d」と比べても味わいの違いが明確。ねじ伏せるような速さと骨太なパワフルさがあるM40dが日本刀とすれば、XD3はカミソリのような鋭い切れ味といった印象だ。これまで通りにグランドツーリングとしても高い満足度を維持しながら、ときとして少々元気に振る舞ってみたいと思ったときにアルピナXD3は、素直に期待通りに答えてくれる存在だ。

こうしてアルピナのディーゼル・モデル3台、連続で試してみると、匠たちの精度の高い仕事ぶりには敬意を抱かざるを得ない。同時にアルピナはBMWのMモデルとは違った別の性格を持った独立ブランドであることも改めて確認。そしてこうした関係が成立するのは、アルピナとBMWの両社が互へのリスペクトを忘れていないからなのだろう。

青いボディカラーはオプションの「アルピナ・スペシャル・ペイント」。

これ見よがしの装備も少なく、さりげない外観。アルピナ社はユーザーたちを「控えめ」と呼ぶ。

ピン・ストライプに似た美しい水平ラインがアルピナの個性を際立たせている。

必要なパーツを適正な形で装備。細部に至るまでアルピナの匠たちの技が生かされている。

アルピナのエンブレムを戴いたステアリング、走行モードなどを確認できるモニターも備えたダッシュボード。

しっとりとした手触りとフィット感を向上させる形状のレザーシートで心地いい居住性が実現。

センターコンソールには製造番号が記されたプロダクションプレートが貼られている。

モーターでのアシストと、より高回転まで回るようにチューニングされたD5Sのディーゼルエンジンユニット。

押し出し感が強いSUVスタイルでも、XD4のエクステリアにはエレガントさを感じる。

ボディ側面のアルピナラインとオプションとして新たに用意された22インチ鍛造アルピナ・クラシック・ホイール。

赤い指針を組み合わせたブルーのメーターパネル、アルピナ・スポーツ・ステアリング・ホイールなど専用のデザインの箇所も多い。

“ALPINA”のロゴがあしらわれたフロント・スポイラーはフロント全体のデザインを引き締めている。

XD4のドライブトレーンは、4基のターボチャージャーとコモンレール式の高圧ダイレクト・インジェクション・システムを搭載。

アルピナ独自のツイン・エキゾースト・テール・パイプの他、個性的なSUVクーペのリアスタイルを引き締めるモデル名プレートがさりげなく張られている。

8速のスポーツオートマチック・トランスミッションとアルピナならではの低回転域における高トルクにより、走りはつねにゆとりを感じる。

ドライビング・ダイナミクスと使い勝手の良さをバランス良く調和させたXD3。

リヤのバンパー下部にスマートに組み込まれた2組のツイン・エキゾーストテール・パイプがリアスタイルを引き締める。

ショート・オーバーハングの力強さ、荷室の使い勝手と言った実用性の高さが理解できるプロポーション。

使いやすいBMWナビゲーション、コミュニケーション、インフォテイメント・システムは健在。

優れたスロットル・レスポンスと、レッドゾーンまでしっかり吹き上がることを目指した、ツインターボのディーゼルユニット。

(D5Sスペック)
価格:1358万円
全長×全幅×全高:4,980×1,870×1,480㎜
エンジン:直列6気筒ディーゼルターボ 排気量:2,992cc
最高出力:347ps(255kW)
最大トルク:730Nm
駆動方式:4WD

(XD4スペック)
価格:1358万円
全長×全幅×全高:4,765×1,927×1,615㎜
エンジン:直列6気筒ディーゼルターボ 排気量:2,993cc
最高出力:388ps(285kW)
最大トルク:770Nm
駆動方式:4WD

(XD3スペック)
価格:1150万円
全長×全幅×全高:4,720×1,895×1,675㎜
エンジン:直列6気筒ディーゼルターボ 排気量:2,993cc
最高出力:355ps(261kW)
最大トルク:730Nm
駆動方式:4WD

【問い合わせ先】
ALPINA CALL: 0120-866-250

文/佐藤篤司
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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