
結婚願望への本音、結婚に対して感じているハードルなど、現代の独身者が置かれた状況を調査結果から紐解く。
今回はネクストレベルが今年から拡大を予定している“結婚新生活支援事業”についての緊急調査結果を見ていきたい。
男女とも「結婚願望はあるが不安がある」が1位に
最初に「結婚願望」に関する調査をした結果、男女とも「願望はあるが不安がある」という回答が1位になった。はっきりと「結婚願望がある」と答えたのは、男性が31.9%、女性が34%とどちらも3割強。逆に「結婚したくない」と答えたのは男性11.2%、女性11%で、1割強と少数派にとどまっている。
「最近の若者は結婚に興味がない」と言われがちだが、実際には7割以上の男女が不安は抱えつつも「いつかは結婚したい」と思っているようだ。ただし実際に結婚していない理由として、「結婚に不安がある」独身者が多いことが分かった。
結婚にネガティブな理由|男性は「金銭的な理由」、女性は「相手に会えるか不安」
「結婚願望はあるが不安がある」「結婚はしたくない」「わからない」と回答した人に、その理由を選択肢の中から選んでもらった。
男性は「金銭的な理由」が45.3%で1位となった。日本人男性の年収中央値が356万円と依然低い水準になっていることも関係してか、男性は「家族を養っていける収入がないと結婚できない」と強く感じているようだ。
女性は「相手に出会えるか不安」が31.8%で1位。男性よりも「金銭的な理由」を挙げる人は少ない傾向に
また「結婚という制度に興味がない」と感じているのは、男性よりも女性の方が少し多い結果となった。結婚すると家事や育児が女性に偏りがちになってしまうことが、女性の結婚願望に影響を与えている可能性が考えられる。
男性は、コメントでも「金銭的な理由」を詳しく書いている人が多い傾向に。女性は「金銭的な理由」の他に、結婚することで自分の時間がなくなることへの不安や、相手の仕事や性格次第で人生が左右されることへの不安を挙げる人もいた。
“結婚新生活支援事業”の存在を以前から知っていた人は、4.4%
政府が2016年から行っている“結婚新生活支援事業”は、結婚するカップルの住居費や引っ越しにかかる費用について、上限30万円までの補助金が受け取れる制度。2021年度以降、世帯収入の制限が480万円から540万円に、上限年齢が34歳から39歳に引き上げられ、補助金額も上限60万円までに拡充する方針が示されている。
実は4年前からあったこの制度、ニュースになって初めて知った人も多いのでは?
調べてみると、独身者で「以前から知っていた」人はわずか4.4%だった。現状でも60.8%の人が「知らない」と答えていて、独身者への浸透度はかなり低いことが分かる。
自身が“結婚新生活支援事業”の対象者か「分からない」が89.7%
“結婚新生活支援事業”は全ての市区町村が行っているわけではなく、制度に参加している市区町村は全体の15%にとどまっている。自分が住んでいる町が制度を行っているかどうかについても、聞いてみた。
その結果「分からない」と答えた人が89.7%と大多数に。制度の浸透度自体が低いため、自身に当てはまるかどうかを知っている人も少ない結果となった。
結婚願望があるかないかで、“結婚新生活支援事業”による結婚推進効果が大きく違う
“結婚新生活支援事業”は、結婚の障壁として「結婚資金の不足」「結婚のための住居」を問題に挙げた人が多いという調査結果から、結婚に伴う経済的負担を軽減するために行っているようだ。(内閣府ホームページより)
実際にこの制度によって「結婚に前向きになる」人がどのくらいいるのかを調査した結果が、上のグラフだ。制度があることで「結婚に前向きになる」と思う人は、「結婚願望の有無」によって大きな差があることが分かった。元々「結婚願望がある」人では、60.9%の人が「前向きになる」と答えた。しかし「結婚願望がない」人では、わずか9.3%。「結婚に不安がある」人では、46.2%と一定の効果があるとわかる数字となっている。
“結婚新生活支援事業”は、ある程度の結婚願望がある人にとっては、「結婚に前向きになる」一因になるようだ。ただ、もともと結婚願望がない人にはあまり影響がないと言える。
“結婚新生活支援事業”が結婚につながらない理由、1位は「結婚後の制度だから」
“結婚新生活支援事業”があることが「結婚に前向きになる」理由にはならないと答えた人に、その理由を選択肢の中から複数回答で選んでもらった。
1位は「結婚後の制度なので結婚願望には影響しない」という理由。2位は「世帯収入の上限が低すぎる」、3位は「年齢制限が低すぎる」だった。
制度に魅力を感じていない人の中は、「世帯の所得制限や年齢制限が低すぎる」といった制度の内容に批判的な意見があった。また一時的な補助ではなく、その後の継続的な支援を要望する声も多かった。
“結婚新生活支援事業”が少子化対策になると思う人は、28.4%
“結婚新生活支援事業”は、内閣府の少子化対策の中の「地域少子化対策重点推進(強化)交付金」から支出されている。少子化を食い止める観点から、この事業が行われているということ。この政府の意図に対し、これから結婚し子どもをもうける可能性のある独身者は、この事業が少子化対策になると感じているのか?
アンケートの結果では、「少子化対策になると思わない」人が49.5%。「なると思う」のは28.4%。約半数は“結婚新生活支援事業”が少子化対策になると捉えていないことが分かった。
こんな支援があると結婚に前向きになる!1位は「教育費の軽減」
それでは、どんな支援があれば結婚に前向きになるのか?独身者が「結婚に前向きになる」と思う支援について、選択肢の中から3つまで選んでもらった結果が上のグラフ。
1位は「教育費の軽減」で20.4%。多くの人が結婚の先に子どもをもうけることを想定した回答。男性が結婚にネガティブな要因の1位「金銭的な理由」は、将来の子どもの養育費を見越した不安も大きいのではないかと予想できる結果だった。
結婚して子どもを産み育てることに、高いハードルを感じている人も少なくない。独身者の81.5%が「子育てや教育に関連する支援や制度の充実があれば、結婚に前向きになれる」と回答したことがその根拠だ。今後より一層の結婚・子育て支援の拡充が図られることを期待したい。
調査方法:インターネットアンケート
アンケート母数:計388名
実施日:2020年10月06日~10月08日
調査実施主体:縁結び大学(https://jsbs2012.jp/date/)
調査会社:ネクストレベル
構成/ino.
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