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「携帯電話ポータルサイト」に「スマホ乗り換え相談所」気になる総務省の施策の行方

2021.01.30

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は総務省の施策について議論します。

※新型コロナウイルス対策を行っております

長期的な視点に欠けている料金値下げ

房野氏:2020年は、総務省や総務大臣が多くの話題を提供してくれました。12月もギリギリまで、いろんな動きがありましたね。

房野氏

石川氏:12月18日の午後、「Beyond 5G推進コンソーシアム」の設立総会がありました。武田良太総務大臣と通信会社各社の社長が集って、Beyond 5Gで国際競争力を強化しようといっているわけです。でも、一方で総務大臣は、携帯電話事業者の利益率が20%もあってけしからんと言っていて、矛盾しているなと。儲かっているからこそ、その儲けたお金を開発費として投じて次世代につなげていけるわけで、サムスンもファーウェイも、儲かっているからこそ今のポジションがある。儲かり過ぎてけしからんという国で、これから国際競争力が上がるかといったら、まず無理な話だと思うんです。そのあたりの視点が欠けているなと。値下げしろというよりも、基地局をいっぱい作れといった方が国のためになる気がする。なんか悔しい感じもする。

武田良太総務大臣

石川氏

法林氏:デジタル庁の話も出ているけど、デジタルトランスフォーメーション(DX)をやっていく上で、正直なところ日本は遅れた部分がある。コロナ禍以前は海外へ取材に行って、メーカーの社内や工場を各地見せてもらったけれど、ファーウェイにしてもサムスンにしても、すごいなと思うところがたくさんある。日本でそういうものが見られるところがあるかといったら、そりゃ「横須賀リサーチパーク」にあるかもしれないけど、それ以外ではまず見られない。日本でシェアを持っているメーカーの開発拠点がすごいかといったら、もちろん見せられないだけで、すごいかもしれないけど、あまりそんなネタはないわけで。Beyond 5Gで世界の先陣を切るといっても、かなり厳しいとしか言えない。

法林氏

石川氏:今回の一件で2021年3月から携帯電話料金が安くなりそうですが、長期的な視点で見ると、MVNOはヤバいことになるだろうし、楽天モバイルも相当厳しいだろうなと。間違いなく大手3社しか残らない状態になると思う。2006年末から開催された「モバイルビジネス研究会」以降の13年間に決めてやってきたことが無になる。結局、料金と端末を分離したからといって効果はなかったし、SIMロック解除を進めて2年縛りを見直しても……。

法林氏:割引が減っただけ。

石川氏:そんなことしなくても、総務大臣が怒れば安くなるという矛盾が明らかになってしまった。

法林氏:それも怖い。国会議員は国民の代表だけど、ルールに基づいた値下げじゃなくて、「高いから安くしろ」といって安くさせるのは、後で歪みをもたらす。ちゃんとしたルールを作るべき。そして、ルールを作る人たち、今の有識者の方々は、申し訳ないけど解任した方がいい。

石川氏:KDDIの髙橋社長がおっしゃっていましたが、日本は海外投資家からリスクがある国だと見られ始めているそうです。例えばKDDIやソフトバンクに投資しようと考えていても、政治家の一言によって収益構造が変わってしまうということは、投資する側としてリスクでしかない。

KDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋 誠氏

石野氏:定例会見で大臣がぶち切れたら料金が下がるなんて、リスクしかないような気がしますよね。なんか、うわーって思いました。

石野氏

石川氏:何が納得できないって、これだけ値下げしろと言って、各社が値下げに応じたにも関わらず、菅内閣への国民の支持率が下がるというがっかり感がある。

法林氏:今回の値下げは、携帯電話業界以外の人からも批判的な意見が出ているからね。それがいろんな人に伝わって「これじゃダメなんじゃないか」ということが少しずつ理解されてきた感じがする。

石野氏:1か月に携帯電話料金を6000円くらい払っている人が2980円になったとしても、1か月3000円の値下げでしかないですよね。それだけで菅内閣万歳! とはならないですよね。電気代やガス代や家賃までを半分にしてくれたら嬉しいですが。

法林氏:今回の議論の中で、SNSでは「携帯電話料金の前にNHKの受信料を下げるべきだ」というコメントが目立った。「所得が上がるようにするべき」という意見も多かった。

房野氏:「携帯電話料金が高く感じるのは給与が上がっていないからだ」という意見も多いですね。

石野氏:そうなんですよ。

法林氏:そこは考えないといけない。ところで税金をたくさん払っている企業はどこかというと、高額納税企業ベストテンのうち半分が通信事業者なんですよ。キャリアに色んな批判があるのはわかるけど、開発にはお金がかかるし、企業の税収を上げることも、もっと考えないと。

気になる点が多い「携帯電話ポータルサイト」

房野氏:総務省が、「ニーズに合ったサービスを選択する際に参考となる情報をまとめた」という「携帯電話ポータルサイト」(2020年12月21日公開)については、どう思いますか?

【参考】総務省|携帯電話ポータルサイト

法林氏:「わかりやすい料金プランにわかりやすい説明が必要だ」と言っている省庁のサイトがコレなの? という感じ。パワーポイントの一部を切り取ってWordPressに貼り付けたようなページ。

石野氏:びっくりマーク(!)を付ければユーザーフレンドリーな文章だろうと思っているようなところに、ちょっとイラッとする。

房野氏:確かに「!」が多すぎるページがありますね。

石野氏:編集者に成り立ての頃、「こういう文章を書いてはいけない」と教わるたぐいの文章ですよ。「!」を使い過ぎるなって、上司から忠告されます。

石川氏:新入社員研修で最初に言われたことですね。

法林氏:サイト制作にはお金を使わないんだなって思った。

石川氏:今のはあくまで暫定版なんですけどね。

法林氏:でもあの見せ方はどうかなと思う。

石野氏:官僚の方々の立場を想像するに、急に大臣が怒り出してポータルサイトを作れと言われて、急いで作ろうと思っても、大手の広告代理店に発注するわけにもいかず、非常に大変な中でがんばってユーザーフレンドリーな文章を書こうとした結果、こういう中途半端なものになっちゃったんだろうな。そう思うと、涙なくして読めない(笑)

法林氏:MNOがサブブランドを含めて8つ並んでいるのはいいとして、MVNOが5ブランドしか掲示されていないのは、本当にいいものかと。日本通信すら入っていないじゃん。

石川氏:今ある数百のブランドを一挙に並べて紹介してほしい。

法林氏:国の機関がMVNOをプッシュしているときに、なぜこの5ブランドしか掲載しないのか。

石野氏:あと、みんなの批判が殺到していますけど、「端末を買う際のアドバイス」って、余計なお世話ですよね。

石川氏:「中古端末も検討してみましょう」とか、ひどいな。

法林氏:中古端末はリスクがある。

石野氏:これ、総務省の言いたいことを落とし込んでいるだけですよね。

房野氏:みなさん厳しいご意見ですね。

石川氏:だって、「みなさんは自分の使い方に合ったスマートフォンを選べていますか?」って……

石野氏:端末なんて何を選んだっていいじゃないですか。国につべこべ言われる筋合いはまったくない。

房野氏:料金について意見されるのは、多少納得できるんですが、端末は好きなものを使わせてくれって感じですね。

法林氏:クルマに例えるなら、「フェラーリに乗ろうがプリウスに乗ろうが、オレの勝手じゃないか」と。国土交通省からどうこう言われる筋合いはない。

石川氏:Twitterにも書きましたが、これって、「みなさん、自分に合ったクルマを選べていますか? 中古車や軽自動車に乗りましょう」と言っているのと同じ。

法林氏:変だよね。

石野氏:端末に関してのページはひどい。しかも、高価格端末と低中価格端末は、処理能力の違いしか書かれていない。何を言っているんだと。金ピカだからという見た目の好みでiPhone 12 Proを買ったっていいだろって話ですよ。

石川氏:よくこの内容でキャリアに、「わかりやすいウェブサイトを作れ」と言えるなと思った。

石野氏:暫定版だったら、端末の説明部分は載せなきゃいいのに、こんな意味のない情報を載せて。「SIMって何?」という説明も、本当に官僚の説明がわかりにくくなるところで、「SIMとは、『Subscriber Identity Module』の略で……」と始まるんですよ。

法林氏:それは、ない(笑)

石野氏:こういうところが全然わかっていないなと。一般の人は略称の意味なんて知りたくないですから。SIMカードは何をするものかというところを書くべきで、なんでこの3文字を説明するのかと。

法林氏:用語集だったら書くけどね。

石野氏:最初にそれを書く? というのがあって、結構、衝撃的な内容の文章が多いなと思いました。

法林氏:「大手携帯電話会社3社は」という表現も出てくる。すみません、今は4社ですけどって(笑)

房野氏:校正の赤字がたくさん入りそうですね。

石野氏:暫定だったら出さなくても良かったのに。

房野氏:早く出せって急かされたんでしょうね。

石川氏:いろんなことすべてに「2020年内に答えを出せ」という指示が来ていた。だから各社、2020年内中に料金プランを発表したし、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」も出た。2020年中に納めようとした結果があれだったと。

石野氏:ポータルサイトの最初のページに、20GBプランを契約している人は42.8%いて、実際に20GB以上使っている人は11.3%しかいないという説明をしているけど、いきなりahamo全否定かと(笑)

石川氏:ahamoはいらないよ、と。

房野氏:ちょっとマニアックなデータがところどころにあって、面白いと思いましたが。素晴らしい資料ですよね。

石野氏:でもこれ全部、すでに公開済みのデータなんですよ。

石川氏:総務省がやるべきことは、もっとスマホを活用しましょうという方向じゃないかな。

法林氏:こんなことをすれば、もっと楽しく使えるってことを言わないといけない。

石野氏:Wi-Fiを切れば、いちいち接続を切り替えなくてよくて楽ですよ、とか。

法林氏:それも確かに真実。5Gで使い放題になったら、つながらないWi-Fiよりは、つながる4G、5Gの方がいい。このポータルサイトは、誰に向かって書いているのか、よくわからないね。

石川氏:単に締め切りに間に合わせただけですよ。

石野氏:そうですね、文章から官僚の苦悩が感じられる。

房野氏:文体はブログを研究したという感じがします。

石川氏:最後に「いかがでしたか?」って言葉が付きそう(笑)

石野氏:そもそも、ショップでは少なくとも自分のキャリア内で料金が高すぎるかどうかは教えてくれる。ネットで言われているような、不要な料金プランやSDカードを押しつけられて、という事例もないわけではないですが、たいていは親切です。料金相談フェアとかやっていますし、普通に「ギガライトで十分ですね」って勧めてきますから。

法林氏:冷静になって考えると、端末を買う際のアドバイスって国がやっていいの?

石野氏:いや、ダメだと思いますよ。

法林氏:この理屈からすると「Xperia 1 II」は買っちゃいけないわけでしょ。下手したら「Xperia 10 II」も買っちゃダメになる。「Xperia 8」じゃなきゃいけないかもしれない。

Xperia 1 II

Xperia 10 II

Xperia 8

房野氏:とあるPC系ライターの方が「初心者ほどハイスペックなマシンを使った方がいい」とおっしゃっていて、私も実体験からそう思うんです。まぁ、最近のミドルレンジスマホは高性能で使いやすいですが。

石野氏:ポータルサイトに書いていることを真に受けて、ミドルレンジスマホを買って、カメラできれいな写真が撮れなくてがっかりとなったら、総務省にクレーム言っていいかな。そういう覚悟ができて書いているのかという話。おそらくその覚悟もないのに、こんなざっくり価格だけで分けて勧めるとは……処理能力のことしか書いていない。高価格端末はゲームや高画質の映像再生などに最適とあるけれど、低中価格端末でそれができないかと言われると……

法林氏:できますから。3万円の端末でもできる。

石野氏:今はもう、そういう区切りじゃない。ちょっとズレているなという感じがしますね。

法林氏:「端末購入サポートプログラムの注意点」もあるけど、だったら金融庁は残価設定ローンの注意点を書くのかと。やらないでしょう。

石野氏:微妙な表現だなぁというところもありますね。

石川氏:そもそもわからない人が総務省のサイトにアクセスしない。

石野氏:そうなんですよね。

法林氏:でもね、スマホで「携帯電話」と検索すると、近所のショップが出てきて、Wikipediaが出てきて、その次くらいに総務省の携帯電話ポータスサイトが出てくるね。ちゃんと対策している。

「スマホ乗り換え相談所」とは?

石川氏:ちょっとやっかいだなと思っているのが、総務省が携帯電話の相談窓口、「スマホ乗り換え相談所」を作ると言っていること。ほけんの窓口的なものを事業としてやろうとしている。その窓口は、消費者に対して、対面で携帯電話の相談を受け付けたり、乗り換え手続きのサポートを行ったりする。

石野氏:利権の匂いがしますよねー。

法林氏:めちゃくちゃする(笑)

石野氏:入札の準備をしておこうかな(笑)。でも、国がそれをやるか? って話ですよね。

法林氏:そんなことをやるんだったら、この予算を使ってもっとほかのことをしてほしい。

石野氏:MVNO用に、テレビ局のCM枠を総務省が買ってあげて、勧誘してあげればいいんじゃないのって思いますけどね。

法林氏:ポータルサイトには5社しか載っていないけど、ここをタップするとMVNOの申し込みページに行くとか。そこでアフィリエイトで儲けてもいい。ただし、儲かったら国庫に入れてね、ということで。

 ahamoでオンライン化していってショップは切り離すけど、「スマホ乗り換え相談所に事業転換していってね」みたいなことになっていくんじゃないかな。元ドコモショップ○○店だったところが、マルチキャリア対応のスマホ乗り換え相談所になって、実は相談員がどれを勧めるかは、裏でいくらお金をもらえるかによって決まっていて、今月はY!mobileで来月はau、みたいな(笑)

房野氏:正直、今の料金プランはそんなに大きく変わらないので、どれを勧めても同じですよね。そうしたら……

石川氏:最終的には、どれだけキックバックが入ってくるかによって決まってくる。

石野氏:結局そうなっちゃいますよね。

石川氏:今の併売店が増えてくる感じですよね。

法林氏:スマホ乗り換え相談所では手続きも仲介するんだろうね。

石野氏:そうなっちゃうと、結局インセンティブが大きいところを勧めることになる。国がやるんだったら、公正中立にやるんでしょうけど。

法林氏:いや、あれだけ通信行政に文句を言ってきたMVNOの日本通信が、携帯電話ポータルサイトに載っていないくらい公正中立じゃないから(笑)

......続く!

次回は、2021年のスマホ業界を予測する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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