コロナ禍の現状とリンクする内容にハラハラ、ドキドキするAmazon Prime Videoのサスペンス・スリラードラマ「ユートピア~悪のウイルス~」
2021.01.11
コロナ禍真っただ中の2020年10月末、Amazon Prime Videoからタイムリーなテーマのサスペンス・スリラーが配信された。
『ユートピア~悪のウイルス~』(全1シーズン)は、同名の人気英国ドラマを映画『ゴーン・ガール』の原作者・脚本家ギリアン・フリンがリメイクした、Amazonオリジナルのドラマシリーズ。
キャストは『アメリカン・ハニー』のサッシャ・レイン、『ハイ・フィデリティ』ジョン・キューザックなど。
あらすじ
作者不明の謎めいたカルトコミック『ユートピア』が、オークションに出品された。イアン(ダン・バード)、ベッキー、ウィルソンらで構成されるオタクグループは、協力して『ユートピア』を入手しようとする。
『ユートピア』の主人公は、科学者の父親とふたりで暮らす少女、ジェシカ・ハイド。
ジェシカの父親は、悪党のミスター・ラビットに脅され、人類に破滅をもたらす“悪のウイルス”を作らされていた。アルテミスというヒーローが一度ふたりを救うのだが、その後ミスター・ラビットの部下であるハーベストがジェシカの父親を誘拐、ジェシカは救出に向かう。これが物語のあらすじだ。
しかしイアンたちは、『ユートピア』に描かれている内容がフィクションにとどまらず、すべて現実になっていることに気づく。そこで『ユートピア』を全ページ集めて秘密の暗号を一刻も早く解き明かし、世界を救うことを決意する。
すっかりヒーロー気取りで陰謀論に盛り上がる彼らだったが、オークション参加直後、『ユートピア』を追い求める謎の男たちに命を狙われる。
パニックに陥る彼らの前に現れたのは、『ユートピア』の主人公ジェシカ・ハイド(サッシャ・レイン)だった。
見どころ
奇しくもコロナ禍とリンクしてしまった本作。
英国版が制作・放送されていた頃には、多くの人々がフィクションとして楽しむ心の余裕を持っていたかもしれない。
しかし現在は本作と現実が酷似しているため、よりリアルな物語としてドキドキハラハラしながら視聴することになりそうだ。
主人公のジェシカは、ヒーローによくいる人格者的なキャラクターかと思いきや、冷酷かつ容赦のない性格。
個人的に注目したのは、脇役ながらもっとも王道ヒーロー的なオーラを放つ10歳の少年グラント(ジェフォン・ワナ・ウォルトン)だ。
グラントは、ジェシカ・ハイド率いるオタクグループに途中から合流する。まだまだ幼さが強く残る外見ながら、その表情にはしっかりと知性、勇敢さ、そして優しさを湛えている。
ウイルスが蔓延し混迷を極める状況下において、大人顔負けの冷静さと器の大きさを見せながら活躍するグラントは、未来を照らす希望の光に見えるだろう。
全体的にシリアスかつダークな物語展開だが、“ミュージカル『ゴーン・ガール』”の看板が一瞬映ったりと、遊び心も効いている。
なお本作には暴力的で残酷なシーンが非常に多いので、体調が悪い人や小さな子どもがいる人は要注意。
映画『ユートピア~悪のウイルス~』
Amazon Prime Videoにて独占配信中
文/吉野潤子
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