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コロナ禍で団体・グループ向け大型飲食店の閉店が急増、特に多いエリアは渋谷区、港区、中央区

2021.02.11

コロナの影響により大型店舗の閉店率が増加傾向

2020年は新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言の発出、外出の自粛や、リモートワークの普及などが影響し、前年とは異なる傾向が多く見られた。

そこでシンクロ・フードは、特に影響の強い、関東地方の一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)を中心に、業態、店舗の広さ、階数での閉店相談割合の推移を元に2020年の閉店を検討した飲食店の実態を明らかにした。

閉店店舗の業態別割合

団体・グループ客を集客している業態は前年に比べ閉店割合が上昇傾向

2020年の業態別の閉店相談割合について、前年に比べ居酒屋、カフェ・バー、カラオケ・スナックの3業態の割合が上昇するという結果に。

居酒屋(前年比6.15%増)、カフェ・バー(前年比4.22%増)と、5%前後の上昇がみられた。カラオケ・スナック(前年比2.33%増)と比較しても大きな変動であると考えられる。

サラリーマン・グループ客向けの居酒屋や、オフィス街にあるカフェなどは、新型コロナウィルス感染拡大による時短営業要請や、周辺オフィスに勤務していたオフィスワーカーのリモート化などの影響により、営業難に陥るケースが増えているように推察できる。

カラオケ、スナックなども感染予防の為の3密防止方針や短縮営業が影響を及ぼした結果、閉店相談率が高まる原因になったと考えられる。

常連客が付きやすい業態・「おひとり様」向けの業態は変化が見られず

前述の3業態と異なり、上述した影響をあまり受けていない業態はラーメン・そば・うどん(前年比マイナス4.7%)、フレンチ・イタリアン・その他洋食(前年比マイナス5.29%)、お弁当、テイクアウト(前年比マイナス2.25%)となった。

フレンチ・イタリアン等の洋食系業態については、居酒屋等と異なり、アルコールメインの業態ではなく、食事を目的とした飲食店が多いということと、商業立地だけではなく、住宅立地でも集客しやすい、また常連客を獲得しやすいなどの理由により、閉店相談率の上昇が抑えられているのではないかと考えられる。

ラーメン・そば・うどんなどの業態については「おひとり様」需要が高まっていることもあり、例年に比べ閉店傾向は抑えられているように見られます。また、住宅立地の駅周辺でも、リモート化や、飲み会需要の減少、時差出勤で帰宅時間が早まるなどのきっかけにより、利用機会が増えていることも考えられる。

お弁当・テイクアウト業態についてはUber eats(ウーバーイーツ)などのデリバリー系事業の需要拡大や、「おうち時間」確保のためのテイクアウト需要の高まりにより、事業継続しやすい環境が作られてきている。

2021年以降、テイクアウト・デリバリー事業を主とする事業者が増えることが考えられ、それに合わせて同業態の閉店数が増加することも考えられるが、好調トレンドはしばらくの間維持されるのではないかと想定できる。

店舗面積・階数別の閉店相談割合

1階以外、中型・大型店舗の閉店相談割合が上昇傾向

飲食店の場合、業態やターゲット客層によって、適切な店舗の広さは異なる。2020年に受けた閉店相談については20坪以上の店舗の閉店相談が多くなるという結果に。

特に顕著だったのは20~30坪の店舗(前年比8.6%増)と30~50坪の店舗(前年比5.0%増)となり、次いで50坪~80坪の店舗(前年比2.5%増)となった。

飲食店の場合、業態にもよるが、1坪につき1.5~2席の客席を設けることができる。閉店相談が多くなった店舗の傾向としては、30~50席以上の客席を持つ中規模、大規模な店舗が挙げられ、それに反して10坪~20坪の店舗(前年比マイナス14%)、10坪以下の店舗(前年比マイナス2.7%)となり、小規模店の閉店相談割合は前年に比べて低下するという結果となった。

店舗の階数によっての傾向にも、一定の変化が見られた。1階の店舗の閉店相談割合が前年に比べ、マイナス13%となり大きく減少傾向に。他の階層については1階を含まないものはすべて上昇するという結果となった。

特に、3階以上の空中階店舗(前年比7.36%増)と地下1階店舗(前年比6.44%増)の増加率は大きく、前述してきたコロナ禍での集客力低下が大きく影響していると考えられる。先にご説明した店舗の坪数についてのデータと照らし合わせると「中規模または大規模の1階以外店舗」の閉店相談割合が上昇の傾向にあるということが見受けられる。

これらは、団体客や大人数のグループをメインに集客するような業態の飲食店に多くあてはまり、それらの業態はオフィス立地、商業立地の客数減少も相まって、店舗運営に大きな影響を及ぼしたと考えられる。

東京都内:市区町村別の閉店相談割合

都内中心部の閉店相談割合が増加傾向

2020年、東京都内にて運営している飲食店の閉店相談は、前年に比べ、都心3区(千代田区、中央区、港区)、副都心4区(渋谷区、新宿区、豊島区、文京区)の割合が上昇するという結果となった。

中でも上昇率が大きかったのは渋谷区(前年比8.41%増)、港区(前年比5.68%増)、中央区(前年比3.05%増)に。

これらに該当するエリアは、区内各駅の中でビジネス立地・商業立地が広範囲を締めており、2020年4月の緊急事態宣言後の各企業のリモートワーク・商業施設、店舗の営業自粛の影響を強く受けていると考えられる。歌舞伎町などの繁華街が存在する新宿区は前述した3区に次ぐ上昇率となった。

上記の閉店相談割合が上昇したエリアに比べ、23区西部(品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、北区)と23区東部(足立区、葛飾区、荒川区、台東区、墨田区、江東区、江戸川区)は下降傾向となる。

この傾向については、都心3区、副都心4区の閉店相談数の増加によって、他エリアの占有率が低下したことも影響しているが、台東区(前年比3.16%減)、大田区(前年比2.76%減)、江戸川区(前年比2.75%減)、北区(前年比2.74%減)の4区については3%前後の減少率となり、例年よりも閉店相談数自体も減少していると考えられる。

今後の見通し

以上が、2020年、飲食店の閉店相談の傾向となる。新型コロナウィルスの感染拡大によって、飲食店は大きな影響を受けており、今もその状況には改善の見通しが薄い状態が続いている。

今後も店舗の閉店は増加する可能性が高く、飲食店の居抜き物件情報が増えていく傾向になると思われる。居抜きの物件情報が増えると、売却相場が下がる可能性があり、売り手となる飲食店オーナーにとっては希望条件に合った店舗売却を行うことが難しくなる可能性がある。

居抜き売却相場が下がってしまうという状況の中で、うまく事業整理を行うためには厨房設備・内装だけを売却する「造作譲渡」ではなく、商品・サービスなどもまとめて引き継ぐことのできる「M&A」での事業引継ぎを検討する事業者が前年に比べ、増えてきている傾向がある。

M&Aでの店舗売却を成功させるには特徴のあるメニューや、根強い常連客層など、立地・設備以外の強みを活かして譲渡先を探していくということが求められるため、飲食事業者には自身の店舗の強み・弱みをしっかりと把握しておくことが必要になると思われる。

調査対象/期間
「飲食M&A by 飲食店.COM」及び、「居抜き情報.COM(運営:シンクロ・フード / ウィット)」へ相談のあった飲食事業・店舗の閉店・売却相談から算出しており、2020年1月1日~2020年12月31日と前年、2019年1月1日~2019年12月31日のデータを比較している。

構成/ino.

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