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宿泊業や飲食サービス業の従業員の3人に1人が「コロナ禍が続けば勤務先で働き続けることはできない」

2021.01.26

現在コロナ禍で、多くの人が不安と戦いながら働いている。その不安は、単純に感染症への不安もあるだろうが、雇用先企業の経営状態の悪化に対する懸念も含まれていることだろう。

日本労働組合総連合会ではこのほど、働く人のコロナ禍における就業状況や雇用環境についての意識や実態を把握するため、「コロナ禍における雇用に関する調査」を実施。全国の18歳~65歳の被雇用者1,000名(男性500名、女性500名)の有効サンプルを集計した。

勤め先の状況

■調査時点で「コロナ禍の影響で勤め先が休業していた」は被雇用者の6.8%

全国の18歳~65歳の被雇用者1,000名(全回答者)に、勤め先の状況について質問した。

全回答者(1,000名)に、新型コロナウイルス感染拡大の影響による勤め先(会社・店舗)の休業状況を聞いたところ、調査時点では、「休業していた」は0.7%、「一部休業していた」は6.1%で、合計した『休業していた(計)』は6.8%、「休業していなかった」は93.2%となった。

業種別にみると、休業の状況にあったと回答した人の割合は、[宿泊業,飲食サービス業]では18.6%だった。

■「調査時点では休業していなかったが、2020年の3月以降に勤め先が休業していたことがあった」は14.9%

2020年3月以降に休業または一部休業したことがあったか聞いたところ、「(調査時点では休業していなかったが)休業していたことがあった」は4.4%、「(調査時点では休業していなかったが)一部休業していたことがあった」は10.5%で、合計した『(調査時点では休業していなかったが)過去に休業していたことがあった(計)』は14.9%、「休業したことはなかった」は78.3%となった。

業種別にみると、『過去に休業していたことがあった(計)』と回答した人の割合は[教育,学習支援業]では41.9%、[宿泊業,飲食サービス業]では34.9%となった。

また、調査時点で勤め先が休業していた人(68名)に、勤め先(会社・店舗)の休業手当の支給状況を聞いたところ、「10割支払われていた」は27.9%、「6割以上支払われていた」は54.4%。満額ではないものの、労働基準法の規定通り6割以上の休業手当が支給されていたという人が多いようだ。他方、「支払われていなかった」は17.6%となった。

■「勤め先では人手が不足している状態にある」は医療・福祉業では54.5%

全回答者(1,000名)に、勤め先(会社・店舗)では、人手が不足している状態か、過剰な状態か聞いたところ、「非常に不足している状態」は7.7%、「やや不足している状態」は31.4%で、合計した『不足している状態(計)』は39.1%、「非常に過剰な状態」は1.8%、「やや過剰な状態」は8.1%で、合計した『過剰な状態(計)』は9.9%となった。

業種別にみると、人手が不足している状態にあると回答した人の割合は、[建設業]では53.5%、[医療,福祉業]では54.5%と半数を上回った。

■勤め先での新卒採用予定「採用をする」は26.1%

全回答者(1,000名)に、勤め先(会社・店舗)では、来春卒業(2021年3月卒業)の新規学卒者の採用をするか聞いたところ、「例年通り2020年もする」は24.1%、「例年はしていないが2020年はする」は2.0%で、合計した『する(計)』は26.1%、「例年通り2020年もしない」は21.7%、「例年はしているが2020年はしない」は3.6%で、合計した『しない(計)』は25.3%となった。

業種別にみると、新卒採用をすると回答した人の割合は、半数以上が人手不足と感じていた[建設業]では30.2%、[医療,福祉業]では29.3%だった。

また、従業員規模別にみると、新卒採用をすると回答した人の割合は、従業員が1000人以上の勤め先では52.6%と半数を上回った。

他方、従業員が1000人未満の勤め先についてみると、300人~999人では39.7%、100人~299人では26.3%、30人~99人では17.6%、10人~29人では10.5%と、従業員規模が小さくなるほど下降する傾向がみられ、9人以下ではわずか1.8%となった。

■「コロナ禍の影響により、勤め先で雇止めの対象になった人がいる」は6.8%

コロナ禍が従業員の待遇に影響を与えたケースはどのくらいあるのだろうか。

全回答者(1,000名)に、勤め先(会社・店舗)では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、希望退職、雇止め、賃金カットの対象になった人がいるか聞いたところ、「いる」と回答した人の割合は、【希望退職】では7.6%、【雇止め】では6.8%、【賃金カット】では11.2%となった。コロナ禍が、従業員の待遇に悪影響を及ぼしたというケースは少なくないようだ。

従業員規模別にみると、【希望退職】では従業員が300人~999人の勤め先で10.3%、【雇止め】では従業員が100人~299人の勤め先で10.6%と1割以上となった。

また、【賃金カット】では従業員が30人以上の勤め先では1割を超え、30人~99人では12.1%、100人~299人では11.9%、300人~999人では13.8%、1000人以上では13.7%となった。

さらに、業種別にみると、【希望退職】では[製造業]で10.0%、[宿泊業,飲食サービス業]で2.3%、【雇止め】では[製造業]で10.0%、[宿泊業,飲食サービス業]で7.0%、【賃金カット】では[製造業]で13.7%、[宿泊業,飲食サービス業]で11.6%となった。

コロナ禍における働き方の希望と現実

■出勤率・テレワーク率における希望と実際「ギャップが生じている」は23.4%

コロナ禍以降、感染症の拡大防止のための対策として、在宅勤務・テレワーク勤務を導入・推進する企業が増えたが、実際に希望通りの働き方で働くことができている人はどのくらいいるのだろうか。

全回答者(1,000名)に、自身が望む職場への出勤率(職場出社率)と在宅・テレワーク率(自宅など職場以外の場所でリモートワークをしている割合)を聞いたところ、「出勤10割:テレワーク0割」(64.9%)が最多回答。テレワークは行わず、出勤して仕事をしたいという人が最も多いことがわかった。また、理想的なテレワーク率の平均は1.9割になった。

では、実際にはどのような割合になっているのだろうか。

最近の職場への出勤率(職場出社率)と在宅・テレワーク率を聞いたところ、こちらも最多回答は「出勤10割:テレワーク0割」で74.6%。また、実際のテレワーク率の平均は1.4割となった。

ここで、希望の出勤率・テレワーク率と実際の出勤率・テレワーク率のギャップをみると、希望通りの出勤率・テレワーク率になっている人は76.6%。他方、希望より出勤率が高くなっている人は18.0%、希望よりテレワーク率が高くなっている人は5.4%で、希望と現実の間にギャップが生じている人は23.4%となった。

雇用に対するコロナ禍の影響

■「コロナ禍の影響で、2020年の賃金総額が減る見通し」は29.9%、宿泊業・飲食サービス業では51.2%

全回答者(1,000名)に、自身の2020年の賃金総額(手当・賞与等も含む)は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けそうか、2019年と比べてどのように変化する見通しか聞いたところ、「コロナ禍の影響で減少する見通しである」は29.9%、「コロナ禍の影響での変化はない見通しである」は40.8%、「コロナ禍の影響で増加する見通しである」は2.6%となった。コロナ禍の影響で2019年よりも減少すると予想している人が全体の3割となった。

男女・雇用形態別にみると、「コロナ禍の影響で減少する見通しである」と回答した人の割合は男女とも正規雇用者で高い傾向がみられ、正規雇用者の男性では36.4%、正規雇用者の女性では33.6%となった。

また、業種別にみると、「コロナ禍の影響で減少する見通しである」と回答した人の割合は[宿泊業,飲食サービス業]では51.2%と半数を上回り、[製造業]では38.9%となった。

■調査時点で「コロナ禍が続いたら、勤め先で働き続けられない」は12.2%

また、新型コロナウイルス感染症の状況が現在の状況と変わらないと仮定した場合、勤め先で働き続けることができると思うか聞いたところ、「働き続けられると思う」は50.2%、「どちらかといえば働き続けられると思う」は37.6%で、合計した『働き続けられると思う(計)』は87.8%、「働き続けられないと思う」は4.8%、「どちらかといえば働き続けられないと思う」は7.4%で、合計した『働き続けられないと思う(計)』は12.2%となった。

業種別にみると、[宿泊業,飲食サービス業]では『働き続けられると思う(計)』は67.4%、『働き続けられないと思う(計)』は32.6%となり、働き続けられないと感じている人の割合は全体と比べて高くなった。

調査時点では、経済対策として“GoToトラベル”や“GoToイート”が実施されていたものの、宿泊業や飲食サービス業に従事する人のなかには、このままコロナ禍の状況が変わらないのであれば、今後も働き続けることが困難だと感じていた人が多いようだ。

また、勤め先の人手不足状況別にみると、人手不足と回答した人では『働き続けられないと思う(計)』は9.2%だったのに対し、人手過剰と回答した人では『働き続けられないと思う(計)』は23.2%になった。

■調査時点で「勤め先から出向の打診または副業の勧めを受けていた」は11.5%

コロナ禍以降、出向の打診や副業の勧めを受けていた人はどのくらいいるのだろうか。

全回答者(1,000名)に、勤め先から出向の打診または副業の勧めを受けていたか聞いたところ、調査時点では、「出向の打診も副業の勧めも受けていなかった」は88.5%となったのに対し、「出向の打診のみ受けていた」は2.8%、「副業の勧めのみ受けていた」は2.5%、「出向の打診も副業の勧めも受けていた」は6.2%で、合計した『受けていた(計)』は11.5%となった。

勤め先の人手不足状況別にみると、『受けていた(計)』は、人手不足と回答した人では8.4%だったが、人手過剰と回答した人では28.3%となった。

■「コロナ禍の状況や会社の業績を考えると、自身の雇用に不安を感じる」は58.1%

全回答者(1,000名)に、新型コロナウイルス感染症の今後の状況や会社の業績等を踏まえ、自身の雇用に対して不安をどの程度感じているか聞いたところ、「不安を感じている」は25.2%、「どちらかといえば不安を感じている」は32.9%で、合計した『不安を感じている(計)』は58.1%、「不安を感じていない」は20.0%、「どちらかといえば不安を感じていない」は21.9%で、合計した『不安を感じていない(計)』は41.9%。コロナ禍の収束の見通しが立たないために、自身の雇用に対し不安を感じるという人が多いのではないだろうか。

2020年3月から調査時点までの休業状況別にみると、『不安を感じている(計)』は、勤め先が休業している・していた人では71.4%、休業したことはない人では54.4%と17.0ポイントの開きがみられた。

また、勤め先の人手不足状況別にみると、人手不足と回答した人では『不安を感じている(計)』は59.8%、人手過剰と回答した人では『不安を感じている(計)』は75.8%となり、勤め先の人手が過剰な状態の人のほうが16.0ポイント高くなった。

■ウィズコロナ時代を見据え、雇用が守られるために必要なこと、1位「休業補償」2位「テレワーク体制の変化」

新型コロナウイルスと共存しながら生活を送ることが求められる“ウィズコロナ(withコロナ)時代”において、雇用が守られるためにどのようなことが必要だと考えている人が多いのだろうか。

最後に、全回答者(1,000名)に、ウィズコロナ(withコロナ)時代を見据えて、雇用が守られるためにはどのようなことが必要だと思うか聞いたところ、「休業補償」(46.8%)が最も高くなった。

感染症の拡大防止のため休業の要請や営業の自粛の求めなどがあった場合に、補償がしっかりとなされることが雇用を守るうえで大切だと考えている人が多いようだ。以降、「テレワーク体制の変化」(27.8%)、「転職支援」(19.8%)、「在籍出向」(5.1%)、「転籍出向」(4.9%)が続いた。

雇用形態別にみると、「テレワーク体制の変化」は正規雇用者では32.0%と、非正規雇用者(21.3%)と比べて10.7ポイント高くなった。

また、勤め先の人手不足状況別にみると、人手不足と回答した人では「転職支援」が26.3%と人手過剰と回答した人(18.2%)と比べて高くなった一方、人手過剰と回答した人では「テレワーク体制の変化」が36.4%、「在籍出向」が10.1%と人手不足と回答した人(それぞれ29.4%、4.6%)と比べて高くなった。

2020年3月から調査時点までの休業状況別にみると、勤め先が休業している・していた人では「休業補償」が55.8%、「転職支援」が24.9%となり、休業したことがない人(それぞれ44.3%、18.4%)と比べて高くなった。

さらに、継続就業意識別や雇用不安度別にみると、継続就業意識別では、勤め先で働き続けられないと感じている人では「転職支援」が31.1%と働き続けられると感じている人(18.2%)と比べて高くなり、雇用不安度別では、自身の雇用に対して不安を感じている人では「休業補償」が52.0%、「転職支援」が23.8%と不安を感じていない人(それぞれ39.6%、14.3%)と比べて高くなった。

※連合調べ

<調査概要>
調査タイトル:コロナ禍における雇用に関する調査2020
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする全国の18歳~65歳の被雇用者
調査期間:2020年11月19日~11月26日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル(男性500サンプル、女性500サンプル)
実施機関:ネットエイジア株式会社

出典元:連合(日本労働組合総連合会)

構成/こじへい

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