
新型コロナ感染症の拡大防止による、外出自粛、時短営業等の影響で財務諸表に継続企業の前提の注記が掲載されている企業が増えています。この注記が出ている企業への投資には注意が必要です。
継続企業の前提の注記とは?
まず注記とは、企業が投資家等のために開示する財務諸表(貸借対照表B/S、損益計算書P/L、キャッシュ・フロー計算書C/F等)と一緒に開示されるもので、B/SやP/L、C/Fに記載されている数字や科目について投資家が必要としている情報で不足している分を補う役目があります。
会計において認められている方法の範囲で会計の処理方法を選択できることから、企業それぞれで処理方法を異なっているため、数字だけではどんな会計処理方法をとっているかによって他の企業と単純に較べることができません。例えば、保有している有価証券の評価方法、資産の減価償却の方法など注記で示されます。
今の会計基準ができる前までは企業はすぐになくなってしまうのが当然でしたが、今日では、毎期継続して企業が存続することが当然となっています。しかし、決算日において債務超過等によりその前提が崩れたときには、この企業が継続するという前提が崩れたことを注記によって開示しなければなりません。
このような注記を「継続企業の前提に関する注記」といいます。
継続企業の前提に関する注記がある企業への投資には注意
継続企業の前提に関する注記が上場企業で開示されることはめったにありませんが、この注記が開示されたら投資には注意が必要です。
この注記があるということは、決算日において会社が将来存続していることに重要な疑いがでてきていることを意味します。
株式投資において会社が存続しなくなるということは、株式価値がゼロになることを意味します。
社債等の債権であれば企業が保有する残余資産を元に一部返ってくる可能性もありますが、株式は絶対に返ってきません。倒産し上場廃止となり、再度同じ企業で上場したとしてもそれは全く別の株式で倒産前に保有していた株式は戻ってきません。
この注記がでる前からそもそも株式が下がっている可能性もありますが、このような注記が出ればさらに下がります。
このような株式は100円以下の低位株となり、10円とか1円など株価は低くなります。そうすると10円が15円と5円上がっただけでも50%も儲かるため、このような株価が低い状態になると取引が激しくなり投機的になります。あくまでも、このような状態になったときにはゼロになるリスク、大幅に損をするリスクを理解の上、投機的と考えて投資する必要があります。
コロナ渦で継続企業の前提の注記が出ている企業は?
新型コロナウィルス感染症の拡大期以降で、継続企業の前提の注記が出ている企業をご紹介します。
継続企業の前提の注記は、会社のホームページ等で投資家向けに開示されている決算短信等で見ることができ、キャッシュ・フロー計算書(C/F)の後に記載されています。
継続企業の前提の注記が出ている企業は、その後業績回復する可能性や他の企業が支援し復活する可能性もあります。例えば、大塚家具(8186)は2018年8月14日に、継続企業の前提の注記を発表しましたが、ヤマダHLDの子会社化発表時には一日で30%値上がりし、さらにヤマダの社長が大塚家具の社長を兼任することになった日には一日で33%、翌日17%と合計50%も値上がりした。ただ、まだ、赤字が続いているため、継続企業の前提の注記はまだ記載されています。
このように大きく値上がりする可能性もあるのですが、上場廃止となるリスクが高いことを理解し、熟慮の上投資しましょう。
また、既に保有している方が、注記に今後の打開策なども記載されていることもあるため、その情報を参考にした上で保有し続けるのか、手放すか検討すると良いでしょう。
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フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。
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