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「猫を轢く」ことが怖すぎて自動車に乗れなくなった男の話

2021.02.25

猫を轢くのが怖すぎて車に乗れなくなった男

人は、守るものが生まれると強くもなり、また弱くもなるようだ。

若いころは散々好き勝手に生きてきた同級生が30代の半ばに子供を授かった。

これまでは他人に寄り添う素振りを見せたことのない人物だったが、我が子を前にするとえびす顔。さながら牙を抜かれた元猛獣である。

その変遷には思うところがないわけでもないが、彼はこれまで、守るべき存在がなかったから“無敵”だったのだろう。

今の彼は愛する我が子を守るために、下げたくない頭を下げて生きている。その姿勢を見ていると「守る存在があると、やっぱり人は変わる」と感じてしまう。

もちろん、守るものが何もなくても、賢明に、誠実に生きている人には敵わないが。

猫を飼い、猫を知ったら車が怖くなった…

同じような話がもう一つある。今はもう付き合いが途絶えて久しいが、かつて地元九州でしょっちゅう一緒に遊ぶ友人がいた。

彼もまた元々は“無敵”の属性にあった人物であったが、あるとき野良猫を保護してからまさに人が変わった。

この野良猫は長らく屋外で暮らしてきた生粋の野良個体で、友人はそんな野良猫が自宅のそばに居着いていることを徐々に不憫に思うようになったという。

あるとき決心して家の猫として迎え入れたあと、彼はこれまで知らなかった野良猫の生きざまや、屋外に潜む危険……特に交通事故について学び、大きくショックを受けた。

そしてこの経験が、彼の人生をちょっと不便にする(笑)。

「俺さぁ、自転車買ったんだわ」

友人がそう言ったとき、筆者は「車あるのになんでまた。田舎だから車ないと不便でしょ」と答えた。しかし友人の決心は固かった。

「交通事故で毎年たくさん猫が死んでるけど、撥ねちゃうドライバーは別に好きで撥ねるわけじゃない」

「俺も車は好きだけど、猫を飼ってるとどうしても、あの猫と外で暮らす猫がダブる。交通事故の加害者にならない自信も、最近はなくなった」

このようなことを並べ、後日彼は本当に車を手放した。

ただ、やっぱり車がないと不便であることは事実。それからほどなくして、友人は電動自転車に買い替え、少しだけ移動でラクをするようになった。

たしかに猫の車道横断にはハラハラする…

まあ、彼の考えと行動は極端である。いや、極端が過ぎると言っていいかもしれない。

でも筆者は、その気持ちがよぉく分かるのだ。

なにせ筆者もまた、車を所有していない。理由は前述の彼とはちょっと違って、人を撥ねない自信がなかったというものだ。

交通事故の加害者になったら、人生おしまいである。

そのリスクと利便性を天秤にかけて、車を持たないように決心したのだ。これで筆者は、死ぬまで車で誰かを傷つけることはなくなった。

ただしすごく不便である(笑)。

そしてまた、筆者も猫を飼っている。当然、屋外で不憫に暮らす野良猫にもかなり同情している。

つい数日前も、車の往来の合間を縫って車道を横断しようとする猫を見かけて冷や汗が出たばかりだ。

猫の交通事故件数はきっと、外飼い猫や野良猫が減らない限り減らない。

だとしたら自分がその加害者にならないように車を手放すという考えも、まあ自己満足の範疇とは言え、個人的にはアリなのだ。

おわりに

そう言えば小さいころ、道端の標識の下に「あぶないよ 車は走る 赤信号」という標語が書かれていたのを思い出した。

歩行者向け、それも子供向けのスローガンであるが、車は本来危ないものなのだ。信号無視をするドライバーも大勢いる。

そして屋外に暮らす猫には、信号を見分けるだけの知恵まではない。

車も急には止まれない。猫も急には止まれない。猫と車はそもそも、食い合わせが悪いのだ。

文/松本ミゾレ(PETomorrow編集部)

構成/inox.

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