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アレルギー炎症を全身に拡げるメカニズムを解明、日本大学医学部アレルギーセンター発表

2021.03.06

「アレルギー炎症」を全身に拡げるメカニズムとは?

近年、細胞間の相互作用には、細胞が遊離する細胞外小胞と呼ばれる顆粒状の物質が重要であることがわかっていた。細胞外小胞には、タンパク質や核酸などが内包され、受け取った細胞の機能を制御する。

がんの発症や転移などに関わることから盛んに研究が行われている。この癌の転移のようにこの細胞外小胞は、遠隔の細胞に情報を伝えることができる。しかし、アレルギー炎症の増悪や遷延化に関わるマスト細胞の細胞外小胞の役割は、これまでに明らかにされていなかった。

今回、日本大学医学部アレルギーセンター免疫アレルギー学プロジェクトチーム 岡山吉道アレルギーセンター副センター長、豊島翔太ポストドクトラルフェロー、呼吸器内科の權寧博教授、皮膚科の葉山惟大助教および順天堂大学医学研究科眼科学の松田彰 准教授らの共同研究グループは、ヒトマスト細胞を用いて、マスト細胞がアレルゲンで活性化する時に遊離する細胞外小胞中のmiRNAを網羅的に調べたところ、miRNA103a-3pというmiRNAを特異的に遊離していることを見出した。

さらに、そのmiRNA103a-3pがどのようにしてアレルギーに関与するかを調べたところ、2型自然リンパ球 (注5)からのIL-5産生を増強・持続化させることを突き止めた 。

重症および慢性的なアトピー性皮膚炎や喘息患者では、好酸球が増加する好酸球増多症と呼ばれる現象が観察される。

IL-5は、その好酸球増多を惹起するために必須のタンパク質であり、実際に重症喘息患者では、IL-5をブロックする抗体療法を用いると好酸球増多は抑制され、臨床症状の改善が見られる。さらにアトピー性皮膚炎患者の血清中の細胞外小胞内miRNA103a-3pは健常人に比較して有意に増加していることを発見した。

したがって、ヒトマスト細胞がアレルゲンによって活性化した時に遊離する細胞外小胞に内包されるmiRNA103a-3pは、血中を循環し遠隔に存在する2型自然リンパ球をも活性化しIL-5産生の増強・持続化をもたらし、例えばアトピー性皮膚炎患者の全身の皮膚で好酸球増多が長引くことで、アレルギー炎症を増悪・遷延化させている因子の一つであることを明らかにした。

研究成果により、アレルギーを増悪・遷延化させている細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを見出すことができた。

今後、細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを特異的にブロックする方法を開発することができれば、それを応用した新規治療薬の開発が期待される。

詳細: https://www.juntendo.ac.jp/news/20210225-01.html

原著論文
本研究はJ Allergy Clin Immunol誌のオンライン版で2021年1月16日付で先行公開されました。
タイトル: miR103a-3p in extracellular vesicles from FcεRI-aggregated human mast cells enhances IL-5 production by group 2 innate lymphoid cells.
タイトル(日本語訳): FcεRIで凝集したヒト肥満細胞の細胞外小胞に含まれるmiR103a-3pは、グループ2の自然リンパ球によるIL-5産生を増強する
著者:Toyoshima S(1), Sakamoto-Sasaki T(1), Kurosawa Y(2), Hayama K(3), Matsuda A(4), Watanabe Y(4), Terui T(3), Gon Y(5), Matsumoto K(6), Okayama Y(7)
著者所属: (1-3,5,7) 日本大学、(4)順天堂大学、(6)国立成育医療研究センター
DOI:10.1016/j.jaci.2021.01.002.

本研究は、文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 (岡山吉道、權寧博、照井正、S1511014)、日本学術振興会・若手研究 (豊島翔太、19K17687) 、科研費(岡山吉道、20K08811)および日本大学研究助成金(岡山吉道)の研究成果です。

構成/ino.

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