
株式市場における、『理想買い』と『現実買い』というキーワードをご存じだろうか?
本稿では、『理想買い』とはどのようなものなのか、電気自動車メーカー・テスラ社を例にとって解説し、さらに、『理想買い』から『現実買い』への移行が期待される今後の株式市場の展望について説明していきたい。
『理想買い』と『現実買い』
相場の世界には『理想買い』と『現実買い』という言葉がある。『理想買い』とは先行きの企業業績に対する期待感に基づき株式を買うことを言う。たとえ足元の業績が悪かったとしても、規制緩和が進んだり、有力な新商品が開発されたりすれば、投資家は先行きの業績が改善すると考える。
一方、『現実買い』は、好業績の発表など実現した材料に基づき株式を買うことを言う。これまで確信が持てなかった新商品が実際に発表され株が買われることもあり、新商品の開発が期待外れとなると株価は下落することもある。
テスラに見る『理想買い』
米国EV(電気自動車)メーカーのテスラの株価推移を見てみたいと思う。同社は2003年に設立された新興企業で、2010年6月、米国ナスダック市場に上場した。上場当初から有望なベンチャー企業として注目されてはいたが、一方で、有力なモデルを開発できるか、大量生産ができるかなど様々な点が懸念されていた。
しかし、2012年に代表的なモデルSが発売され、その後は順調に生産が拡大した。2019年には中国工場が稼働し、2020年には初の最終黒字を達成しており、今後、更なる業績拡大が期待されている。
今後の株式市場は『理想買い』から『現実買い』へ
『理想買い』と『現実買い』は相場全体の動向にも当てはまる。世界の株式市場は、昨年、新型コロナ感染拡大による景気見通しの急変により3月にかけて急落した。しかしその後、各国・地域による積極的な金融・財政政策や新型コロナワクチン開発による経済正常化を期待し、株価は急回復してきた。
新型コロナワクチン接種の普及も進み、経済活動・企業業績は徐々に回復してきた。ここまでの上昇相場が『理想買い』とすると、更なる経済成長・企業業績改善という『現実買い』への移行が期待される。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント株式会社
構成/こじへい
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