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中国では市場規模が10兆円を突破、コロナ禍で急成長する「ライブコマース」で売れるものの条件

2021.01.24

ライブ配信で紹介される商品について、リアルタイムで質問をコメントで行いながら購入できる「ライブコマース」。中国では10兆円を超える市場規模となっており、日本でもその波がじわじわときている。

まだ日本では「すごく盛り上がっている」とは言いがたいものの、今後はさらに注目を集めていくと思われる。そこで今回は、ライブコマースの市場や特徴と共に、ライブコマースで売れる条件や商材などを、ライブコマースサービスの立ち上げに関わり、マネジメントやディレクションを行う担当者に聞いた。

日本と中国のライブコマース市場と動向

ライブコマースとは、ライブ配信とECを組み合わせたネット販売の一つの形式だ。消費者は、ライブ配信で配信者が紹介する商品について、コメントなどでリアルタイムに質問などを行いながら、商品を購入する。

配信者は商品を手がける会社の担当者であることもあるが、多くの場合は著名人やインフルエンサーが担っている。

●日本の「ライブコマース」

マクロミル・翔泳社の2019年7月の共同調査「ライブコマースの利用意向やイメージに関する調査」によると、「ライブ配信を観たことがない」と答えた人は80.9%で最も多く、「ライブ配信を観たことはあるが、商品を買ったことはない」と答えたのが15.8%、「ライブ配信を観て、商品を買ったことがある」と答えたのが3.3%となった。

利用動向については、今後、ライブコマースを「使いたい」人は24%、「使いたくない」人は39%、「どちらともいえない」人は37%となった。

ライブコマースで買いたいと思う商品についてのトップ3は、1位「服」42%、2位「家電」40%、3位「コスメ・香水・美容」32%となった。

日本では、まだ利用経験も購入経験も、興味関心も低い結果となっているが、日本のメーカーもこのコロナ禍でライブコマースの初配信を行うなど、徐々に活用され始めている。例えば、2020年3月にはビームスが、同年5月にはベイクルーズやシップスが通販サイトでライブコマースを実施し、同年7月にはファンケルが、ライブコマースを初めて実施した。

●中国の「ライブコマース」

中国のライブコマース市場は巨大な規模に膨れ上がっている。

2019年10月に発表された、大手会計事務所のKPMGとアリ研究院によるレポートによれば、2019年の中国のライブコマースの市場規模は4,338億元(約6兆9,408億円、1元=約16円)で、2020年は1兆500億元、2021年には2兆元規模に急拡大すると予測された。

また「ライブコマースによる売り上げ促進効果があった」と回答した企業は7割に達したとされており、「今後1年間、ライブコマース業界の高成長が続く」とした企業も5割に上った。2020年前半は、新型コロナウイルスの影響により中国では外出が制限され、EC利用が拡大したことで、ライブコマースの認知度が一気に広まったという

日本の経済産業省のような役割を持つ中国商務部は、2020年上半期のライブコマースイベントの開催回数は1,000万回で、ライブコマースで活躍するキャスターは40万人、視聴回数は500億回、販売商品は2,000万アイテムを超えたと発表しているという。

参照:日本貿易振興機構JETRO「中国のライブコマース、2021年に2兆元規模へ」

コロナ禍により、中国ではもちろん、日本でもライブコマースの利用度が高まったのは確かであるようだ。

ライブコマースの特徴

ライブコマースには、次のような特徴があるとされる。

●コメントなどでリアルタイムに質問できる

コメント等で配信者にリアルタイムに商品について知りたいことを聞くことができたり、配信者と他の視聴者とのやりとりを見て参考にしたりすることができる。

また視聴者は、「商品の後ろ側を見せて」、「もう少し近くに寄って見せて」といったように、テキスト情報だけではわからないことや気になることなどをリクエストしてその場で確認できる。

●作り手や販売者から直接、思いやコンセプトを聞くことができる

メーカーや販売事業者のスタッフが配信を行う場合、作り手の思いや商品コンセプト、商品の使い方など、通常のECでは説明されにくいことを直接聞き、見ることができる。

●通常のECよりも商品購入率が高い

通常のECと比べて、消費者が商品を購入する比率は高いといわれる。詳細な商品情報が得られるうえに、疑問点も配信者とのコミュニケーションを通じてその場で確認できることなどから、購入につながりやすい。

参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ライブコマースの動向整理」2020年6月

ライブコマースで売れる人の特徴

ライブコマースで販売する側に立ってみると、売るためにはどんな工夫が必要になるのか。売れる人はどのような傾向があるか「LiveShop!」というライブコマースサービス(昨年7月にサービス終了)の立ち上げと運用に関わり、現在はインフルエンサーのD2C販売支援事業でライブコマースをサポートしているFan community Division マネージャー・プロデューサーの横田亮介さんに聞いた。

【取材協力】
横田 亮介さん
Fan community Division マネージャー・プロデューサー
早稲田大学卒業。システムエンジニアとしてキャリアをスタート、その後株式会社QreatorAgentにてクリエイターのプロデューサーとして落合陽一などのクリエイターを担当。
2016年に株式会社Candeeへジョインし、ライブコマースサービス「LiveShop!」の立ち上げに携わる。その後LiveShop!のプロジェクトマネージメント、サービスディレクションを担当。現在、「D2C with」プロデューサーを兼任し、You Tuberのブランディングに従事。
https://candee.co.jp/

「ライブコマースで売れる配信者の傾向として、まず商品に対する知識が豊富であることが前提としてあります。また、ITリテラシーが高い人、特にSNSに関するリテラシーが高めの人が多いです。本人もしくは企業のSNSに対して、熱量の高いフォロワーが多いというのも特徴です。
またトークスキルが高い傾向もあります。特にアドリブ対応力が重要だと思っています。商品の文脈と本人の文脈が一致しているということも大事です。例えば、乾燥肌向けの化粧品を売るのであれば、配信者も乾燥肌で悩んでおり、その化粧品を利用したらすごくよかった、といったような一致です」

これまでの最短の売上最高記録は「1時間で約600万円」だという。そのライブ配信は某人気アーティストによるもので、商材は、本人がその場でデザインしたオリジナルスウェット。ライブ配信中に完成したデザインの洋服を販売する形で人々の注目を集めた。6,000人が同時視聴していたそうだ。

ライブコマースに向いている商品

ライブコマースに向いている商品というのはあるのだろか。横田さんは「“ライブで買う意味”を持つ商品は向いていると思います」と話す。

例えば、次のような商品だ。

・ストーリーを持つアイテム…例 D2Cブランドなど

「例えばD2Cファッションブランドの場合、創業者が着たい服が見つからなくて困っており、悩んだ経験を踏まえて、着たい服を自ら作ったなどのストーリーをライブ配信でリアルに紹介することで、消費者の興味関心を呼び起こします」

・一点物系アイテム…例 タレントの私物など

「ライブコマースでは、タレントやインフルエンサーの使用済みの服や財布、電化製品などの私物が販売されることがあるほか、タレントやインフルエンサー本人が演者として配信を行うこともあります。こちらはそもそも一点物であるため購入競争になりやすく、どうしても欲しいユーザーは必然的にライブ配信を見て販売開始のタイミングを伺うことになります。そして販売商品への思いや販売する意味を本人の口から直接聞くことで、さらに特別感が増すのだと思われます」

・レアなアイテム…例 偽物が市場に多く出回ってしまっているような商品など

「これは中国で多い現象ですが、偽物が市場に多く出回っているため、信頼性を高める意味でも、ライブ配信で商品説明をすることが有効になっています。例えば、レアなスニーカーをただECで販売するよりも、ライブコマースで実物を見せながら売るほうが信頼できますよね」

中国のライブコマースの配信時間は圧倒的に長い

中国と比べて、日本のライブコマースはどのような違いがあるのだろうか。

「中国のライブコマースは日本に比べて配信時間が圧倒的に長いです。日本では長くても1~2時間の配信がほとんどですが、中国のライブコマースは5~6時間くらいの配信を普通に行います。また配信の途中で配信者が勝手に10分くらい休憩を入れたりする、しかも配信は流しっぱなしで、というのも日本とはかなり違うなと思いますね」

今後、日本でも中国のようにライブコマースが浸透していくだろうか?

「正直分かりません。少し前までの状況でいえば日本でライブコマースが盛り上がっていく可能性は低かったと思います。中国をロールモデルとしたライブコマースの形は日本では成り立たないためです。中国でライブコマースが普及した背景には、ライブによる信頼感が大きく影響していると考えています。例えば中国においてオンラインで買い物をする場合、通常のECサイトだと写真と実物が大きく異なる商品や偽物が届いてしまう可能性がありますが、ライブコマースで買い物をする際には『ライブで実際のものを動画で見ることができる』『インフルエンサー本人の評価に直結するため粗悪なものは売らないだろう』というある種の信頼感があります。そのため中国ではECよりもライブコマースで購入する動きが活発になったのではないかと想像しています。

これを日本に置き換えて考えると、日本ではAmazonや楽天、ZOZOTOWN等で買い物をする習慣がすでにあり、さらにそれらのサービスは商品の品質も高いため、わざわざライブコマースで信頼性を担保する必要はありません。ですので、もし日本でライブコマースが盛り上がるパターンがあるとすれば中国とは異なる理由によるものだろうと予想しています」

また横田さんによると、コロナ禍もライブコマースの今後の発展に関係する可能性もあるという。

「現在のコロナ禍の状況はライブコマースの普及という点においてはプラスに働く可能性が高いと思います。リアル店舗を持つ企業は少しでも売上を伸ばすためにDX(デジタルトランスフォーメーション)の強化を行っており、その一環としてライブコマースに興味を持つ企業は非常に多いはずです。そういう意味でもライブコマースは、今こそまさに注目したい販売手法だと思います」

今後、日本では日本ならではのライブコマース文化が浸透していくのかもしれない。事業者にとっては押さえておくべき販売メディアといえるだろう。

取材・文/石原亜香利

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