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コロナ禍でデジタルシフトが加速しても主役はあくまでも「人」。テクノロジーが人間に寄り添うことが求められる時代へ

2021.02.01

2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」の実現を目指して住宅関連事業者やメーカー、流通・小売りに携わる企業が集い、まずは、ユーザーに心地良いスマートホームを段階的に進めていこうとしています。

2020年10月29日にはカンファレンス「LIVING TECH Conference 2020」を開催。全13セッションの中から、セッション11を3回にわたって紹介します。

登壇者は、左より金坂直哉さん(株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 CFO マネーフォワードシンカ株式会社 代表取締役社長 マネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社 代表取締役)、小川智也さん(株式会社アカツキ Head of Global Game Expansion)、山下智弘さん(リノベる株式会社 代表取締役 / LIVING TECH協会 代表理事)、古屋美佐子さん(アマゾンジャパン合同会社 Amazonデバイス事業本部 オフライン営業本部 営業本部長 / LIVING TECH協会 代表理事)、リモート出演:本間毅さん(HOMMA, Inc Founder & CEO


※Session 11 後編※日本とUSにおけるスマートホームの違いと、VC観点から見る今後のLIVING TECH領域の可能性について

【前編】日本とアメリカでスマートホームの違いを考察。「HOMMA ONE」がアメリカで展開しているニューノーマルな家屋とは?
【中編】日本とアメリカの住環境を見据えて、新たなビジネストレンドを発掘するために必要なものは何か

 ストーリーがより大きな価値を持つ時代へ

金坂(モデレーター):小川さん、コンシューマートレンドについて続きをお願いします。

小川:機能的価値から意味的価値ということで、便利とか安いということ自体はすごく大きな価値で、引き続き大きな意味を持っています。それに加えて意味的価値は、その人にとっての感動であったり使う理由であったり、ストーリーがより価値を持ってきていると感じています。

流行っている言葉でD2CDirect to Consumer(※1)という商品をお客さんに直接届けるようなスタートアップが、アメリカでも日本でも出てきています。例えば「オールバーズ」というスニーカーは、履くと快適であることをすごく売りにしていますが、サステイナブルな形でスニーカーを作るというストーリーも訴求しています。実際にそういった姿勢で取り組んでいることに対して、アメリカにも日本にも熱烈なファンがいて話題になっています。

1 Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー):流通業者などの他社を介さずに、自社で製造した商品を自社チャネル経由で消費者に直接販売すること。D2C

アカツキの投資先でもパーソナライズドシャンプーを作っている企業があり、その人の髪質やこだわりに応じて、その人に合ったものを月額で届けています。それは便利さだけではなく、自分に合ったもの、生活の中に取り込みたいというストーリーも大事になっています。本人にとって家での暮らしの快適さ、幸せさは何なのか、というのはこれから家にいる時間が長くなってくるので、そういう視点も大事になってくると感じています。

金坂:僕、今、たまたまオールバーズを履いています。

古屋:シアトルの人もたくさん履いています。

本間:もちろんシリコンバレーでも履いています。

リアルの場で体験してこその感動も

小川:面白いのはD2Cブランドは必ずしもオンラインだけでなくてショールームもちゃんと持っているのです。サンフランシスコのダウンタウンとかに。スーツケースや服など、オールバーズにもショールームがあって、体験してよかったねって思ったら「オンライン注文してください」と。本当にオンラインとリアルを上手に使い分けています。

金坂:日本のD2CだとFABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)などは、まさにそのリアルでちゃんと接客して体を測って好みなどもヒヤリングして、後はもう体型変わらない限りオンラインで注文できます。圧倒的にユーザー体験を生みますよね。

小川:本間さんの家もそうだった思うのですが、リアルの場で世界観を体験してこその感動とかそれによってファンになるというのは凄いです。

山下:帰りはホテルまでテスラで送ってもらって。確かに体験しないと分からないですが、ただ照明の色が変わるとか、音楽流れるだけじゃない、重なった意味がそこにあって強烈な感動がありましたね。

本間:日本に進出する時の構想について考えているのは、まさに体験をどうやって理解していただこうかと。今は、企業のDX(※2)がどんどん進んでいってリモートワーク前提で働ける方の数がだいぶ増えている中で、考えているのは地方都市です。テクノロジーを都会のマンションに入れるだけでは、感動もバリューもないと思うので。

2 DX(デジタルトランスフォーメーション):ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念

地方都市に2030軒のスマートビレッジを作る構想で、超絶スマートで超絶かっこいい家を、土地の値段がすごく安くて、物価の安いところに作る。都心でリモートワークできる人が、行きたい家がない問題にも直面していると思うので、その問題解決ができると地方のバリュー上げることにつながるし、都会の方もQOL(※3)が上がるのに生活コストを下げることもできる。そういうことができないか考えているところです。

3  QOL(クオリティ・オブ・ライフ):一人一人の生活の質

金坂:圧倒的なブランドのファンを作るみたいなところなのでしょうね。

一人一人に寄り添う日本の工務店

山下:例えば、日本の工務店さんは、日本で家を作るフラグメント(※4)な仕様なので、町の工務店さんを集めるとほとんどの家がそうやって建てられていると思います。残念ながら、多分この瞬間、ほとんどの工務店さんに今日のセッションにあるような考え方は届けられてないと思うのです。

4 フラグメント:破片、断片

ユーザーの方がどんどん賢くなっていって、こんなことしたい、という希望に対して、分からないから提案できないし、そもそも知らない、といった形がここ数年続いていると思うのです。だからといって、工務店さんに、一緒に学んでいきましょうと言うのは簡単ですが、もうちょっと分かりやすく工務店さんを巻き込んで、底上げできるような仕組みが、日本では必要だろうとは思っていますね。

古屋:先ほど小川さんがストーリーが大事だと仰ってましたが、シナリオって一人一人、1家族1家族違うんですよね。そこにどうやって寄り添えるかっていうふうに考えると工務店さんとかいろいろなプレーヤーを巻き込んでいかないとですね。

山下:工務店さんは、実はきちんとお客様に寄り添っているんですよね。その人の意味を、意味的価値を出すために寄り添って作っているのですが、そこにテクノロジーとなると違う世界になる。そこの部分をフォローアップできる仕組みがあれば確かにいいかもしれません。

小川:そこの間を埋めるのはすごく大事ですよね。地方もそれぞれのコンテクストやストーリーがあって、デジタルが、オンラインがという話ではなく、リアルじゃないとできない体験や価値があると思います。全てがオンラインで完結するわけでもないので、うまくそこをちゃんとつなげることにすごく価値があると感じています。

金坂:住宅でいうと一人一人のストーリーに寄り添って、パーソナライズすればするほど流通価値が落ちる問題はあるのでしょうか?

山下:僕らは、「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」をミッションにしています。「素敵」というのはパーソナライズ化して、その人にとって、とてもフィットしていていいなっていう状態です。これを実現するために、とことんやるのですけど、一方、急に転勤で家を売らないといけないとか、環境が変わることもあるじゃないですか。

その時に必要なのが「かしこさ」で、他の人が欲しい、買いたいと思う「客観的価値」も合わせて重要視しています。僕達は「白い上質なシャツ=住まい」を作ろうというのがリノベーションの根本の考え方で、つまり価値が落ちにくい住宅に、ベースとなる配線配管は整えて(ここまでが白い上質なシャツ)、装飾や内装のデザインの部分、例えば時計をつけようとか、白い上質なシャツ(中古物件)ならデニムでもジャケットにも合うはずなので、両方担保できるはずだと思ってやっています。

自分なりの仮説、観点を持っておくこと

小川:新型コロナの影響でオンライン・デジタルへのシフトが加速しています。eコマースであるとか我々のゲームもそうですし、それ以外のサービスも伸びています。もちろんこれがもう少し先の視点で見たときに、コロナ禍が落ち着いた時にある程度元に戻る部分と、ニューノーマルという言葉がありましたが不可逆性を持って、戻らずに進んでいく部分があると思っています。

我々のスタートアップへの投資の観点では、これからのビジネス全般では不可逆性が強くなると考えています。なかなか不安定な状態が今も続いていますし、感染者数が増えたらロックダウンがあるのではないかという難しい状況の中で、この観点や仮説を自分なりに持っておくことはより大事になってくると思っています。

金坂:有り難うございます。最後に皆様から振り返りや視聴者の皆様へのメッセージ改めてお伺いしていければなと思います。

古屋:今日1日ずっとセッションを聞いていて、すごく勉強になったところ、自分が考えていることに共感してくださっている方がすごく多いのだなと思いました。これからLIVING TECH協会としてやらせていただく中で、いろいろなところで協業させていく機会がもっと増えればなと思います。具体的にお客様に目に見える形でご登壇いただいた皆さんや、今後協会にご参画いただく皆様と一緒にできたらなと強く思いました。有り難うございました。

山下:今日1日、有り難うございました。先ほど話しましたが、それぞれの個性というか、それぞれの人の「本当の幸せ」を考えていかなくちゃいけない時代になったのだなと。そういう時に僕たちの業界でいうと工務店さん、まさにそこを日々やっている人たちなので、彼らと一緒になって作っていくのが、まず住まいの領域では必要だろうなと感じています。そこには壁がまだまだあるので、その壁を取り払ってどうやったらさらにお客様に寄り添い、よりよい暮らしについて考え、提案していけるようにできるかを考えていくことが、協会のひとつの役割でもあるのだろうと。私たちも、いろいろな働きかけを工務店さんにしていこうと思いました。僕自身も勉強になりました。

小川:本日はどうも有り難うございました。僕自身も貴重な機会ですごく楽しく、また勉強にもなるものでした。普段は住まいとか不動産そのものとは違うエンターテイメントの業界にいるのですが、今日お話しさせていただいたみたいにやはりいろいろなところで少しずつ重なってくる部分とか、共通する部分とか出てきているのかなと思っています。

古屋さんも仰っていましたが、違う業界同士だからこそできる新しい協業の形とかそれによって何か新しい価値を生み出していくことができたら面白いなと思います。

本間:今日は本当に貴重な機会をいただきまして有り難うございました。冒頭でも話したのですけど「主役は人である」という事に尽きると思っています。今テクノロジーが人の生活を変える非常に大きなチャンスでして、特にコロナ禍でDXが進んだり、リモートワークが進んでどんどん家の中で長く時間を過ごすように人の生活が変わってきたことは、本当に新しい変化でありチャンスであると思います。

ただその時にテクノロジーだけではダメでそこに関わる作る人もそうですし、そこに暮らす人もそうですし、家族も含めて人がやっぱり幸せになるようなところを一緒に作っていきたいなと思っています。皆さん仰るように、我々もこれからも日本で活動が広がっていくと思うのでぜひご一緒させていただければと思います。

金坂:有り難うございます。まさに本間さんおっしゃったように温かみのあるテクノロジーというか、「テクノロジーが人間に寄り添うこと」がすごく求められているのだろうなと感じました。これにて「LIVING TECH Conference 2020」終了させていただきます。どうも有り難うございました。

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取材・文/堀田成敏(nh+)

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