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脳科学者・中野信子氏が解説!脳のメカニズムから読み解く「鬼滅の刃」の魅力

2021.01.31

我妻善逸

多くの人の心を打った『鬼滅の刃』。劇場を後にする人々の多くが目元を腫らしたが、なぜ私たちはキャラクターの言葉に、所作に、こんなにも感情が込み上げてくるのだろうか──。

POINT

一、フィクションだからこその感動が視聴者を〝没入〟させる

二、キャラクターづくりに「泣ける要素」が詰まっている

三、この時代にマッチした「認知負荷」が低い作品

中野信子さん

脳科学者  中野信子さん
1975年生まれ。2015年に東日本国際大学特任教授に就任、現在に至る。脳や心理学をテーマに研究や執筆活動を行なう。著書に『「嫌いっ!」の運用』(小学館新書)など多数。

日本人の精神状態が物語にフィットした

 ここまで世の中に大きな影響を与える映画って、すごいですよね。私も観に行きました。

 涙を流した方が多いという声も多く聞きました。物語だとわかっているはずなのに、現実に起こっていることかのように悲しくなるのは、私たちの脳が、フィクションと現実の区別がつかなくなる瞬間があるからです。その状態を「没入状態」といいます。

 私たちの脳にある「前頭前野」という部分では、今自分が何をしているのかというのを客観的にモニターしています。つまり、「私は『鬼滅の刃』という物語を観ているんだ」と冷静に判断しています。しかし、そのモニター機能がオフになることで脳の中で現実とフィクションの区別がつかなくなることがある。これが没入の正体です。

 人を没入させてしまう代表的な要因は、寝不足、飲酒、恋愛などです。そして、「感動」も没入感を与える有効な手段のひとつなのです。

 驚くかもしれませんが、人に感動させるというのは、そう難しくはありません。ポイントは「利他的な行動や言動」を見せること。『鬼滅』には、これでもかというくらい、利他精神を持っているキャラクターが登場しますよね。映画のキーとなるキャラクター、煉獄杏寿郎も常に炭治郎たちのために自分の力を振るいます。そんな姿を見て、視聴者は心動かされ、作品に入り込んでいくんです。

 感動すること以外にも、没入しやすい要素が『鬼滅』にはあります。キャラクターデザインが非常に単純な線で構成されていることと、物語に小さなどんでん返しはあっても大きなものはないということです。これらは、専門的には「認知負荷が低い」といえます。つまりはどういう状況か認識しやすいために、物語に入り込みやすいということです。子供は『ドラえもん』や『アンパンマン』のような認知負荷が低いものを好みますが、大人になるとそれだけではおもしろいと感じなくなり、適度な「斬新さ」も必要となってくる。ただ、斬新すぎると認知負荷が増えてしまいます。『鬼滅』は、このバランスが絶妙だったのではないでしょうか。

 新型コロナなどにより社会情勢が不安定な時代になってしまいました。『鬼滅』のヒットの裏側には、「安心して感動できる作品に触れたい」という、今の時代ならではのニーズをすくい上げたことがあったのかもしれません。

我妻善逸

逃げ腰な〝ヘタレ〟として描かれる炭治郎の仲間・我妻善逸。想いを寄せる禰豆子のために、その身を戦いに投じる(第7巻 第66話)。

煉獄杏寿郎

まだまだ未熟な炭治郎たちを励まし盾になる煉獄杏寿郎。実力のある先輩が、後輩のために命を燃やし力を振るう姿が感動を呼んだ(第7巻 第66話)。

取材・文/田村菜津季

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