コロナ禍を筆頭に激動の年となった2020年。生活様式が変わって「ニューノーマルな生活」を始めようとしている人は多い。本稿制作時点ではまだ確定していないが、米大統領はバイデン氏への交代が濃厚だ。日本国内でも首相が菅氏になった。賛否両論あるだろうがコロナ禍脱出のための政策が推し進められる中、2021年の投資環境はどのようなものとなるだろうか。
【大前提】どうして米国は強いのか?
毎年人口が一定割合で増加している米国は、いわゆる先進国の中では珍しい部類に入る。一般的に人口が増えればその分経済が成長していくことになる。また米国は出生地主義の国籍を採用しており、海外の富裕層が出産間近になると米国へ旅行し、米国で出産し、子供に米国籍を与えようとする事例もある。将来の米国経済成長のメリットを子供に享受させたいという考えであろう。そんな数値面、人間行動面を取ってみても米国市場への期待値が高いわけだ。
2021年の金融政策と財政政策をチェック
相場展望を予測する場合、必ず金融政策と財政政策はセットで考えねばならない。金融政策は各国の中央銀行(日本であれば日本銀行、米国であれば米連邦準備理事会、FRB)が行なう金融市場の操作のこと。財政政策は公共事業へ重点的に政府が投資を行なう事業領域のことと考えよう。これらのうち編集部員が特に興味を持っている領域に注目して解説を行なう。米国株投資を始めようとしている人、投資を見直そうとしている人は、ぜひ参考にしてほしい。
バイデン政策の投資領域に期待せよ
2020年の大統領選・議会選では、バイデン氏の勝利に加えてバイデン氏が属する民主党が上院・下院ともに制するいわゆる「トリプルブルー政権」となった。そこで、まずはバイデン氏が掲げている主な政策を見ていこう。
以下の表にまとめたように景気対策となる施策は4つだ。追加経済対策ではコロナ禍の影響を受けた個人や企業に対しての支援を行なうなどの施策で景気後退を阻止する。環境インフラ投資では、太陽光などのクリーンエネルギーへの移行を目指している。各国の投資額と目標を見てみよう。
バイデン政権が掲げている政策
国別の環境インフラ投資額と目標
米国の投資額が日本の100倍と突出しているのは、米国が先陣を切って脱石油エネルギーへ切り替えていこうという姿勢の表われだろう。
金融政策は「継続緩和」でドル安継続
次に金融政策を見てみよう。11月5日にFRBによるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融緩和政策の継続を表明。米国国債やMBSという住宅ローン債権を証券化して投資家と売買する証券の買い入れをFRBが行なっている。買い入れを行なうとFRBが対価として支払う米ドルが市中に流れて市場でのお金が回るというわけ。米ドルの流通量が増えるため、相対的に米ドルの価値が下がる米ドル安状態となる。また増えた米ドルは株式などへの投資に回るため株価が上昇しやすいインフレ状態となっていく。ちなみにバイデン政権では元FRB議長のイエレン氏が、米財務長官に起用される見込みとなっている。イエレン議長は金融政策の緩和方向を向いた人物であり、財政政策を通してもさらなる緩和が期待できる。
元FRB議長のジャネット・イエレン氏
環境インフラ投資に関連する有望な投資領域の対象
財政政策による投資インフラの拡充によって期待できる投資領域で、すぐに想像できるのは太陽光発電の関係者だろう。太陽光発電に必要なパネルの製造には銀が欠かせないものになっているので、銀に投資しておくのもアリ。また今の石油や石炭を使った発電所を置き換えることを考えると、それに必要な建設機械への投資も活発になるだろう。株式投資に興味がある編集部員が注目しているものを右表にまとめた。
編集部員が注目している米国株・米国ETF
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取材・文/編集部