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出場機会確保へと動き出した久保建英と中島翔哉の移籍は森保ジャパンにとってプラスとなるか?

2021.01.19

Photo/ Getty Images(NurPhoto)

 新型コロナウイルス第3波の到来で、全国11自治体に再び緊急事態宣言が出るなど、2021年は波乱の幕開けとなっている。サッカー界はA代表が2022年カタールワールドカップ(W杯)アジア予選、U-24日本代表が東京五輪に参戦することになっているが、外国人入国やアスリートの入国規制健和も停止になってしまい、現時点では国際試合を行える環境にない。3月のW杯2次予選・ミャンマー(横浜)&モンゴル(ウランバートル)2連戦について、森保一監督は「国内組だけ、海外組だけ、ミックスという3つの編成を考えて準備したい」と語ったが、全くメドが立っていない。

 それでも選手たちは試合に出て、レベルアップし続けなければいけない。だが、2021年突入後の日本代表メンバーを取り巻く状況は険しい。ベテラン左サイドバック・長友佑都(マルセイユ)は出たりでなかったりの状況が続いているし、絶対的1トップの大迫勇也(ブレーメン)は年明けの出場時間が45分のみ。チームも下位に沈み、彼が戦犯扱いされる事態に陥っている。エースと位置付けられる南野拓実(リバプール)も1月8日のFAカップ3回戦・アストンヴィラ戦に後半17分から出ただけ。吉田麻也(サンプドリア)と冨安健洋(ボローニャ)のセンターバックコンビ、ボランチの軸を担う遠藤航(シュツットガルト)、森保体制発足後の2列目トリオを担った堂安律(ビーレフェルト)らがコンスタントに出ているのは朗報だが、全員が活躍しているとは言い難い。そんな中、出番を求めて久保建英(ヘタフェ)と中島翔哉(アルアイン)が立て続けに移籍に踏み切った。

久保は初戦のインパクトを継続できるか

 久保は昨季所属したマジョルカがリーガエスパニョーラ残留を果たせず、悔しさを糧に昨夏、ビジャレアルに赴いた。ビジャレアルはレアル・マドリード、バルセロナ、アトレチコ・マドリードのビッグ3のすぐ下に位置付けられる強豪。久保にとっては、リーグ上位争いと欧州リーグを両方経験できる理想的なレンタル先と目された。指揮を執るウナイ・エメリ監督もレアルのフロレンティーノ・ペレス会長との間に太いパイプがあって、久保を優先的に起用すると言われていた。
 ところが、ふたを開けてみると、久保はジョーカー扱い。レフティの能力を発揮しやすい右サイドで使ってもらえず、左サイドで起用されるケースが多く、本人もやりづらそうにしていた。案の定、出場機会が徐々に減少。12月16日の国王杯・SDレイオア戦を最後にピッチに立つことがなくなり、欧州冬の移籍期間突入後はレンタル先変更が現地メディアの間で取りざたされるようになった。
 そんな中、8日にヘタフェ行きが正式決定。資金力に差があるビジャレアルとの間で交渉が難航したレンタル料の負担についても合意に至った模様で、久保は11日のエルチェ戦でいきなりデビューを飾った。

 その試合で彼は後半19分から出場。2列目右に陣取り、5分後には自らのドリブルシュートからハメイ・マタの2点目をお膳立て。さらには後半ロスタイムにも積極果敢な突破からPKになりそうなチャンスも作った。本人は両手を広げて猛アピールしたものの、判定は覆らず、新天地初得点には至らなかった。が、初戦のインパクトは大きく、周囲からも絶賛される結果となった。

 20日の次戦・SDウエスカ戦以降の様子にもよるが、久保はスタメンに大きく近づいた印象だ。今の彼に必要なのは、リーガエスパニョーラで主力として1シーズン戦い抜き、残留の救世主になること。それができれば、中途半端感の続く森保ジャパンの立ち位置も変わるだろう。2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で18歳5日という史上2位のAマッチ年少出場記録を作り、「最年少ゴールは時間の問題」と言われた怪物も、コロナ禍の影響もあっていまだに無得点。この苦境から抜け出すためにも、ヘタフェでは必ず成功しなければならない。

カタールでの奮起に期待した中島

 一方、久保が初キャップを踏んだ当時、日本のエースナンバー10を背負っていた中島も今回、再び中東に赴くことになった。
 2019年2月にカタール1部のアル・ドゥハイルへ移籍金43億円で完全移籍することが決まった時は周囲を驚かせたが、本人は「お金のことはそこまで気にしてないし、自分にとっては一番魅力的なクラブだったから行かせてもらった。より楽しくサッカーをやるために成長できると思った」と淡々としていた。
 だが、やはり欧州へ行かなければ、目覚ましい飛躍は果たせないと考えたのか、同年夏にはポルトガル1部の強豪・FCポルトへ完全移籍するに至った。けれども、セルジオ・コンセイソン監督の戦術の中では輝きを示せず、徐々に出番が減少。2019年10月に前田大然(横浜)が所属していたCSマリティモと直接対決した際も「何も喋れないんで」と言葉を濁した。指揮官は外部への情報漏れを必要以上に警戒し、メディア対応を一切許さなかったから、彼はそういう言い方をしたのだが、息苦しい環境下で「楽しいサッカー」は見出しにくかっただろう。

 加えて、2020年に入ってからのコロナ感染拡大で妻の体調が悪化。看病に当たるため練習を休むという行動を取った。「自分の人生にとってサッカーは大事だが、それ以上に重要なものがある」という考え方を持つ中島にとって「家族優先」は当然だが、コンセイソン監督にしてみれば受け入れがたいことだったのかもしれない。結局、19-20シーズン後半は一度もピッチに立たずに終わり、20-21シーズンもリーグ4試合、UEFAチャンピオンズリーグ8試合に出ただけ。ゴールもなく、事実上の戦力外になりつつあった。

 そうなると移籍要員と位置付けられるのはやむを得ないが、ポルトがアルドゥハイルに支払った移籍金が高額すぎて、コロナ禍で経営が極端に悪化している欧州クラブには引き取り手が見つからなかった。そこで浮上したのがUAEのアルアイン。本人は欧州にこだわりを持っていた様子だが、条件を考えると中東に戻るしかなかったのだろう。
 幸いにして、同じ日本人の塩谷司も在籍していて、環境適応はスムーズに進みそう。カタール生活経験もプラスに働くはずだ。さらに言うと、カタールW杯アジア予選がセントラル開催になるという噂も流れていて、その会場もカタールが有力視されている。となると、中東でプレーしている中島には有利に働く。2020年は代表落選を強いられたかつての10番には、猛烈な巻き返しを期待したい。

 このように「試合に出られなければ、いち早く別の環境を探す」という動きが加速しているのは、森保ジャパンにとってはプラスと言える。現時点での代表正守護神・権田修一(清水)もポルティモネンセから清水エスパルス移籍という道を選び、再スタートを切っている。「清水で試合に出た方が自分が成長できる」と権田は強調したが、やはりサッカー選手はピッチに立ってナンボ。ブレーメンで苦境に立たされている大迫、リバプールで出番をつかめず苦しんでいる南野らも新天地を見出した方がベターかもしれない。

 半年間のフリー状態からの脱出を目指す香川真司、ボタフォゴからポルトガル移籍を画策している本田圭佑含め、1月末の冬の移籍期限終了まで、誰がどこに移動するかまだ分からない。ただ、「試合に出て活躍している海外組が沢山いる」という状況にならないと、日本代表が最終予選を楽々と突破し、カタールで8強の壁は超えるという状況にはならない。その領域を視野に入れて、各選手には最善の選択をしてほしいものである。

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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