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スマホ業界の常識は変わるか?いい意味で期待を裏切って登場したドコモの20GBで2980円の新料金プラン「ahamo」

2021.01.29

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はドコモの新料金プラン「ahamo」について議論します。

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ahamoはメインブランド? サブブランド?

房野氏:ドコモから、月額2980円でデータ容量は20GB、5分以内の国内通話が無料という破格の料金プラン「ahamo(アハモ)」が発表されて、大きな話題になりました。

房野氏

石川氏:事前のリークで20GB 2980円という数字に驚いたけど、さらにそこに5分までの音声かけ放題も付いたことにびっくりしました。ドコモが本気を出すと怖い。シェアが大きいところは怒らせたらいけないなと(笑)

石川氏

石野氏:日経新聞はじめ各紙から20GB 2980円という数字が出て、それに対してネットでは、「dカードお支払い割」で○○円割引、2年契約で△△円割引、家族何人で□□円割引で、それでようやく2980円だろう、みたいな大喜利が始まっていた。そんな中で、いやいや、割引は何もなしで2980円ということに、相当驚きました。いい意味で期待を裏切った。割引が一切ないということが、一番インパクトが大きかった。「どうせ、家族割やドコモ光を付けてこれでしょ」みたいに思っていたところに、そうじゃないよとドーンと来たので。井伊さん(NTTドコモ代表取締役社長 井伊基之氏)のドヤ顔がなんともいえなかった(笑)

NTTドコモ代表取締役社長 井伊基之氏

石野氏

石川氏:確かにそうだけど、やっぱりahamoはサブブランドだよねぇ。

房野氏:そうですよねぇ。

石川氏:日経新聞は「サブブランドで新料金プランを出す」とリークして、発表会直前になってフジテレビが「メインブランドで出る」と報じたんですよ。あのとき実は裏側で「どっちなんだ」と、いろんな記者が慌てていた。自分にも某テレビ局の人から「どちらなんですかね」と電話がかかってきて、「サブブランドなんじゃないかなぁ」みたいな話をしていた。聞いたところによると、政治部の記者はメインブランドだと言っていたと。つまり官邸ルートで流れてくる情報はメインブランドとなっていて、でも、通信業界の常識から考えるとサブブランドなんじゃないかということで、色々と情報が交錯していたらしいんです。そして、たぶん、ドコモとしてはサブブランドとして用意していたんだけど、UQ mobileで出た新プラン「スマホプランV」(月額3980円 20GB)に対して、武田良太総務大臣が「メインブランドで安くしないと許さない」的なコメントをし、その結果、ahamoがメインブランドに据えられたと。

石野氏:そうですねぇ、次男の不始末の責任を長男が取りに行ったという感じ(笑)

石川氏:さらに聞くところによると、あのahamo発表会の朝、会場にいたドコモ関係者は全員集められて「絶対にサブブランドと言うんじゃない」という指示があったらしい。

房野氏:確かにドコモの人は発表会で、頑なにサブブランドとは言わなかったですね。

石川氏:本当のところは分からないですけどね。

石野氏:ドコモのプレスリリースにも、ブランドとは一言も書いていないんです。広報部長に「書いてないでしょ」と言われました(笑)

石川氏:質疑応答のときにマーケティング部長がブランドって言ったんですよね。

石野氏:そこは打ち合わせ不足だったんだなと(笑)

法林氏:僕は、メインブランドもサブブランドも関係ないと感じていた。ユーザー的には、「docomo.ne.jp」のメールは使えなくなるけど、使用環境も同じで、基本的には同じように使える。サブかメインかと騒いでいるのはメディアだけだったなと思います。中身については、確かに2980円 20GBには驚いたけど、事前に出ていたので、そこまでびっくりしなかった。一番インパクトがあったのは、契約やサポートがオンライン限定ということ。できるかどうかは別にしてだけど、あれは結構大きなポイント。販売店を切るんだ、すごいなと思いました。

法林氏

石川氏:ahamoはショップをリストラしていく方向性にあるんだろうと思います。ショップへ全然行かない人にとっては、利用しないサポートに高いお金を払っているという気持ちもあるので、オンライン専用で安いというのには一理ある。

 色々考えながら最近のショップの動向を見ているんですが、ドコモショップにahamoのポスターが貼られているじゃないですか。ahamo相談会もやっているらしい。どうやら「とりあえずドコモと契約してください。3月になったらahamoに切り替えましょう」という営業をしているんだそうです。しかも今回、ギガホも改訂されている。もしかすると、ahamoが撒き餌になっていて、ahamoに興味を示してショップに来たユーザーに対して、結果としてahamoは契約させないというか、「いやいや、オンライン限定なのでサポートもいまいちだし、大切にしていたdocomo.ne.jpのメールアドレスもなくなりますよ。だったらギガホでどうですか?」みたいな営業がされているんじゃないかなって気がしています。メインブランドにしたからこその営業ができるようになっているんじゃないかなって気がします。

法林氏:冬モデルにはオンラインショップ限定カラーを作ったりと、ドコモはもともと他社に比べてオンラインショップに注力している。それに対してauやソフトバンクは、ユーザーが文句を言わない限り直らない。オンラインでクレジットカード一括払いができなかったauとか(現在は可能)、未だに一括払いは代引で現金払いしか選べないソフトバンクとかね(笑)。だけどドコモは真面目にサイトを構築していて、カエルのキャラクターを使ったCMもやっている。オンラインに移行するのは断然OK、そこからこぼれた場合にショップでサポートするという姿勢。

 もしかすると、ドコモのありがちなパターンとして、ahamoの仕様を変えていくかもしれない。ahamoは料金プランなので、1000円、2000円払ったらサポートするといったことが出てくる可能性はある。とりあえずミニマムラインを切りました、ということなので、代理店システムをどうするかの戦略を持ちつつ、でも逃げられる体制も作っているという感じ。それに対してau、ソフトバンクは代理店とガッチリなので、なかなか割り切りにくい。

1か月20GBで本当に足りる?

石野氏:ahamoの発表会で言っていた、ドコモは若者層が弱いというのは事実。総務省が出したユーザー1人あたりの平均トラフィック容量の資料を見ると、ドコモだけ群を抜いて低いんですよね。楽天モバイルを除くと、ソフトバンクやauに比べて低い。ソフトバンクが10数ギガに対してドコモは数ギガ。実際、データ容量を使うのは若い人が多い。ギガホ プレミアの発表会でも、ドコモの4G、5G契約者のうち、ギガホ利用者は4Gが3割弱で、5Gギガホでも4割程度しかいないという話だった。ヘビーユーザー層がドコモは弱い。

法林氏:低容量プランの利用者が圧倒的に多い。

石野氏:安いプランのユーザーが多い中で、2980円のahamoは、ギガライトの1980円で済まされるよりプラスになる。ここは本気で取りに来ているなという気がします。

石川氏:でも、若者は20GBじゃ足りなくなるだろうなという気がする。5Gを利用できるようにしたのがポイントで、5Gはデータがどんどん流れてくるので、早晩、容量が足りなくなるんじゃないかと思う。結果、ahamoで30GBにするというより、「ahamoの20GBで足りないなら、5Gギガホはどうですか?」という勧め方をするだろうなと。それでARPUを上げていく方向にしなくてはいけない。ahamoが商売の起点になっている気がする。

石野氏:そうですね、20GBは絶妙な数値ですよね。総務省の「携帯電話ポータルサイト」では「実際に20GB以上を使っている方は約10%しかいない」とありましたが。

法林氏:あの10%は、だいぶデータ的に偏った感じがするけど、確かに我々のようなユーザーでも、それなりに外出が多くないと20GBを1か月で使えない。

石野氏:そもそも、Wi-Fiなどでオフロードされている分を加味して20GBという数字を出してくるのはどうなんだろうって気がする。それには固定通信の料金も払っているわけだし。スピードテストを1回やっても1GBだし、動画を見ればかなり消費する。iPhoneの設定を「5Gでより多くのデータを許容」に変えると、一気に動画で使う容量が増える。エリクソンのモビリティレポートにも出ていましたが、世界的に見ても年平均で数10%のレベルでデータ通信の利用が増えている。早晩、20GBだと足りなくなる感じがします。

石川氏:各社が20GBプランを出したのは、総務省が20GBで世界の料金と比較しているからという理由でしかないわけで、あれも意味のない数値だよなと。

法林氏:固定回線との絡みに関しては、日本は世界トップクラスの光ファイバー普及国。自宅にブロードバンドを引かない人が最近、増えてきているとはいえ、かなり多い方です。だからオフロードしやすい環境だけど、「5Gギガホ プレミア」みたいなプランになって来ちゃうと、ルーターとして使ってもいいですよねということになって、「もしかしてウチに光回線はいらない?」ということになるのも、僕はちょっと怖い気がする。

房野氏:5Gギガホ プレミアでは容量制限が本当になくなりますね。3日で何十ギガ制限とかもないのでしょうか。

法林氏:無線で無制限というのは、どんなに効率を上げても、どこかでいつかは破綻する。キャリアがどれだけ情報を開示するかだけど、3日制限とかも、現状どうなっているか。以前、UQコミュニケージョンズの野坂さん(UQコミュニケージョンズ前社長 野坂章雄氏)に聞いたけど、本当に1日、そのエリアの回線をずっと占有して通信している人もいる。場所は住宅街ではなくて繁華街、例えば新宿みたいなところだそうです。石野君のように1日で普通に20GB使いますよ、という人はいる。

石野氏:スマホで使うだけで1か月40GBも使っています。Wi-Fiにつながなきゃ行きますよ。

石川氏:自分も極力Wi-Fiにつなげずに使っています。YouTubeに動画をアップするときも。

房野氏:iPhoneはいつのまにか自動でWi-Fiにつながりますが。

石川氏:そうなっても、あえてWi-Fiを切るんですよ(笑)

1000円割引が正式に組み込まれた「5Gギガホ プレミア」

房野氏:その5Gギガホ プレミアについてはどう思いますか?

石川氏:5Gギガホ プレミアは、ギガホから立て付けを変えていない。以前、「カケホーダイ&パケあえる」の「シェアパック」からギガホ/ギガライトに変えたときは、立て付けがガラッと変わったので、安くなったのかさっぱり分からないのが失敗だった。今回は立て付けを変えずに1000円下げたということなので、まぁ、誰でも分かる見せ方で、よく考えたんだろうなと思います。インパクトは大きい。他社も相当脅威に感じているところがある。

石野氏:キャンペーンの「5Gギガホ割」を通常プランにしただけという人もいて、実際、そうなんですけど……。

房野氏:5Gギガホが始まってから6か月以上経っているので、5Gギガホ割が終わっている人もいます。そういう人は今の値段から1000円下がりますね。

石野氏:そう。キャンペーンを永久化というか、料金プランに落とし込んだだけなんですが、やっぱりキャンペーンと正式プランとでは、安心感が違うと思います。KDDIの髙橋 誠社長が「無制限はウチだけ」と散々言っていましたけど、「ドコモはキャンペーンでデータ無制限になっているだけなのに」という、悔しい思いがあったんだろうなと。ようやくこれで正々堂々とデータ無制限と言えるようになったのは大きいと思います。

KDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋 誠氏

法林氏:あるライターさんがSNSで「5Gギガホ割の1000円割引が、6か月の期限が切れても続くだけなので、別に何も変わらないと」と書いていたけど、確かに実は安くなっていないという言い方もできる。

房野氏:5Gギガホに変えるのが少し遅かった人ですね。

法林氏:タイミングに寄りけりなんですよ。5Gギガホ割で今、安くなっている人に、「4月以降も同じくらいの値段になるよ」という言い方をするのか、金額的には同じなので「安くなっていない」という言い方をするのか。

 石野君が言っていたキャンペーンと正式プランの話は、まぁ、使い放題に変わりはないので、キャンペーンであるかないかの安心感は、ユーザーは何も感じていないと思う。だって「d Wi-Fi」に変わったdocomo Wi-Fiはドコモの無線LANアクセスポイントがタダで使えるけど、あれも永年無料キャンペーンだった。キャンペーンでも、よほどの事がない限り終了しない。万が一、無料提供が終了するときのために、ドコモが保険をかけているだけ。

石野氏:そういう意味では、ドコモのキャンペーンは安心感がありますよね。テザリングキャンペーンとかもそうで、そのうち、うやむやになる。まぁ、でも、料金プランでこうですと言われる方が、やっぱり安心感が増しますね。

法林氏:ちゃんとしたタリフ(料金表)になっていることは非常に評価すべきこと。

 ただ、もう1つ触れておくと、ドコモが2020年12月3日にahamoを発表した後、タイミング悪く(笑)、auが12月9日に「データMAX 5G with Amazonプライム」を出した。その後、ドコモが12月18日に5Gギガホ プレミアを発表し、その翌週、総務省の携帯電話ポータルサイトができて、料金を見直しましょうとなった。もうさ、この流れ、国営企業丸出しじゃないですか。これ、本当に気持ち悪いことだと思う。あまりにも「握り過ぎている」感があるというか。

 MNP(モバイル番号ポータビリティ)が2006年に開始するときに、ドコモのシェアがどれくらい減るか、いろんなところで散々話題になった。最初の数年間は5%くらいしか動かなかった。もちろん、KDDIに出資しているトヨタみたいなところが、ドコモで契約していた社員を丸ごと全部auに持っていったという話はあったけど、全体で見れば、そんなに動かなかった。今のドコモのシェアは結構減ったので、ここで「握った」ことによって、ドコモとしてはユーザーを取り戻したいということでしょう。でも「政府の力を借りて取り戻しているのは、どうなんですかね、NTTグループさん」という感じがしました。

房野氏:政府の力ですか。

法林氏:そうでしょう。だって、こんな不自然な演出はないでしょ。

石川氏:NTTドコモの完全子会社化と値下げの話はセットで動いているんだろうなと思います。携帯電話料金を値下げしたい菅政権と、ドコモを一体化したかったNTT。どちらもWin-Winになるような条件で、こういうことになった。確かに法林さんがおっしゃる通り気持ち悪い気もする。

房野氏:ahamoが始まるのは2021年3月ですよね。

法林氏:さらに、ギガホ プレミアは両方とも4月1日からですからね。

......続く!

次回は、2021年のスマホ新作やキャリアサービスを大予測する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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