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千葉県で発見された天然ガスハイドレートと似た構造を有する新種鉱物「房総石」とは?

2021.02.07

千葉県南房総市に分布する堆積岩の地層からは、2011年に新鉱物「千葉石」が報告されている。千葉石を詳しく調べる過程で、もう一種類、未知の鉱物が含まれていることが明らかに。

そこで国立科学博物館は、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東北大学、千葉県立中央博物館、国立研究開発法人物質・材料研究機構、アマチュア研究家の西久保勝己氏、本間千舟氏、結晶形態研究者の高田雅介氏と共同で、千葉県内で採取された鉱物が新鉱物であることを突き止め、「房総石」と命名した。

千葉県より新種鉱物「房総石(ぼうそうせき)」を発見

千葉石と房総石は二酸化ケイ素(シリカ)を主成分とし、結晶構造中に主成分として天然ガス分子を含む特殊な鉱物だ。二酸化ケイ素は石英(水晶)の成分であり、地中では最もありふれた成分の一つだが、これらの鉱物では二酸化ケイ素が「かご」状のすき間をもった結晶構造をとり、「かご」の中にメタン、エタン、プロパンなどの天然ガス分子が捉えられている(図1)。

同様の結晶構造をもつ物質として、次世代エネルギー源として注目を集める天然ガスハイドレートがある。自然界では、I型、II型、H型の3種類の天然ガスハイドレートが確認されているが、H型は産出量が最も少なく、シリカ系鉱物ではH型相当の鉱物は見つかっていなかった。

「かご」とガス分子のサイズ・形状には関連があり、どのタイプの結晶ができるかは、その場に存在するガス分子の種類と比率に影響される。前述のように産出量的に最も多いのはI型のメタンハイドレート(注4)で、II型、H型の順に少なくなる。この理由は、天然ガスの組成として分子サイズの小さなメタンガスが圧倒的に多く、エタン、プロパンのように分子量が大きなガスほど量が少ないためだ。

研究では、千葉石に極少量伴う未知のシリカ系鉱物がH型相当の結晶構造を持つことを明らかにし、新鉱物「房総石」として発表した。房総石の結晶構造は、他の2種類の結晶構造よりも大型の「かご」を有しており、詳細な結晶構造解析の結果、その「かご」の中にはプロパンよりさらに大きなガス分子も含まれることが示唆された。これらの天然ガス分子は、地層中の有機物が地熱と圧力の影響で分解され生成したもので、房総石は天然ガスのタイムカプセルと見なすことができる。

今後の展開

地層中の有機物が分解され天然ガスが生じる現象は世界中で普遍的に起こっており、私たちが日常用いる天然ガスは、それらが特殊な地質構造の部分に溜まったものだ。また、地層中から漏れ出た天然ガスが冷たい海水に触れると、水分子でガス分子を取り囲んだ天然ガスハイドレートとして海底に固体として溜まることも。しかし、天然ガスハイドレートは、海水温の上昇や地殻変動に伴って、最終的に大気中に放散して行ってしまう。

一方、シリカ系鉱物は水分子でガス分子を囲んだ天然ガスハイドレートとは異なり、常温~高温下において安定で、しかも一般的な環境では溶解・潮解することはない。ただし、地層中で地下水にさらされた場合には、長い年月をかけて少しずつ溶け、溶けた部分が、より安定な石英に置き換わる反応が進む。

そのため、これまでは普通の石英と思われ、見過ごされていた場所でも、今後、房総石が見つかることが期待される。これは、房総石が天然ガスの起源を探る新たな指標にも成りえる事を示唆している。

加えて、本「かご」型構造中には、ガス分子としては二酸化炭素を閉じ込めることもできるため、房総石の結晶の生成・分解条件の詳細が明らかになれば、二酸化炭素の地層処分技術につながる可能性をも秘めている。

構成/ino.

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