デジタル・プロダクト・プレイスメント
プロダクト・プレイスメントとは、実在の商品や企業ブランドを映画やドラマの中に配置する広告手法のこと。2019年の市場規模は約1兆2500億円。1982年に公開された映画『E.T』ではすでに使われており、古典的な広告手法である。現在では、それをデジタル化し、映像コンテンツに自動かつ後付けで、オンデマンドに広告枠を作り出せるデジタル・プロダクト・プレイスメントの技術開発が進んでいる。
番組を中断せず、視聴者の映像体験を壊さないとあって、テレビCMに代わる動画広告となりうる可能性を秘めている。Netflixなどの動画配信プラットフォームにとっても再生開始時などに差し込まれる動画広告とは異なり、新たな収益源として期待できるわけだ。
また、広告主にとっても視聴者にスキップされる心配がなく、コンテンツに溶け込む広告をシームレスに提供できるので確実なマーケティングが可能になる。先駆けて技術開発を進める米ハリウッド発のスタートアップ「Ryff」やテンセントとも提携する英国企業「Mirriad」を筆頭に、国内外の広告関連企業が開発を進め、今後さらなる市場拡大が見込まれている。
動画広告=ウザいものという視聴者の意識が変わる。映像コンテンツの広告化は、拡張現実の技術革新としても期待できる。新たなマーケティング戦略の立案も可能になるだろう。
RyffのHPより引用:http://www.ryff.com/
視聴者が違和感を抱かないように映像中に商品や企業名などのブランドの配置を行なう。映像作品ありきで、後付けで広告を載せられるのがデジタル・プロダクト・プレイスメントの利点。視聴者の年代や好みなどの属性に応じて表示する広告を変えることで効果の最大化が可能になる。
動画で見るとまるでSFの世界……。
MirriadのYouTube動画をチェック!↓
取材・文/久我吉史