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女子プロサッカーリーグ・WEリーグの注目チーム「大宮アルディージャVENTUS」岡本武行新監督が語る開幕に向けての意気込み

2021.03.04

 澤穂希、宮間あやら名選手を擁した佐々木則夫監督率いる「なでしこジャパン」が、2011年女子ワールドカップ(W杯=ドイツ)で頂点に立ち、東日本大震災で傷ついた国民に勇気と感動を届けてから丸10年。日本女子サッカー界が新たな一歩を踏み出す。今夏の東京五輪直後の9月に女子プロリーグ「WEリーグ」が発足する。

「オリジナル11」新規参入組の大宮アルディージャVENTUS

「オリジナル11」入りしたのは、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、INAC神戸らなでしこ選手を数多く輩出してきた名門が中心。数少ない新規参入組となるのが、サンフレッチェ広島と大宮アルディージャVENTUSだ。

 その大宮は2020年10月に女子サッカーチーム創設を表明。今年1月に日本女子サッカーリーグ所属のFC十文字VENTUSを継承することも併せて発表した。

 現場は前述の佐々木監督が総監督に就任。世界一に輝いたメンバーである大野忍がコーチとなり、阪口夢穂、鮫島彩がプレーヤーとして名を連ねた。その他にも現役女子代表の有吉佐織や屈指の美人選手として知られる仲田歩夢も所属しており、超豪華布陣で注目を集めている。

「新たなスタートを切る大宮がWEリーグで旋風を巻き起こすのではないか」という期待の声も日に日に高まる中、チームを率いることになったのは、男子の大宮アルディージャでコーチや強化、育成・普及本部長という立場で長年、携わってきた岡本武行監督である。Jリーグの指導者としては、2012年と2013年に公式戦計3試合の暫定監督を務めた経験があるが、プロチームでシーズン頭から采配を振るうのは今回が初。しかも女子の指導も未経験ということで、本人としても大いに気合が入っているという。

写真提供:大宮アルディージャ

「2月20日から本格的なチーム練習を開始したのですが、その前の自主練の時から選手たちは積極的にやってくれていて、本当に頼もしい限りです。私はこのクラブに長くいて、いろんな監督の下で仕事をしてきましたけど、誰かの真似をするのは難しい。前面に出てグイグイ引っ張るタイプでもないので、いろんな人とコミュニケーションを取りながらチーム作りを進めていきたいと考えています。

 女子サッカーの指導という意味では佐々木さんという名将がいますし、コーチの大野さんもアグレッシブにやってくれている。そういう人材をリスペクトし、有効活用させてもらうのが、成功への近道だと考えています」と新監督は謙虚なスタンスで取り組んでいるのだ。

 国民栄誉賞の指揮官やコーチが現場スタッフに並び、指導対象も世界一経験者が複数いるというチーム編成は、女子サッカー新人監督にとっては少しハードルが高いようにも映る。そこで結果を求められるのだから、プレッシャーはやはり大きいだろう。

 そんな環境だからこそ、岡本監督は「周りのよさを引き出すことの重要性」を大事にしている。監督だからと言って「上から目線」になるのではなく、多くの人々の意見を聞きながら調整を図り、最善の方向へと導くアプローチの方が結果は出やすい…。そう考えているのだ。

「女子選手というのは、何かを問いかければ答えが返ってくるという印象があります。男子の場合は『ハイ』『分かりました』ですませてしまうケースも多いけど、しっかりとした意見をぶつけてくる。まずはそれをしっかりと聞くことが重要だと思います。

 佐々木さんもなでしこを率いていた時、対話を大切にしていたといいます。選手と対峙して聞くべきことは聞き、言うべきことは言う。そのフェアな姿勢が世界一の原動力だったのでしょう。1人1人のよさはそれぞれ違いますし、それを理解しなければ強いチームは作れない。タイミングをみて個人面談もしたいなと考えています。

 佐々木さんからは『女子チームでは身だしなみを含めた立ち振る舞いも大事だ』とも言われました(笑)。やはり監督としてしっかりとした行動を取らないといけないという自覚も強めています」


写真提供:大宮アルディージャ

地元に根付き、応援されるような存在になるのが一番の目標

 こう発言するように、岡本監督は女子選手たちにとって風通しのいい環境を作るべく、尽力していく構えだ。そんなスタンスは、女性の部下をもつ管理職男性にも通じるものがあるのではないか。

 そのうえで、ピッチ上では厳しさを持って挑むことが肝心だ。オンとオフをどう使い分けるか。それはサッカー指導者にとっても1つのポイントと言っていい部分だろう。

 岡本監督が1つの理想モデルと位置付けるのが、かつて大宮アルディージャで指揮を執ったオランダ人のピム・ファーベク監督。2002年日韓W杯ではフース・ヒディング監督の下でヘッドコーチを務めて韓国の4強入りに貢献し、2010年南アフリカW杯にはオーストラリア代表監督として参戦した恩師は2019年にこの世を去ったが、その一挙手一投足は岡本監督の脳裏に焼き付いて離れない。

「自分がアルディージャのGKコーチだった98~99年にピムの下で働いたんですが、練習や試合では凄まじい勢いで選手に要求し、容赦なく怒鳴りつけるのに、ピッチを一歩離れるとリラックスして気さくな笑顔を見せてくれる。まだ駆け出しの指導者だった自分はその落差に驚きましたが、すごく勉強になりましたね」

 こう話す岡本監督もピッチ外でフレンドリーな一面を見せている。2月の自主トレ期間中に大宮・氷川神社で偶然会った鮫島彩が「監督から氷川だんごをごちそうになりました」とSNSにアップしていたが、ピッチを離れたら「気のいいおじさん」として振舞えるのが、彼のよさなのだ。

「ピムからは戦術についても学びが多くて、それを20年かけて積み上げ、ここまで来た感じです。もともと大宮というクラブは自分たちから主導権を握ってアクションを起こしていくサッカーを志向するチーム。それは佐々木さんも共通しています。WEリーグを戦う自分たちもそういうスタイルを貫きながら、勝利を追い求めていきたい。佐々木さんも近くにいますし、アドバイスをもらいながら戦っていこうと思います」と53歳の新人女子チーム監督は新たな決意を口にした。

写真提供:大宮アルディージャ

 岡本監督は2010年にJFA公認S級ライセンスを取得しているが、同期にはなでしこジャパンの高倉麻子監督、シンガポール代表の吉田達磨監督など第一線で活躍している指揮官が少なくない。ここまではフロントやアカデミーの立場からチームを支えてきた彼もここから勝負に打って出ることになる。

 果たして自分自身を磨き上げながら、強い集団を築き上げられるのか。ここからが本当の勝負と言っていい。

「9月の開幕まで半年ありますけど、4~5月にはプレシーズンマッチが控えています。まずはそこに照準を合わせて、戦えるチームを作らなければいけません。VENTUSには現役なでしこの選手もいれば、前身のFC十文字から来た選手もいる。25人のメンバーはプロ選手もアマチュア選手もいるという構成で、経験値も含めてバラツキがあります。それを踏まえてまずチームを固め、選手個々との意思疎通も密にしていく必要がありますね。

 そしてWEリーグ開幕後には、VENTUSの認知度を高められるようにしたいです。アルディージャも発足当初は認知度が低かったですが、今はエンブレムのシールを貼ってくれている車も見ますし、NACK5スタジアム大宮に熱心に足を運んでくれている家族連れも沢山います。そうやって地元に根付き、応援されるような存在になるのが一番の目標です。自分がその一助になれるように努力していきます」

 今夏の東京五輪が予定通り開催され、なでしこジャパンがメダルを獲得し、その勢いに乗ってWEリーグが開幕し、大宮アルディージャVENTUSが発足初年度に上位争いそんなシナリオが現実になれば、まさに理想的。高い領域を目指して、岡本監督の挑戦は続く。

取材・文/元川悦子

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