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就活生こそベンチャー企業や中小企業に慎重になるべき理由

2021.02.09

■連載/あるあるビジネス処方箋

心から納得できる職場を求め、動いたほうがいい

そろそろ、2022年4月入社の新卒(専門学校、大学、大学院修士)の採用活動を始める企業が現れている。特に業績が好調なベンチャー企業や中小企業に目立つ。社員数は、100人以下が多い。

学生はおそらく、最初の段階ではこのような企業をホームページやブログ、フェイスブック、Twitterなどで知るのだと思う。そのことは尊いし、今後も可能限り、情報を集めるべきだ。会社説明会に参加するのもいいのかもしれない。

ここで強く言っておきたい。このレベルの企業から早いうちに、つまり、今年の5月までくらいに内定を得たとしても、就職活動を止めるのは避けたほうがいい。さらによりよき会社を探して、就職活動を続けるべきだ。心から納得できる職場を求め、動いたほうがいい。内定となった企業はおそらく、「内定者研修」と称して辞退を防ぐようにするだろう。

あなたが「この会社でいいのかな」と迷うならば、内定はそのまま手にしておいて、就職活動を続けよう。とことん、納得するところまで走り抜けるのだ。こんなにたくさんの採用試験を一時期に受験できるなんて、生涯に1度しかない。

30年程の取材で感じ取る印象で言えば、100人以下のベンチャー企業や中小企業も新卒採用では慎重に採否を決める傾向は確かにある。だが、大企業やメガベンチャー企業に比べると、その精度はやはり、見劣りする。

大きな理由は、内定を出すまでに書類選考や面接、筆記試験で巡り合う学生の数が圧倒的に少ないことにある。採用試験のヘッド(現場の責任者)が直接会う学生は、おそらく平均で100~300人程だろう。

このくらいの数から選んだ学生を入社させ、数年以内に業界10番以内の大企業やメガベンチャー企業30社程の人材と競い合わせようとすると、無理やきしみが生じる。つまりは、勝てないのだ。

私の実感で言えば、100人以下のベンチャー企業や中小企業の20代の社員と業界10番以内の大企業やメガベンチャー企業30社程の20代の社員との仕事力は、少なくとも5~6ランクの差はあると思う。シビアに捉えると、10ランクは違うように見える。完全な別世界だ。この連載の過去の記事「一流企業やメガベンチャーは、なぜ新卒採用にこだわるのか?」を読んでもらえると、別世界の意味をご理解いただけると思う。

100人以下のベンチャー企業や中小企業で見られるトラブル

私はフリーになってから17年が経つ。苦労をしたのが、社員数で言えば100人以下の出版社や編集制作プロダクション、業界紙、IT企業だった。その理由は、主に次のものだ。おそらく、100人以下のベンチャー企業や中小企業で広範囲に見られるはずだ。

1、担当者と会話ができない
2、担当者の上司が不在
3、制作進行やお金のトラブルが絶えない
4、安定した関係を作ることができない

1の「担当者と会話ができない」のは、仕事において納得できるやりとりが電話にしろ、メールにしろ、不可能であることを意味する。1つは、このクラスの会社にいる社員は一流の大企業やメガベンチャー企業の社員と比べると、基礎学力に課題がある人が比較相対的に多いためだ。

特に小中高の国語教育の「話すこと・聞くこと」「読むこと」「書くこと」の力に見劣りするものがあるように思える。例えば、メールに書いてある内容をこちらが瞬時に理解することが難しい。電話のやりとりも要領を得ない。Aの質問にBが返ってくるケースは少なく、DやEになる場合が多い。

仕事を前に進めるのに使う時間や労力が、一流の大企業やメガベンチャー企業の社員へのそれと比べると、数倍は必要になる。性格がまじめな人もいるだけに、なぜ、会社として社員教育をしないのかと疑問に思う。私は、読者諸氏にはこういう会社に就職を勧めることはできない。

2の「担当者の上司が不在」は、大企業に勤務する社員からすると信じがたいかもしれないが、事実なのだ。20代で、その仕事の経験が数年しかないのに、担当する仕事の企画から完成までを事実上、1人で仕切るケースが多い。天才でもない限り、それほどの判断能力はないはずだが、隅々まで仕切ろうとする。その管理は、無茶苦茶なケースが目立つ。

フリーランスである私は小資本であるがゆえに、こういう人と組むと、振り回されて筆舌に尽くしがたい苦しみになる。2017年~19年も苦しみの極致だった。通常の5~8倍以上の時間や労力がかかるのだ。それを苦情としてその上司に伝える場合がある。

ところが、上司が担当者にほぼまったく、指導をしていない。上司が「部下の育成」を心得ていない。「仕事を与える」ことを「指導」と勘違いしている。そこから「教える」ことをしていない。だから、担当者は間違った仕事の仕方を何年も続ける。ムリ、ムダ、ムラの塊なのだが、誰もそのことを指摘しない。私は、読者諸氏にはこういう会社に就職を勧めることは到底できない。

ちなみに、この15年程で私の周りでフリーのライターや編集者は少なくとも50人以上が廃業し、会社員などに戻った。その大半が100人以下の出版社や編集制作プロダクション、業界紙を主な仕事の相手としていたようだ。これでは相当な負担となり、個人事業主を継続するのは難しい。こういう会社とは資金繰りが苦しい時のみに関係を持ち、それ以外の時は業界の中位以上の会社と仕事をしたほうがいい。そうしないと、様々な意味で苦しむ。

3の「制作進行やお金のトラブルが絶えない」と4の「安定した関係を作ることができない」は表裏一体だ。上司不在で進めることが会社として許されている職場だけに、担当者の制作進行はおのずと行き当たりばったりになる傾向がある。そもそも、制作進行は一流の大企業やメガベンチャー企業ならば、通常は管理職がする。ところが、20代で、わずか数年の経験しかない社員がしている。

それでは、お金(報酬)のトラブルが続くのは無理もない。結論として、双方で安定した関係を作ること不可能に近い。私の15年程の経験で言えば、このクラスの会社と5年以上の関係になることは1件もない。一流の大企業やメガベンチャー企業の場合、2006年から継続している案件が5件程ある。つまりは、別世界なのだ。

就職活動が始まる時期になると、こういう事実を提示することなく、ベンチャー企業や中小企業を好意的に報じるメディアや有識者が現れる。それが事実ならば問題はないのだろうが、ある断面だけを強調した内容ならば問題だと私は思う。ベンチャー企業や中小企業のファンとして応援したいならば、個人として運営するブログなどでその思いを伝えたほうがいいのでないだろうか。

憧れの企業であろうとも、その影の部分もまた、伝える姿勢は持ち続けたい。実は、私も身内に中小企業の経営者がいるので応援したいところなのだが、伝える側としての節度や責任が伴うと思う。就職活動をする読者諸氏には、無責任なメディアや有識者に感化されることなく、納得感のある就職活動をしてほしい。得てして、有識者と言われる人は自らのご子息やご令嬢を一流大企業に入社させているものだ。そこまで含めてメディアに触れたい。

文/吉田典史

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