
発行元の国や企業がつぶれないかぎり、元本と利息が保証されている金融商品「債券」は、相場下落時に強いという性質がある。ゆえに「米国への投資」という視点で考えた時、米国株とともに米国債券に投資をしておくのは、投資資産を分散できて、リスクヘッジにつながるのだ。資産に組み入れるならば、投資総額の20%をめどにするといいだろう。
債券は元本に対して受け取れる金利が決まっている
「さいけん」という言葉を聞くと、お金を借りるほうの「債権」のほうが先に思い浮かぶかもしれないが、金融商品の「債券」は、債権の契約をした借用証書を金融市場で売買できるようにしたものである。国が発行するものを国債、会社が発行するものを社債などといい、債券を購入することは国や会社にお金を貸しているのと同じ意味になる。したがって発行元がつぶれてしまうと、その債券は紙くずになり、利益を受け取ることができない。
株の場合には企業の業績が悪いと価値が下がり、配当金も少なくなる。一方、債券の場合にはあらかじめ支払う利息と投資期間が決まっているので、国や企業がつぶれないかぎり一定額の利息を受け取り可能だ。そのため、株に比べて相対的にリスクが低く、相場下落時に強いといわれている。また、投資期間の途中で売却することもできるが、その場合、元本割れすることが多いので、投資期間満了まで保有しておきたい。
米国国債は利回り年0.5~2%程度。長期投資に向いている
米国での債券投資を行なううえで一番リスクが低いのは、米国政府が発行する米国国債への投資だろう。世界第1位の経済大国であり、取引規模も大きく、信用度が高いからだ。利回りは0.5~2%程度。投資期間は5~10年前後。より長い期間での投資となる米国国債もある。
引用元:TradingView(http://jp.tradingview.com/)
米国国債の10年物の利回りの推移。過去10年間で高いと3%を超えることもあった。
米国国債と米国株は同じ証券会社で運用するのがおすすめ
米国国債は、米国株を取り扱っているネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)で取引が可能。米国株を購入する時や、配当金で得た米ドルを債券へ投資する際に利用できるので、米国株投資と債券投資を同じ証券会社で行なうほうが、資金効率が良くなる。また、米国債券への投資を行なう米国ETFを買い付けるのもいいだろう。米国国債を1つ買って、長期間保有するのに抵抗を感じるのであれば、米国国債に投資する米国ETFを購入してみるのもアリだ。見た目は株だが、投資先が債券であることから、投資資産の分散効果がある。
引用元:外国債券/楽天証券(http://rakuten-sec.co.jp/web/bond/foreignbond/)
ネット証券では、投資信託を購入する時と同じ感覚で米国国債への投資ができる。債券特有の用語があるので、取っつきにくく感じるかもしれないので、下表に用語をまとめておく。
■ 米国国債へ投資する主な米国ETF
米国国債の投資期間によって種類が分けられている。運用元のファンドが投資する米国国債を選定してくれるので、期間満了後に自分でほかの米国国債に買い替える必要がない。
米国企業が発行する社債への投資は米国ETFで行なうのが得策
米国国債よりもリスクを取って利益を狙いたいと考えるなら、米国企業の発行する社債への投資も検討したいところだ。個人が米国での個別社債を購入するのは敷居が高いので、社債への投資を行なっているETFに投資するのがいいだろう。なお「国債に比べて投資対象の企業がどこなのか」「債券のインデックスに連動するならどのインデックスを使用しているのか」といった情報を調べておく必要がある。債券の価格変化がどのようにして起こるのかも把握しておかなければならず、投資初心者にはあまりおすすめはできない。
引用元:HYG銘柄情報/BlackRock(http://blackrock.com/jp/individual/ja/products/239565/)
下表のように米国ETFでも運用元ファンドによっては日本語で情報を提供してくれる。運営開始からのパフォーマンスや組み入れている社債の情報などが調べられるが、社債発行企業の情報を得るのは英語が主体なので、初心者にはハードルが高いかもしれない。
■ 米国社債へ投資する主なETF
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取材・文/編集部