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深刻化する介護業界の人手不足、現場を体験した学生たちの意識の変化

2021.02.23

介護業界が深刻な若手不足に悩まされているなか、若者たちへ介護職に対する関心が呼びかけられている。厚生労働省による補助事業の一環として制作されているBSフジのテレビ番組「にっぽんの要 わかる・かわる介護・福祉」もその一つだ。これまで複数回放送されてきたが、2021年2月には新たに3回に渡って放送される予定だ。今回、この番組に出演した現役大学生たちにインタビューする機会が得られた。介護の現場を目の当たりにした後、彼らの意識はどう変化したのか? 介護業界の今と未来を探る。

介護職の若手不足の現状と補助事業

公益財団法人 介護労働安定センターが出した「令和元年度 介護労働実態調査結果」によると、9,080事業所で介護労働に従事する者88,047人のうち、30歳未満は全体の7.3%に留まっている。これは訪問介護員と介護職員合わせた数字だ。また平均年齢は48.8歳と、若手は少ない現状が顕著だ。

こうした現状を受け、国や介護業界は広く情報発信を行い、なんとか若年層の働き手を増やそうとしている。

例えば、株式会社サンケイビルテクノが厚生労働省補助事業「介護のしごと魅力発信等事業(福祉・介護の体験型・参加型イベント実施事業)」の一環として制作しているBSフジの番組「にっぽんの要 わかる・かわる介護・福祉」もその一つだ。

「介護のしごと魅力発信等事業」とは、福祉・介護分野への多様な人材の参入促進を目的として令和元年度(2019年度)から始まった厚生労働省による事業で、公募により選定された事業実施団体が、福祉・介護のしごとの魅力を伝えたり、イメージを向上させたりするための「体験型・参加型イベントの開催」や「世代横断的な広報活動の展開」などを実施するものだ。

2019年度より始まった当番組では、俳優の要潤さんと介護福祉士・モデルの上条百里菜さんの二人による司会で、本事業の一連の取り組みを紹介している。2021年2月には、全3回の特番として放送される予定だ。

放送予定日
#1:2月7日(日) 14:00~14:30
#2:2月14日(日) 12:00~12:30
#3:2月28日(日) 14:00~14:30

大学生4名の介護のイメージ変化

(画像はイメージ)

今回の番組では、現役大学生が若者代表として介護の現状を知るために出演する。

株式会社LUYLの代表 布施田祥子布さんによる「靴を作るプロジェクト」を追うほか、神奈川県藤沢市の地域交流型介護施設などで注目される株式会社あおいけあの代表取締役・加藤忠相さんの出演、福祉系の専門学校の学生たちが介護の未来を変えるアイデアを出すコンテスト開催など、介護の新たな一面を知ることのできる内容となっている。

今回、この番組に出演した4名の現役大学生Iさん、Sさん、Oさん、Mさんにインタビューを行った。介護の現場を目の当たりにし、介護に対するこれまでのイメージはどう変化したのか。また他の若者にはどんなことを伝えたいかなど、リアルな意見を聞いた。

●大学生たちが持っていた介護のイメージ

大学生たちは、これまで介護に対して、共通してネガティブなイメージを持っていた。

Iさん「介護職は評価の基準がなく、数字などで頑張りが図れない分、頑張ったとしても報われない仕事というイメージが強かったです。介護福祉士はあまり人気がない職業というイメージもあり、やりたくない仕事トップ3くらいに入っていそうと思っていました」

Sさん「力仕事が多く、閉ざされた部屋で、重たい空気が流れる中での日々だと思っていました。自由に過ごせない高齢者の方が多くて、みんな全てにおいて投げやりになっているため、職員は当たられたり、物を投げつけられたりするのでは?と大変な職業のイメージでした」

●実際に介護の現場を目の当たりにしてどう感じたか

大学生たちは、番組で実際に現状の介護施設や介護現場の話を聞いた。その後、どのような意識変化が生じたのか。

Iさん「今まで持っていた介護の世界はかなり昔のイメージだったことがわかりました。超高齢化社会の日本は、介護の世界も最先端と知って、いろいろと高齢者の気持ちを優先しているのは、学んでいて楽しかったです。
陰湿なイメージからガラッとやりがいのある仕事というイメージに変わりました。特に施設は、行動を制限したり、自由に外出できないと思っていました。開けた環境で得意なことを発揮しつつ、生活していける環境は、高齢者にとっても介護福祉士にとってもいいことしかないと思います」

Sさん「支えたり、お年寄りの方の姿に逆に支えてもらったりと、素晴らしい職業だと思いました。意外と自由に外に行けるし、色んなことをして遊べるし、楽しいこともたくさんあるんだなとギャップが大きかったです。プリクラを撮りに原宿へ行ったりすると聞いたときには驚きました」

Oさん「介護職に対してかなりポジティブな考えを持てるようになりました。現在の介護職には様々な種類があるため、自分に合った介護職を選択できるようになるということや、介護職に就くことで自分にとってもメリットが需給されるようになったりする、進化的側面を感じました。また介護職の種類が多く、増え続けていることに驚きました。介護必要者の生活をより豊かにするための介護職、例えば靴のデザインなどもあることを知り、介護に携わることに明るいイメージを持つことができました」

Mさん「初めは、介護施設というと病院で入院しているようなイメージでしたが、一人一人が自分の趣味や好きなことをして過ごせたり、料理を振る舞ってくれるなどサークルに所属しているようなイメージに変わりました」

●介護職のむずかしそうな側面

(画像はイメージ)

介護職も一つの仕事であるため、他にはないむずかしさもあるだろう。大学生たちにむずかしそうな側面も聞いてみた。

Sさん「話してくれる言葉を聞き取れなかったときの対応や反応がむずかしいなと思った。聞いてるふりもだめだし、聞き返すのも相手を怒らせないように傷つけないように、言葉選びや話し方に気をつけるなどです。」

Mさん「介護の仕事で接する方の年齢は、自分よりはるかに年齢の高い方になるので、そうした場合の話し方や会話の仕方はむずかしいのかなと思った」

●若者の介護職に対するネガティブイメージに対する意見

4名の大学生もそうだが、若者はたいていの場合、介護職に対して多かれ少なかれ、ネガティブなイメージを持っているようだ。これに対して、彼らはどうとらえているのか。

Iさん「若者が介護職にネガティブな感情が芽生えているのは、ニュースなどで聞く介護関係ではあまりいいイメージがなく、介護職の良い面を学ぶ機会がないことが一番の原因かと思います。4人に1人が高齢者という現在、若い人が高齢者を支えていかなければいけない現場の中、悪いイメージが先行しているのは、かなりまずいと思います。今後、介護福祉士の人手が足りなくなってしまうことがないようにしないといけないと思います」

Oさん「日本は世界でも有数の超高齢社会であり、介護職の必要性はこれから増え続けていくと思います。その中で、介護を担っていく若者世代が介護職に対してネガティブに捉えていることに関しては、かなり危機的な状況であると考えます。しかし実際は、介護職にも若者にとってポジティブに捉えられる仕事があるのも事実です。若者にとって介護職がポジティブなものに捉えられるようにするにはどうすれば良いかを考えていくことが必要であると考えます」

●若者たちへのメッセージ

最後に、同じ若者の立場として、若者たちへのメッセージを発信するとすれば何と伝えたいかを聞いた。

Iさん「『介護ってどんなイメージ?』と聞かれたときに、みなさんがイメージするものはおそらく50年以上前のものだと思います。現在の介護を少しでも学べば、暗いイメージや絶対にやりたくないというのは、なくなると思います」

Sさん「暗いイメージや大変な職というイメージが強いかもしれないけど、 私が映像で見たのは、みんなが笑顔の姿だったので、介護職を知れば知るほどやりがいのある仕事だということを伝えたいです」

Oさん「介護職はみなさんが思っているようなネガティブな職業ではありません! 現代では自分に合った介護職を選択することができます! また、介護職は可能性が飽和していない職業です! 介護の必要性が増え続けていく今、さらに新しい介護職を自分でデザインしていくことができるのも魅力的な職業であると思います!」

Mさん「今まで暗いイメージやきつい割に給料が低いなどのイメージがありましたが、実際は働いている方も施設を利用している方もとても楽しそうで、実際に体験してみたいと思いましたと伝えたいです」

番組では、介護・福祉学校の学生たちが、介護の未来を変えるアイデアを出し合う内容も放送される。

そのアイデアの中には、「日本人介護者と外国人介護者との交流会の開催」、「イメージキャラクター」や「四コマ漫画」を制作したりして介護のイメージ改善を図るといったもの、「VR(バーチャルリアリティ)」で家族との交流や思い出の場所へ再度訪れる体験を提供するもの、介護のイメージチェンジのために「ドラマ」を作るといったものなど、若者ならではの面白いアイデアが多数出てきていた。

現在の課題としては、介護職に対するイメージが低いこと、知る機会が少ないことなどが挙げられる。介護の現場はどんどん進化しているようだ。これからは若者たちが何かしらの方法でかかわっていくことで、新たな介護職の面白い側面が見出されるのではないだろうか。

(画像はすべてイメージ)

【参考】
「にっぽんの要 わかる介護・福祉 かわる介護・福祉 ~介護のしごと魅力発信等事業~」
https://sankeikaigofukushi.com/

取材・文/石原亜香利

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