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身体を拡張するために人類は身に纏うものとは?テクノロジーと人間の融合の先にあるもの

2021.01.21

2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」の実現を目指して住宅関連事業者やメーカー、流通・小売りに携わる企業が集い、ユーザーに心地良いスマートホームを段階的に進めていこうとしています。

2020年10月29日にはカンファレンス「LIVING TECH Conference 2020」を開催。全13セッションの中から、セッション7の内容を3回にわたって紹介します。

左から、津田啓夢さん(朝日新聞社メディアラボ所属。未来を感じる動画メディア『bouncy』編集長)、ケロッピー前田さん(身体改造ジャーナリスト)、Olga(オルガ)さん(ファッションテックデザイナー。株式会社ish代表取締役。デジタルハリウッド大学院 助教。ファッションテックラボ研究室 主宰)、山下悠一さん(株式会社ヒューマンポテンシャルラボ代表取締役CEO)


※Session 7 中編※「「ヒト×Tech」がもたらすWell-beingと人間拡張の可能性」

【前編】テクノロジーによる「人間拡張」がもたらすものとは?マイクロチップを体に埋め込むと一体何が起こるのか

テクノロジーと人間の融合の先にあるもの

津田:人間の能力を呼び覚ますことが求められているというのは、テクノロジーで人の内面をパワーアップさせるみたいなことですか?

山下:そうです。例えば僕もサラリーマンだった時期がありますけど、社会現象としてずっと肩こりのまま慢性的に頭も痛いなと思いながらも、死ぬほど仕事してコンビニ弁当を食べて、それで体を壊して鬱になったり病気になったりっていうことがあるじゃないですか。でも本来であれば身体というのはすごく精巧にできていて、しっかり身体の声とか感情とか蓋をせずに聞けば、ちゃんとパフォーマンスが最適化されるようにできているんです。

近代以降は、劇的にパフォーマンスを上げるために身体を調教してきたみたいなところがあって、その分は身体や持っている環境を一旦台無しにしながらやってきたっていう負の部分があると思うんですよね。そういった内面に気付くことがこれからはかなり重要で、本当に自分がなんのために生きているかとか何がしたいのかとか、そういったことは僕もサラリーマン時代はある意味で押し殺して生きてきたようなところがあって、そういう人たちはすごく多いんじゃないかなと思っています。そのためにも内面に気付くテクノロジーが必要なんじゃないかっていうことですね。

津田:今のお話を聞いて、ケロッピーさんは、内面を見つめる山下さんのアプローチっていうのは、どういうふうに受け取られますか?

前田:もちろんそういう部分もあると思います。テクノロジーをどういうふうに使うかっていう部分で、身体の改造のいろんな行為っていうのは、例えばピアスとかタトゥーも含めて身体改造する行為全体で言えば、もともと民族部族の成人の儀式ですから。要するに痛みの経験っていうのがイニシエーションをしましたよという証としてタトゥーの文様やピアスだった側面もあります。

もうひとつは、いまの一番新しいテクノロジーと人間が融合することができるだろうかということ。ちょっと前だったらサイエンスフィクションの話ですけど、それが可能になってきている。そこで精神的なものを含めてですが率先してやってみたいっていう人がいて、それこそ超人間になろうっていう表れなんじゃないか。だからテクノロジーの使い方は個人の自由だって僕はそう思っています。

津田:基本的に山下さんもケロッピーさんもアプローチは違うけど、個人を良くしようというようなところでは共通する考え方っていう感じですよね?

前田:そうだと思います。僕も基本的にはカウンターカルチャーの取材の中で、一番最先端のカウンターカルチャーは身体の改造だっていうことで、ずっとやってきています。マイクロチップが怖いっていう人の理由に、それで管理されるという恐怖感ってあると思います。

でも逆にテクノロジーを企業や政府などの権力が全部コントロールしてしまうのは怖いので、個人がそのテクノロジーを自由に使えるようにする。そういう意味もあって、マイクロチップや新しいテクノロジーを率先して自分の身体に埋め込んでみる人たちが生まれてきたという背景もあります。。

津田:それでいうとオルガさんがやっているファッションの分野は、カウンターカルチャーとはちょっと違うのかなって気はしますけど?

オルガ:そうですね。ファッションとカルチャーは密接に関連しています。音楽性とか社会背景とか、じつは経済とかもファッションのグルーピングにすごく役立つ。「アムラー」が流行していた時代とか、やっぱり黒族とかカラス族とかが流行していた時代は、何か民族的な繋がりをビジュアライズした感じだったんですよ。

でもいまはテクノロジーの発達とファッション業界の表現や流通は全く比例してないです。ファッション業界自体が追いつけてない。だから、すごくエッジな考え方とか作品を生み出しきれていないとは感じています。カウンターカルチャーみたいな面白いことは本当はファッション業界からズバッと出て欲しい。

山下:僕は、そこは興味深いです。要は「衣食住」って言うじゃないですか。「食」とか「住」は僕らにとってめちゃくちゃクリティカルだと思うけど、それよりも先に「衣」があるんです。これには絶対に意味があるという話を聞いたことがあります。実際、たかだか200年ぐらいで、ちょんまげの時代から軍服時代から現在のサラリーマンのネクタイ時代っていうのが時代をやっぱり象徴しているじゃないですか。

その意味でも現在の人間の意識の状態っていうものを一番表すものがファッションだろうなと思ったときに、これからの人間はどういうあり方なのかみたいなのが、まさにチャレンジしていることなのかなと。どういう姿を見せるだろうっていうのはすごく興味深い。

オルガ:これからの新人類がまとうものですね。

山下:そうです。いつもネクタイを脱いだ後に某ファストファッションとかを着る自分が何かちょっと違うなって思っちゃうんですよね。ヒートテック派じゃなくてトランステック派なので。そうなった時に何を着ればいいんだろうって。個人の時代とか自由な時代みたいな時に、まだ何を着ればいいのか僕もすごく迷っていて、人間の自由とか人間性回復って言っている人がどういう服を着ればいいのかみたいなところをオルガさんにプロデュースしてほしいな。

オルガ:全然やりますよ。

前田:あと着るスマホみたいな『Siri』に連動してしゃべって命令できる。ちょっと古い漫画だけど『ど根性ガエル』のピョン吉みたいに、Tシャツにカエルがくっついて、そのまま飛んで来ていろいろ助けてくれたりするみたいに。そういうシャツが欲しいです。

オルガ:本当ですか? やろうと思えばできちゃいますね。

前田:いつも一緒でさびしくないしね。

オルガ:たしかに。洋服は、その人の考え方とか人生の哲学的部分をビジュアライズしたものなので、自分の精神と着ているものが共鳴していないと、その人自身が自分を表現しきれていないなって違和感を感じてしまいます。私に合わないとかタイプじゃないっていうことを本人の中にすでに持っているからこそ、似合うとか違うっていう判断基準になるんです。

テクノロジーの話に戻ると、洋服を選んでいくような感覚と同じように、新しいテクノロジーと自分の精神が見合っていない、つまりテクノロジーの方が先に行っちゃって「すごいことができちゃうんだテクノロジー」みたいなときに、自分の精神が追いついていけないとお腹いっぱいになっちゃうんですよ。それが人類の発達というか成長を止めてしまうのか、あるいはその価値観を打ち破って新しくチャレンジしていかなければいけないことはたくさんあるはずだよねとなるか。そういうときにケロッピーさんみたいな象徴的な存在がいると、「ここまでやるんだ人類」みたいな感じができちゃうんですよ。ここまでやっても死なないみたいに示してくれる。

前田:まったく死なないです。調子いいです。

オルガ:そういうアイコニックな人が出てくるのは大事かもしれない。

前田:さっき言ったみたいに、マイクロチップでもちょっとは痛いし、ある種の儀式であるとも言えるから、やっぱりそれを経験した人っていうのが、ちょっとサイボーグになったなっていう実感があったりとかね。

オルガ:もう実証実験済みじゃないですか。これからもいっぱいファンクショナルになりますよね。

磁石の埋め込みで五感以上の感覚を身に着ける

前田:あと磁石を埋め込んでいるので、これもやらなきゃいけないです。

オルガ:磁石って何ですか?

前田:まだ実験段階ですけど、要するにすごく小さいけど強力な磁石をコーティングすれば、体に埋め込めて磁界を感覚的に感じることができる。日常的にはそういう機会はないかもしれないけど、身体に磁石を埋め込むことによって、今までにない感覚で磁界があることをわかることができる。

津田:どんな気持ちになるんですか? 

前田:例えば普通にパソコンやノートパソコンを使用しているとキーボードの周辺に磁界ができているんですよ。身体の中に磁石を埋め込んでいると磁界ができて、磁界があると小さい磁石が細かく振動して震える。それが触ったような感じでビーンってくるんですよね。

だからパソコンを操作しているときも、磁界があるところに手があるとビビビーンとなるので「キタキタキタ!」っていう。

津田:センサーみたいな感じですか?

前田:そうです。最近は見なくなったけど、万引き防止で出入口にゲートがあるじゃないですか。あれも相当近づかないと感じないかもしれないけど、ああいうものと一緒ですから。磁界があったら、磁石を埋め込んだところが接触するとわかる。まだ実験段階ですけど、これを使っていろいろなお遊びができる。

津田:目に見えない、これまで人間が感じられなかったところを感じられるようなことですね。

前田:そうです。将来的なことですが、目が見えない人が身体に磁石を埋め込んでいると、箱型の別の機器が必要ですけど、その機器から超音波が出て障害物があると、そこから磁場を出して障害物があることをわかるように教えてくれる。その人は磁石を埋め込んでいるので感覚的にすぐわかるし、それで障害物を避けられる。そういうふうに身体に磁石を埋め込むことで、インターフェースになるんです。

津田:埋め込んでいる人にしかわからない感覚ですね。

前田:身体の中でブーンって振動する感覚があるので、それは非常に面白いです。そういうものが世界的な動きです。そういう国際会議とかに行っていると、最先端のいろんなものに接する機会があります。

津田:確かに車のセンサーみたいなものが人に付いていてもいいわけですよね。

前田:そうですね、はい。

津田:五感以上になるんですよね。

前田:さっきの山下さんの言うところのもうちょっと直接的な人間のアップデートなわけです。

津田:ファッションテックの分野だと人の表現のところの拡張の部分なのかなって気はするんですけど、今の磁石の話は、うまくファッションに盛り込めたりとかっていう要素を感じられますか?

オルガ:磁石もそうですけど生活の中で感覚が五感以外に増えるわけですよね。それで感動してもらえるようなファンクションを作るかもしれないです。それこそ磁石だらけの洋服でも面白いですし、人間の能力がアップデートされたら、それに伴った衣類を作ります。

ケロッピーさんがどんどんいろんなものを埋め込んだら、それがさらにプラスアルファですごいですよ。そういう服にするかも知れない。そうするとケロッピーさんは、その服を着るともっと手軽に自分の能力を拡張することができて手術しなくてもね。普通の人は五感しかないから、ノーマルな状態でファンクショナルになるようなウェアラブルデバイスはありかもしれない。

後編へ続く。

取材・文/久村竜二

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