
近年、オフィスにデジタルサイネージを導入する流れが起きている。オフィスで社員らに情報を周知するほか、新型コロナウイルス感染対策やSDGs対応など、どんどん多機能化している。そのオフィスサイネージのトレンドとともに、画期的な製品を見ていこう。
オフィスサイネージとは?
オフィスサイネージとは、オフィスに設置するデジタルサイネージ(電子看板)だ。例えばエントランスやエレベータ前などの共有スペースに設置することで、来客者に企業や商品案内、ニュースや天気予報を配信したり、従業員へ社内の周知事項や各部門の活動情報を伝達したりできる。
工場や倉庫では、スタッフへの安全情報や業務連絡などの情報提供手段としても活用できる。
また災害などの緊急時には、従業員に向けて災害情報や避難情報などの情報を提供するといったBCP対策としての活用も可能だ。
オフィスサイネージは、見た目のインパクトもあり、繰り返し情報発信することで意識付けができるようになったり、災害時の携帯などがつながりにくい状況下での情報伝達が可能となったりするオフィスでは有用なメディアだ。
最近のオフィスサイネージ事情
最近では、オフィスサイネージがSDGsや新型コロナ対策としても利活用されはじめている。
1.SDGs対応のオフィスサイネージ
TAAS 株式会社が提供する 「e-Pod Digital(イーポッド・デジタル)」が、このほど「SDGs」への取り組み強化を支援するプログラムを2021年1月18 日(月)から提供を始めた。
e-Pod Digitalとは、1.機密文書を0円で溶解処理できる「機密文書処理サービス」と、2.オフィス内に動画配信できる「オフィスサイネージメディア」の2つの側面を持つオフィスサイネージだ。
機密文書を入れると溶解処理されるが、利用料0円なのは、そこにサイネージがついており、広告が表示される仕組みになっているためだ。毎月100kg(5箱分)まで無料で機密文書の処理が可能。すでに262社から機密文書処理サービスとして利用されており、20社以上の広告主からオフィスサイネージメディアとして利用されている。
このe-Pod Digitalを利用することで、SDGsに貢献することのできるプログラムがはじまった。廃棄する機密文書などを再生資源化させ、再び利用できるように、A6ノートをはじめとした様々なノベルティグッズに応用することで、再生資源化させて、資源の再利用を循環させながらSDGsへ貢献。SDGsにおいてはNo.9「産業と技術革新の基盤を作ろう」、 No.12「つくる責任、つかう責任」、No.17「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つの分野を対象とする。
オフィスサイネージでは、自社のSDGsへの取り組みを対外的な企業や個人へ広告配信することでブランディングも可能となる。
2.新型コロナ感染対策のオフィスサイネージ活用
新型コロナウイルス感染症の感染対策として、社内に感染対策を周知するオフィスサイネージについても注目を集めている。
社内に設置し、ソーシャルディスタンスや消毒を徹底するようイラスト等でわかりやすく注意喚起したり、手洗い・うがい・マスク着用をうながすイラストを示したりすることで、通りかかる人々へ感染対策を呼びかけられる。コロナ禍においてはこのような使われ方がされ始めたようだ。
感染クラスター対策・換気アラートシステム 「hazaview」
デジタルサイネージで「換気アラート」を表示する方法もある。
cynaps株式会社の換気アラートシステム「hazaview」は、感染リスクを下げる最良手段とされる「換気」と「空調管理」に着目し、厚生労働省が示す適切な換気がされている空間の目安「二酸化炭素の含有率 1000ppm(=100万分の1000)以下」「温度 1.17度以上28度以下、2.居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」「湿度 相対湿度40%以上70%以下」を実践しやすくするシステムだ。
空間のCO2・温度・湿度を常に監視し、1,000ppmを超えるなど厚生労働省の定める空気環境の基準範囲外になると、アラートを出して換気や空調のタイミングを定量的に可視化する。
インターネットにつながるため、デジタルサイネージやスマートフォン、タブレットなど様々なデバイスへリアルタイムに表示できる。
避難所などでは特に有用なシステムではあるが、オフィスや工場等の設置、アラートにより、クラスター対策としての活用が想定されている。
2020年8月より保育園や病院、自治体、博物館、企業オフィス等で実証実験を行い、2020年10月に商用化した後は、企業や飲食店等における導入が進んでいるという。
オフィスサイネージは、さらに進化を遂げている。
今のトレンドは、「サイネージ+何か別の機能」であるようだ。今後はどのような機能が付加されるのか注目といえる。
取材・文/石原亜香利