
インパクト投資
インパクト投資が企業の評価基準を変える
環境(Environment)をはじめ、社会(Social)、企業統治=ガバナンス(Governance)という3つの観点から企業を評価して投資するESG投資の発展形が、インパクト投資だ。
例えば、二酸化炭素排出量の抑制による環境汚染の予防や、女性活躍の推進などが評価のポイントになる。国内の公的年金を運用するGPIFは、2017年からESG投資を実践。その規模は数兆円に及び、私たちも間接的にESG投資をしていることになる。
一方のインパクト投資は、ESGの観点に適合しつつ、もっと目に見える具体的な形で、社会にポジティブな変化を与えることを目的とした企業への投資のこと。
国内の投資対象は、IoTやAIを活用した〝スマート保育園〟の実現を目指す企業や、中高生向けのIT・プログラミング教育サービスを運営する企業などである。
インパクト投資の世界の市場規模は2019年末で約75兆円とされ、急成長中だ。ただし日本では、まだ5000億円足らず。成長の入り口に立ったばかりといえる。今後の動向から目が離せない。
SDGsの目標達成にインパクトを与える企業へ積極的に投資
今後はインパクト投資をテーマにした投資信託が続々と登場すると見られ、個人投資家の間でもブームが起きそうな予感。貧困や飢餓の撲滅などを掲げる「SDGs」(持続可能な開発目標)の達成手段としての期待も大きい。
三井住友信託銀行の主な融資契約先(2020年)
三井住友信託銀行ではインパクト投資に関する融資契約を複数の企業と締結済み。環境などの意識が高い企業の活動を支援している。政府もインパクト投資の促進に積極的で、この流れはさらに加速しそうだ。
取材・文/松岡賢治
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