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新しい事業を作ることを目的にするのではなく、強い意思でやりたいと思うことが大切な「サービスデザイン」

2021.01.03

2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」の実現を目指して住宅関連事業者やメーカー、流通・小売りに携わる企業が集い、ユーザーに心地良いスマートホームを段階的に進めていこうとしています。

2020年10月29日にはカンファレンス「LIVING TECH Conference 2020」を開催。全13セッションの中から、セッション3の内容を3回にわたって紹介します。

登壇者:石川俊祐さん(KESIKI Inc. Partner, Design Innovation 多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム 特任准教授 / プログラムディレクター)、内永太洋さん(アクセンチュア株式会社 インタラクティブ本部 最高戦略責任者 / シリアルアントレプレナー)、町田玲子さん(株式会社小学館 DIME編集室 @DIME編集長)、川村秀憲さん(北海道大学 大学院情報科学研究科 情報理工学専攻複合情報工学講座 調和系工学研究室 教授)


※Session 3 後編※「Withコロナ時代に求められる暮らしに溶け込むサービスデザインとは?」

暮らしに溶け込むサービスデザインとは?【前編】新しいチャンスやアイデアが生まれてくる時代へ
暮らしに溶け込むサービスデザインとは?【中編】誰のためのデザインなのか?その本質が問われている

 本当に何をやりたいのか? そこに〝思い〟はあるのか?

町田(モデレーター):ユーザー目線という言葉を商品開発やサービスを生み出す場ではよく言われると思います。自分が本当に使いたいかどうかが大事だと思うんですけれど、それを形に反映するためには何が必要なんでしょうか? 強い思いでしょうか?

内永:やっぱり思いは大事ですね。新事業を作るとか新サービスを作ることが目的になってしまうっていうのは本末転倒なんです。僕は未来がこういう風になるはずだとか、そしてこういったサービスがあったら便利なんじゃないかという思いから始めるべきだと思うんです。

新事業を作らないといけないから何か考えるっていうのは結構逆かなと思います。それってやっぱりプロダクトだけじゃなくてサービスもそうなんですけど、お客さんとか利用者が、自分じゃない何かに合わせられてモノを押し付けられてフラストするケースが多いから。なんでそうなるかというと、作ったりデリバーする人に"思い"がないんですよね。

石川:何が足りないかというと、難しさも含めて自分が本当に何に対して違和感を感じていて、何をやりたいと思っているか? その思いがないと新規事業やったところでしんどい。その後の人生が大変なだけで。好きでもなく儲かるから頑張るみたいな。内永さん見てると、好きだからやり切ってる。

内永:僕、好きじゃないことって全然やれないんですよ(笑)。

石川:主観的に本当にこれがやりたいっていうことがないと、50%くらいやり切る人なのか、やり切ってくれる人なのか、投資する側の目線も半分ぐらいはそこにあると思う。

そこに思いがない場合って、瞬間風速的に市場をうまくとらえて経済的に回ることあるかもしれないけど、自分が本当にやりたいことをやっている状態は幸せだと思うので、それをどう生かすかどうか。会社の中でどう生かせる仕組みに変えるのか。その辺はなかなかチャレンジだと思います。

内永:僕自身もそうですけど、好きなことをやるって宣言をしてもですね、システムというものはそれを強烈に排除する。ただ、そのシステムを利用した方がスケールする時もあるから、総合的にデザインして実行する人や機能というものは絶対的に必要ですね。

SDGsはじめ多様性が重要

川村:今の日本的なシステムでは、物心ついてから学校に行くわけですよね。そして大学を卒業して企業に就職する。この一連のライフサイクルで、好きなことを好きにやるのって簡単じゃないですか。でも学校に入って好きなことができることって何かあったかな? と。企業に入ってとなると、ほとんどの人は何かを外からやらせられることにどっぷり浸かっていて、好きなことやっていいよっていわれてもそんなにできないと思うんですよね。

僕は大学にいて教育をする側にいますけど、割と小さい頃から好きなことを好きなようにやってきた自己意識があって、誰かにやらせられるっていうのは僕は少ないんです。大学で研究もやるし、好きなことができているという充実感がある。その中で何をするか? 自分がやって面白いこと、問題に思っていることに使いたいのです。いうのは簡単だけど、そこを変えていかないと。SDGs:(※1)もいわれてますけど、とにかく多様性が重要なんですね。

※1 SDGs:エス・ディー・ジーズ。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成される。

今AIがだんだんできることが増えてきて、みんなができることをみんなで同じ風にやろうっていうのは機械化されていく可能性がある。だけど世界中でこんな事はこの人しかできないとか、芸術とか研究もそうですけど、そういうところはAIに変える経済的なインセンティブでメリットがない。人はそこにアタックして行かなきゃいけない。

新型コロナの状況の先を考えたときに、そういう多様性をいかに作っていくのか? システムのあり方を立ち止まって考えないと、日本という国が未来に向かって進んでいかないと思います。

町田:みなさんのお話を伺っていると、今のこういう状況でちょっと昔の頃に戻ったような、やっぱり何をやりたいか?という原点。いろんな経済が大きくなっていて分散化して自分がやりたいことができなくなっている中、またそこに戻っていく好機なのかなぁと感じますね。

内永:そうですよね、全部繋がってるんじゃないですかね。満員電車と同じですよ。なんで満員電車に乗ってたっけ? ということを考えなきゃいけない。やったもん勝ちなんで、早く動ける時があればいいなぁと思います。

 新たなインフラサービスのデザインとは?

町田:今まさにその時というか、動いてる人は動いてるんでしょうからね。ここで視聴している方からの質問がございますので、読ませていただきます。公共的なインフラ企業がこうした状況下で新たなインフラサービスをデザインするとしたら何が必要でしょうか? という質問です。

川村:公共的なインフラというと交通とか電気ガス水道ですよね。生活様式が変わってくるのでそれを受け入れた上で、どうするのかっていうのを真面目に考えないと。これまで求められる事と一気に状況が変わっているので、ギャップが起きていることをまずは認識する。飛んでる飛行機は変えられないといいましたけど、そのつもりで連続的に考えていくという考えではもたないんじゃないかと気がします。

内永:SDGsの観点でどうやって永続的にエネルギー供給していくかとか。鉄道とか独占的ですけど、電力が自由化になっていろんなとこができてるじゃないですか。ちょっと意味付けが変わってきて、高い安いだけじゃなくて安定供給されているエネルギーに対する対価で払ったものが、その後どういう風に投資されているのか?

そこに必要なサービスはどうやって電力を安くしようとか、どうやってマーケティングで大量に広告を投下しようではなくて、支払われたお金をどこに投資をしてさらに生活者に還元していくかということが、特に公共インフラには求めれるかなと思ってます。

石川:公共的なインフラ企業に2、3のポイントがあると思うんですけど、いちど目的に立ち返ったほうがいいんじゃないかと思うんですよね。社会のために自分たちの規模ならではのできる価値とか、他の会社との組み方とかエンドユーザーに提供する価値って一体どういうことがあるんだろうか? と。

デザイナーをうまく活用しないといけないと思うんですよ。デザイナーでなくてもフラットにゼロから考えることができる人が組織にいないと。もうちょっと広い範囲で価値提供する視座を切り替えること大事だと思うんです。そのパーパスみたいなものも立ち帰ったり、自分たちが問いを設定したり、後はやっぱりデザインをうまくどう活用するか。広義の意味でのデザイナーを活用するのは大きな変革につながると思うんですよね。

川村:モビリティ・アズ・ア・サービス(※2)っていう言葉が出てきて、もともと別に車が欲しいわけじゃない、電車が乗りたいわけじゃない、移動目的があってそれを満たすための手段だって話がありますよね。インフラでも生活していく上で電気そのものが欲しいわけではない。それを使って生活を便利にする視点がある。○○○・アズ・ア・サービスという視点は重要かなと。

もうひとつ、我々が考えた時間軸、例えば会社の年度決算とかではなくて、社会的に地球というものを長く使っていく視点の中でサービスってどうあるべきかとか、今だけ儲かれば良いのか?便利ならいいのか? ということを考えることですね。中長期的な視点で考えてどう設計していくのかって重要かと思います。

※2 モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS):マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を ひとつのサービスとしてとらえ、シームレスに繋ぐ新たな「移動」の概念。

本当は自分がどう思うか、自分がどうなりたいかが大事

町田: 価値観を変える想像力が求められていますが、意識やきっかけをどう使っていいのか。最後に若い人たちに向けて、みなさんのご経験からアドバイスいただけますでしょうか?

内永:僕自身も常に心がけているんですけれど、自分自身が何を求めてるかというか、自分自身がどう見ているかフラットに考えて感じてそれを出していくこと。思いを出すことは勇気が必要だと思うんですけど、恐れずに出していくということを強く持ってもらいたい。そしてアウトライアー(※3)にやってもらいたいなと思います。それがバリューだから。

※3 アウトライアー:統計学において、他の値から大きく外れた値のこと。

石川:おっしゃる通りですね。多くの人たちが心配していることって自分がやっていることはそんなにスマートじゃないんじゃないか? みたいな。もしかしたら自分て大した事やってないのではという心配とか。心理的安全性って話があるんですけど、そんなにみんな、みなさんよりも物事は知ってるかもしれないけれど、そこまでの経験はないですからね。

そういう意味では失敗してもいいのでやってみるとか。自分でやりたいことをやってみるのもいいと思っていて、会社にいるうちは大体無傷で実験できる。やってみてそこから学び得ることが多いと思うので、そういうきっかけを持てるように自分で導いていくっていうのはやってもいいんじゃないでしょうか。

川村:本当は自分がどう思うか、自分がどうなりたいかが大事。もっと考えて、自分の意思を持っていろんなところを切り開けるんじゃないかと。今もこうやってネットで放送されたり、昔だったら考えられられないわけですよ。

そう考えると情報化社会になる前と言うのは個人の力を非常に弱かったし、情報の非対称性もあって、できることも小さかった。けれど、今って切り開いていくと個人で活躍してる人はいっぱいいるわけですよ。例えば、YouTuberの方とか。

個人の力って、昔に比べていろんな人が思うよりもいろんなことができて、やり方によっては本当に大きなことにつながる。そういうことをきちんと一旦自分で消化してみてまずやってみる。みんなと同じことやる必要はないってことを頭に入れてやっていくと、どんどんチャンスが出てくるんじゃないでしょうか。

町田:ありがとうございます。最後にみなさんからすごい勇気をもらえるような言葉をいただきました。

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取材・文/堀田成敏(nh+)

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