
スリーホイールでスイング機構をもち、2輪車の軽快性と4輪車の快適性をあわせもつ乗りもの」とホンダが定義した“スリーター”。
これを普及する役割が期待された、「ホンダ・ジャスト」は見た目以上の軽量ボディで、女性にも扱いやすいモデルであった。
3.7psで乾燥重量53kg。売れる要素はあった
簡単にスペックを見てみよう。
全長1520×全幅620×全高945mmで乾燥重量は53kg。空冷2サイクル49ccエンジンを搭載し、最高出力は3.7ps/6000rpmを発揮。2速オートマチックで、セルフスターター搭載だ。
50kg台前半の車重は、2輪スクーターと比べても軽量と呼べるもの。馬力こそ低いが、性能的には十分だった。
コーナリング時に、復元力をあたえながら左右にスイングするナイトハルト機構を採用し、走りは軽快。そして、スリーホイールのため、女性が苦手にしがちなスタンド掛けも不要だった。
しかし、スリーターという言葉を知る人は、今やほとんどいないはずだ。残念ながら普及することはなかったのだ。
スリーターよりも軽自動車や小型自動車を選ぶ女性が、多かったのだろうか? もしかしたら、12万9000円(発売当時)の価格が割高だったのかもしれない。
いずれにしてもスリーター普及の夢を、「ホンダ・ジャスト」がかなえることは、残念ながらなかった。
文/中馬幹弘
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