
2020年はコロナ禍でさまざまなジャンルのゲームがヒットしたが、新規ゲーマーはスマホで手軽に遊べるハイパーカジュアルゲームと呼ばれるジャンルをプレーした人も多いはず。課金やガチャをしなくても手軽に無料プレーできるハイパーカジュアルゲームは、言語を問わず直感的にプレーできて短時間で何度でも遊べるのが魅力だ。ただシンプルなゲーム性だけにゲーマーにとっては物足りないのも事実。
『MrBullet』や『Happy Glass』などハイパーカジュアルゲームのヒット作を開発したLion Studiosは、新作ゲーム『Ancient Battle』で今までのノウハウを活かしつつ、「ハイブリッドカジュアルゲーム」という新たなジャンルに挑戦。ゲーム初心者からコアゲーマーまで楽しめるゲーム性を目指し、現在、世界90か国以上で配信中。開発者のコメントを紹介しつつ『Ancient Battle』の魅力を解説しよう。
タイトル:『Ancient Battle』
配信元:Lion Studios
配信日:配信中
価格:基本プレー無料(アイテムなどに課金要素あり)
対応プラットフォーム:iOS、Android
『Ancient Battle』は、プレーヤーが王となり、フィールドの制覇をかけてリアルタイムで他のプレーヤーと戦う戦略系バトルロイヤルゲームだ。ゲームスタート時は王が一人で、フィールド上にいる兵士たちを仲間にしながら部隊を大きくしていく。部隊をうまく戦わせて他の王を倒していき、最後の一人まで生き残ると勝利となる。
基本操作は王と部隊をサークルを移動させながら誘導していくだけの直感的なものなので、すぐにプレーのコツを覚えることができる。ゲームを進めていくと部隊の兵士たちをアップグレードしたり、さまざまな呪文やルーン(古代文字)などを追加することができる。最初はシンプルに遊びつつ、育成要素でやり込む楽しさも用意されている。直感的にすぐに遊べるハイパーカジュアルゲームのような簡単なルールでありながら、これまでのソーシャルゲームのような他のプレーヤーとの競争やRPG的な育成要素などを持っているのが大きな特徴になっている。
「『Ancient Battle』は、これまでLion Studiosが配信してきたゲームとまったく違うものになっています。ハイパーカジュアルゲームの気軽に遊べるシンプルさに、装備システムや堅牢なソーシャル機能など洗練されたゲーム機能を備えたモバイルゲームです。戦略系やバトルロイヤル、カードバトルなどのジャンルに見られる戦術や手法を取り入れているので、幅広い層に楽しんでいただけると思います。
最初は理解しやすいですが、ゲームを続けることでより深い体験もできます。またアプリ内課金(IAP)とアプリ内広告を組み合わせたハイブリッドの収益モデルの採用により、幅広いユーザー層に好まれるゲーム内体験を提供しています。これが初めて戦略ゲームをプレーする人でも楽しめて、経験豊富な人にとってもカジュアルなフォーマットで親しみやすいと思います」(プロダクト担当ディレクターのエイミー・チョイ氏)
王の周囲に表示されているサークル内に待機している兵士を一定時間入れると味方になる。サークル内に敵軍が入ると自動的に戦闘になる。敵の王を倒すと配下の兵士や射手を自分の仲間にできる。
ゲーム中にアイテムを集めたり、攻撃力を強化させるレアな呪文やルーン(古代文字)を発見できる。ゲーム終了時には、兵士や呪文をアップグレードするためのコインを報酬として入手できる。コインを集めて兵士たちを強化する育成要素も魅力のひとつ。
王は、さまざまな効果を持つ呪文を3つまで装備可能。画面下部のアイコンをタップすると呪文が使える。うまく発動させれば味方の部隊を援護することが可能だ。
今回のゲーム開発は、中国のゲーム開発会社Mandrill VRと共同で行われた。これまでもLion Studiosは中国デベロッパーと協力してゲーム開発を行なってきた。グローバルで展開するスマホ向けゲームアプリでも中国の影響力は大きいようだ。
「Mandrill VRは、Lion Studiosの中国デベロッパーとの実績やハイパーカジュアルゲームでの成功を知り、デザインやアニメーション、新機能、ユーザー獲得に至るまでのすべて作業を共同で進めることにしてくれました。より没入感のある高品質なゲームに仕上げるためにキャラクター、マップ、アニメーションのすべてを再構築し、共に開発に取り組みました。Lion Studiosは、中国のデベロッパーとはこれまでも協力してきた歴史があります。2年前に上海にチームを設立して以来、中国のパートナーと非常に密接に仕事をしており、『Love Balls』、『Save The Girl』、『Ancient Battle』などトップチャート入りのゲームを数多く発表してきました。中国は世界最大のゲーム市場のひとつであるだけでなく、巨大で多才なタレントプールでもあるため、大きな可能性があると考えています。今後も中国でのリソースに投資を続け、現地の開発者がゲーム開発の成功に向けて潜在能力を最大限に発揮できるよう支援していきます」(エイミー・チョイ氏)
シンプルな操作で本格的な戦略ゲームを楽しめる。フィールド上の兵士たちはランダムで出現するので、何度でもやり込むことができる。
さまざまなジャンルのゲームが乱立し、グローバルで競争が激しくなっているスマホゲーム市場だが、その中で日本市場についてどうなのか? 今後のスマートフォン戦略のカギを握ると思われる5Gも含めてコメントしてもらった。
「日本はモバイルゲーム市場規模として世界で2番目に大きいだけでなく、プレーヤーのモバイルゲームへの支出額でも大きな割合を占めています。米調査会社のSensor Towerの調査によると、2020年9月までの期間におけるApp StoreとGoogle Playの全世界のモバイルゲームプレイヤーの支出額の22%を日本が占めています。グローバルなユーザーをイメージして『Ancient Battle』をゲームデザインしましたが、ゲームには日本で人気の高いジャンルであるRPGの要素も存在するので、日本のユーザーに好まれるのではないかと考えております。スマホの5Gについて、高速化が実現されたとしてもモバイルゲームは常に軽量でレスポンシブ、そして何よりも楽しいものになるように最適化されなければなりません。ネットワーク速度が速くなっても画像解像度が高くなっても、それだけでは「楽しさ(Fun)」を向上させることはできません。最高なモバイルゲームを作り上げるために必要なのは、その時のストレージ、処理能力、ネットワーク速度の制約の中で作業をする開発者の創造性なのです」(エイミー・チョイ氏)
『Ancient Battle』のプロダクト担当ディレクターのエイミー・チョイ(Amy Choi)氏。モバイル広告会社を経て、2018年にLion Studiosの初代プロダクトマネージャーとして入社。プロダクト管理、ゲームデザイン、品質保証(QA)などでチームを牽引する。
取材・文/久村竜二
こちらの記事も読まれています