
ウィズコロナで商談のオンライン化が進んでいるが、対面商談も一部復活してきているといわれる。これからはオンラインと対面の両方に対応しなければならない時代が来そうだ。
オンライン商談を経験したからこそ、対面商談の良さや強みに気付くこともある。
そこで今回は、コグニティ株式会社が実施した調査結果をもとに、オンライン商談と比べ、対面商談で成約しやすい法則5つを紹介する。
商談の成約・不成約のトークの特徴を調査
コグニティは、テレワーク拡大に伴いオンライン商談の急増を受け、同社の会話解析AI「UpSighter(アップ・サイター)」を利用し、「対面商談と オンライン商談の成約率の差に関する調査」を実施した。
これは2019年11月1日~2020年5月31日の6ヶ月間で行われた、同社が保有する近年の商談トークデータ、初回31商談(対面11件:全580分・オンライン20件:全920分)の全1,500分から、成約した商談トークと失注した商談トークを、対面商談とオンライン商談別に比較し、見える化したものだ。
対面商談で成約しやすいトークの5つの法則
オンライン商談の成約しやすい法則6つについては、前回の記事で紹介した。今回は、対面商談では「どのような商談にすれば成約しやすいか?」を、調査結果をもとに5つ、ピックアップして紹介する。
この対面商談の成功法則で注意したいのが、あくまでオンライン商談と比較した場合のものである点だ。例えば「『数値を用いた客観的な説明』が少ないほど成約しやすい」という法則をうのみにして、対面商談では数値を用いた客観的な説明をゼロにするといった行為は避けたほうがよい。オンライン商談のときと比較して、やや数値を用いた客観的な説明を減らすといったような活用法をおすすめする。
1.対面商談では起点話題として「競合の話題・比較」を出すと成約しやすい
成約につながったトークの情報構成を見てみると、対面商談では「話の起点となる意見・提案」として「競合の話題や競合との比較」などが多い場合に、成約しやすいことが分かった。一方、オンライン商談ではこの話題は成約・不成約関わらず同程度出されている。
また「話の起点となる意見・提案」がより多いほうが、少ないよりも成約しやすいというのが、対面商談の特徴の一つであるようだ。
2.対面商談では「感情的な理由付け」を話してもらう・話すほうが成約しやすい
対面商談では、「なぜ自分が提案するのか」といった「感情的な理由付け」をした場合に成約しやすいこともわかった。もしくは、買い手側からより多く感情的な面を話してもらうことも成約につながりやすくなった。
一方、オンライン商談では「感情的な理由付け」については差が出なかった。代わりに話されることが多いのが客観根拠としての数値データだったことから、オンラインでは感情的な理由付けのような主観根拠の代わりに客観根拠で伝えることが成約につながりやすいといえる。
3.対面商談では「数値を用いた客観的な説明」が少ないほど成約しやすい。
対面商談では、「数値的な根拠」の話題が少ないほど成約につながっていた。
その数値的な根拠などの「数値を用いた客観的な説明」は、成約したオンライン商談では全体の7%ほど検出されているのに対し、不成約であったオンライン商談では0%。一方、対面商談では成約したものが1%に留まり、不成約のものでは6%検出されたのだ。
4.対面商談では「同じ話の深堀り説明」が多いほど成約しやすい
対面商談では、一度出た話題について、具体的な説明が多い場合に成約しやすいこともわかった。
対面商談・オンライン商談ともに、成約・不成約問わず、割合として一番多い話題は「同じ話題について具体的・掘り下げた説明」であるが、対面商談は成約したトークのほうが、不成約であったトークよりも多く検出された。
一方、オンライン商談では、成約したトークよりも、不成約であったトークほど多くなっている。このことから、オンライン商談では一つの話題を何度も繰り返して説明する必要がないが、対面商談では必要だということになる。
5.対面商談では、一つの商談の中で出す話題数は少ないほうが成約しやすい
通常「具体的な説明」が増えると、「起点話題・提案」の割合は減少するのが一般的だ。一つの話題を掘り下げるため、相対的に話題数が減ると考えられる。対面商談にはその傾向があったが、オンライン商談には差がなかった。
対面商談は、オンライン商談がいくら進んでもなくならないといわれている。対面商談ならではの強みをよく理解して、対面の場を有意義なものにしていこう。
【取材協力】
コグニティ株式会社
参考:「テレ検(テレケン)」
http://tele-ken.com/
取材・文/石原亜香利
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