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コロナ禍で変わる上場企業の資金調達、コミットメントライン契約数は前年比で4.6倍、契約金額は7.1倍に急増

2021.02.25

コロナ禍を背景に、上場企業の資金調達に関連した情報開示が増えている。

上場企業では、現時点において新型コロナによる重大な影響を受けていなくても、不確実要素が多いなか、手元資金に余裕をもたせようとする動きが多くなっているようだ。

資金調達の手段は様々だが、近頃上場企業の適時開示情報でよく目につくのが「コミットメントライン契約」の締結。同契約の特徴は、企業が金融機関と契約を結び「あらかじめ設定された期間」かつ「融資枠内」であれば審査なしで融資を受けられる約束(コミット)をする契約で、金利とは別に手数料がかかるものの、必要に応じたスムーズな資金調達が可能になるとともに、金融機関と当該企業の関係性を判断するひとつの指標となる。

帝国データバンクでは2020年1月1日から2020年12月31日までの適時開示情報から、コミットメントライン契約の締結を公表した上場企業を集計した。

コロナ禍でコミットメントライン契約額は7.1倍に

契約件数・金額

2020年にコミットメントライン契約の締結を発表した上場企業は185社となり、前年(40社)比で4.6倍に急増した。また、185社のうち、新型コロナによる事業環境の変化や、不測の事態に備えるための財務基盤の安定化が契約の主たる目的であると記載した会社は108社確認され、全体の約58.4%を占めた。

185社の契約金額の合計は3兆2605億円となり、前年(4610億円)比で7.1倍となった。また、3兆2605億円のうち、新型コロナへの備えを理由とした記載があった108社の契約金額は1兆6677億円となり、全体の約51.1%を占めた。

公表月別に社数をみると、「5月」が48社で最多。次いで「6月」39社、「4月」19社と続き、同3カ月間に全体の53.5%が集中した。4月に発出され緊急事態宣言の発出による影響が大きかった。

185社を契約額別にみると、「10億円以上50億円未満」が90社で最多となり、全体の48.6%を占めた。構成比を前年と比べると、「100億円以上300億円未満」(5.0%→18.9%)が急増、「10億円未満」(20.0%→8.6%)が急減した。「1000億円以上」の大型案件は7件で前年比7倍となった。

業種別に社数をみると、「サービス業」が48社(構成比25.9%)で最多となり、以下、「その他」(41社、同22.2%、うち40社が持ち株会社)、「製造業」(38社、同20.5%)、「卸売業」(22社、同11.9%)、「小売業」(21社、同11.4%)、と続いた。

契約金額では「製造業」(1兆4113億円)が最大となり、「その他」(6946億円)、「サービス業」(4597億円)、「運輸・通信業」(3163億円)と続いた。

手元資金の確保に向けた動き進む

2020年は新型コロナに伴う資金確保の動きが高まったことで、3月以降、上場企業のコミットメントライン契約社数が4.6倍、契約総額が7.1倍と、ともに急増した。公表された資料の中で新型コロナに言及した会社が全体の6割近くあり、経済の不確実性が高まっている情勢に鑑み、手元の資金を確保しようとする動きが目立つ。

業種別でみると、社数では「サービス業」が最多となり、契約金額では「製造業」が最大となった。「サービス業」は観光関連事業やレジャー・娯楽業、ブライダル業などBtoCの企業が数多く、外出自粛要請や緊急事態宣言によって消費者の動きが止まった影響を依然として大きく受けている。「製造業」はもともと工場など製造拠点に巨額の投資を行ってきたうえ、同設備の維持費やそこで働く多数の従業員の給与などが重荷となるケースが多い。

今後、感染が収束に向かったとしても、業績回復までに時間を要することやコロナ禍によって変化してゆくニーズに対応するためにコミットメントライン契約をはじめとした機動的かつ安定的な資金調達手段を確保する動きは続くとみられる。

構成/ino.

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