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小売業の店長でもテレワークを可能にするために乗り越えるべき壁と打開策

2021.01.24

できる限りテレワーク化する必要がある昨今の状況だが、小売店などの店長となると、どうしてもテレワークとは遠い存在だ。しかし、店長もやり方によってはテレワークが可能だ。

実際、店長のテレワークをサポートし、成功させたリクルートマネジメントソリューションズのリサーチ&デザイン部 シニアコンサルタントである武藤久美子さんに、店長のテレワーク化の方法やメリットを聞いた。

店長のテレワークを阻む壁と克服法

武藤さんによると、店長のテレワークを阻む壁は「“店長は店舗にずっといなくてはならない”という思い込み」と「店長自身がずっと店舗にいないと不安」の2点が挙げられるという。

【取材協力】

武藤 久美子(ぶとう・くみこ)さん
リサーチ&デザイン部 シニアコンサルタント
2005年、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。組織・人事のコンサルタントとしてこれまで150社以上を担当し、個と組織を生かす風土・仕組み作りを手掛ける。小売業の「店長の在宅勤務制度」や、高度な機密情報や個人情報を扱うため導入が難しいと言われている金融企業へのテレワーク導入を支援し、実現。早稲田大学大学院修了(経営学)。社会保険労務士

一つ目の「店長は店舗にずっといなくてはならない思い込み」は、経営層と従業員が持っているものである。そのため、その思い込みをなくすための「意識改革」が必要だという。実際、店長のテレワーク化を支援した際、武藤さんは意識改革について具体的にどのような方法を取ったのか。

●「店長は店舗にずっといなくてはならない思い込み」への意識改革

「経営層、パート・アルバイトも含めた店舗の役職者やスタッフ、そして店長自身にも、『店長は一国一城の主であり、店長は細かいことも含めてすべて把握していないといけない』と考えていることがあります。もちろん店長は店舗においてとても重要なポジションですし、店長自身もそうした気概をもっているからこそ、店長にふさわしい面もあります。店長は、店舗の業績責任を果たし、お客様や経営層、スタッフからの期待に応えるために大きなプレッシャーの中で仕事をしています。よって、店長だけに意識や行動を変えることを強いるのは望ましいやり方ではありません。

例えば、経営層や本部には、店長が出勤日か休日かを問わず、何かあったら何でもすぐに店長に連絡するのを止めて、そのときに店舗にいる人で良いことは店舗に連絡するようにするのも一考です。また、店舗スタッフは、店長が店舗にいないと、店長はさぼっているのではないか、休んでいるのではないか、と思うことがあります。これについては、会社として正式に店舗スタッフに対して店長に適用した新しいテレワークの制度などについて紹介したほうが、店長も仕事をしやすいでしょう。

店長に対しては、自社に存在する『店長自身が長時間労働をせずに、店舗業績を上げている人』が行っている時間術や考え方をシェアするのは効果的です。店長自身がこれまでのスタッフ経験や自身の店長経験の中で、『いつでもどこでもなんでもする店長』というロールモデルしか見てきていないことが多いので、自社にも違ったロールモデルが存在することを示すことが大事なのです」

店長自身が店にいないと不安に感じる……解決策は?

もう一つの壁である「店長自身が店にいないと不安」というのは、例えば、いざというときに店に自分がいないと従業員から信頼されなくなってしまうし、実際に店の運営がうまくいかないという不安を指す。

この不安が店長のテレワークを阻んでいる。武藤さんによると、その解決策は、「時間をコントロールしながら『店舗にいること』ではなく『やること』に重きを置いて信頼を勝ち取る」と「店舗スタッフ全員に仕事を任せ育てる」の2つだという。それぞれ解説してもらった。

●時間をコントロールしながら『店舗にいること』ではなく『やること』に重きを置いて信頼を勝ち取る

「朝から晩まで店舗にいる店長は、長い時間店舗にいるということを活かして、偶然や“ついでの”機会を使ったマネジメントを行っています。例えば日常の店舗運営で発生するちょっとしたスタッフの困りごとに対応したり、スタッフの心身や生活を気にかける声掛けをするといったことがこれに該当します。こうした一つひとつは細かいやりとりを通じて、スタッフの信頼残高を積み重ねていきます。

一方、テレワークなど店長の働き方改革は、店長が偶然や“ついでの”機会を使ってマネジメントすることをむずかしくします。よって、テレワークでは、より意図したマネジメントや、時間の使い方が重要になります。例えば、店舗スタッフからの相談をじっくりと聴く時間をスケジュール上あらかじめ設定し、店舗スタッフに『その時間は誰の相談にも乗るよ』と知らせるといったことが挙げられます」

●店舗スタッフ全員に仕事を任せ育てる

「労働時間をコントロールしつつ業績をあげる店長は、自分自身で何でも行ってしまうのではなく、店舗スタッフ全員へと働きかけ、店舗スタッフが自分たちでより良いやり方や良い職場づくりを行える状態にしていることが多いです。そして店舗スタッフが日頃から自分たちの問題は自分たちで解決できる力を持っていると感じられること、そして実際に解決に向けてのスキルを身につけることを大事にしている方が多いように感じます。店舗の規模によっては、店長自身も個人売上に徹するほうが売上が上がるケースもありますが、おおむねそうした傾向があります。

そういった店長は、店舗業績向上や組織活性化に向けて、店舗としての新しい取組を企画したり、店舗スタッフ全員で店舗の問題解決を図ったりと、店舗スタッフの知恵もうまく活かしながら、自店舗の方針を強力に推進する方法を考えているようです。店舗の業績が良くて、店舗スタッフ同士の関係性が良好なほうが、スタッフは働きがいも働きやすさも感じられます」

実際、店長はテレワークでどんな業務を行っているのか。また、店舗トラブルが生じた際にはどのように対処するのか。

「店長は、もともと一人の時間をつくってじっくり取り組みたい業務を色々持っています。代表例は、年次、月次、週次で店舗の計画を立てる業務や、メンバーの半期評価などです。テレワークの際には、そういうことを実施する店長が多いようです。

店長がテレワーク中、店舗でトラブルが生じた際には、その内容や程度にもよりますが、そのときシフトに入っている店舗の役職者やメンバーが、関連する本部とやりとりしたり、店長に電話などで相談しつつ行います。店長に相談しながら行うか、対応完了後の事後報告で済むかは、トラブルの内容や程度、および対応する人の業務習熟度にもよります」

店長のテレワーク化によって生まれるメリット

店長のテレワーク化に成功した事例では、どのようなメリットが得られているのか。店長、店舗スタッフ、会社それぞれにとってのメリットや効果を聞いた。

●店長にとってのメリット

「一人でじっくりと行いたい業務や、日頃、後回しにしている業務に集中できる時間と場所を確保できるようになります。自身のライフイベントも大事にし、心身健やかに過ごせると同時に、スタッフやお客様には色々な人生や生活があることへの想像力が豊かになるということもあります。また、対面での時間が貴重であることに気がつくことも挙げられます。それにより、店舗にいるときの時間の使い方が変わるきっかけとなったり、地域で自店舗が存在する意味などについて改めて考える機会になったりします」

●店舗スタッフにとってのメリット

「店長がテレワークを実施することにより、店舗スタッフ自身も、柔軟な働き方や多様な働き方を選択しやすくなります。また店長から仕事が任される機会が増えて、成長の機会が得られます。テレワークのような柔軟な働き方もできるのかと、店長を目指したい人が増えるということもあります」

●会社にとってのメリット

「会社にとっては、店長という自社にとって重要なメンバーの定着につながります。店舗のナンバー2、ナンバー3の育成の機会を醸成できます。

また変わりゆくお客様の生活スタイルや価値観に合わせた店舗運営を行うためにも、会社や店舗の一人一人が、『生活者』であることが重要になります。小売サービスにおいて、まだテレワークは一般的ではないため、人材獲得上のアピールポイントとして使えます」

店長のテレワーク化は、確かにそう簡単にはいかないものだ。しかし最初からできないと決めつけてしまうのは早計のようだ。店長のテレワーク化を阻む壁の大きいものが思い込みによるものだとは、多くの人が気付いていないだろう。そう考えると、店長だけでなく、他の役職や職種であっても、同様にテレワークができる可能性はあるのかもしれない。

取材・文/石原亜香利

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