
イギリスを代表する俳優レイフ・ファインズとキャリー・マリガンW主演の歴史ロマン溢れる感動作『時の面影(原題:The Dig)』が、Netflixで2021年1月29日より独占配信中だ。
ジョン・プレストンによる小説『The Dig』が原作。1939年イギリスのサットン・フーで、無名の考古学研究者がアングロ・サクソン船葬を発掘した歴史的大発見を題材にしている。
考古学研究者バジル・ブラウンを『シンドラーのリスト』『イングリッシュ・ペイシェント』『ハリー・ポッター』シリーズなどのレイフ・ファインズ、発掘が行われる塚の所有者であるエディス・プリティを『17歳の肖像』『未来を花束にして』などのキャリー・マリガンが演じている。
あらすじ
第二次世界大戦開戦直前の1939年、イギリス。
裕福な未亡人エディス・プリティ(キャリー・マリガン)の所有地に塚が見つかったため、評判の良い無名の考古学研究者バジル・ブラウン(レイフ・ファインズ)に発掘を依頼する。
12歳で学校を卒業して以降独学で知識を習得してきたブラウンは、博士号などの学位は取得していないものの、考古学に関しては深い知識と情熱を持っていた。
博識かつ仕事熱心でありながら温かく謙虚な人柄のブラウンのことを、プリティと一人息子ロバートは家族のように慕い始める。
戦争の足音が聞こえる中、プリティは自分が深刻な病に侵されていることに気づく。誰もが死を意識していた時代、ブラウンが発掘に人生を捧げた理由とは。
見どころ
「過ぎ去った過去(歴史)を振り返るのは、無意味なことだ」という人もいる。しかし歴史と向き合うことは、決して後ろ向きな作業ではない。人間の本質は今も昔も、きっと未来もそれほど変わらないからだ。
過去を知ることは、未来を知ること。いにしえの人を偲び、子孫の繁栄を望む。過去と未来の橋渡し。
遥か昔の人々もまた、未来の私たちの暮らしに想像を巡らせながら、幸せを願っていたのだろうか。
戦争が文化の破壊なら、考古学は文化を承継させることだと言えるかもしれない。
何らかの理由で死を意識したとき、人は後世に何かを遺したいと願うものだ。
先にあの世へ行ってしまった愛しい人を恋い慕う気持ちと、次世代に希望を託したい気持ちと。
一人ひとりの切実な願いによって、歴史はずっと紡がれてきたのだろう。
自分が悠久の歴史の一部であると実感できたとき、人は孤独感や死への恐怖から解放されるのかもしれない。
Netflix映画『時の面影』
独占配信中
文/吉野潤子
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