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コロナ禍で進む多拠点生活と地方創生在宅の現状とは?リモートワークにより加速する若者の多拠点志向

2020.12.29

2020年4月に発足した一般社団法人LIVING TECH協会。「人々の暮らしを、テクノロジーで豊かにする。」の実現を目指して住宅関連事業者やメーカー、流通・小売りに携わる企業が集い、まずは、ユーザーに心地良いスマートホームを段階的に進めていこうとしています。

2020年10月29日にはカンファレンス「LIVING TECH Conference 2020」を開催。全13セッションの中から、セッション1の内容を3回にわたって紹介します。

左から、池本洋一さん(株式会社リクルート住まいカンパニー 『SUUMO』編集長 兼『SUUMO』リサーチセンター長)、井上高志さん(株式会社LIFULL 代表取締役社長)、竹中貢さん(北海道上士幌町町長)、佐別當隆志さん(株式会社アドレス 代表取締役社長)


※Session1 前編※ 「「職住融合」「職住近接」という新しい暮らし方にテクノロジーはどう寄り添うべきなのか」

 地方の課題をクリアして地域活性化を目指す

池本(モデレーター):今回は、「職住融合」や「地方創生」のさまざまな新しい暮らし方にテクノロジーがどう寄り添うかということで、すでにサービスを導入している企業、逆にそのサービスを一部活用している地方自治体の町長さんをお呼びしてこのセッションをお届けしたいと思っています。

井上:皆様よろしくお願いします。私達の会社の主力事業は「LIFULL HOME'S」です。それ以外の事業としては、これから空き家がどんどん増えていくとか、地方が過疎化していくとか、そういった社会課題に対して取り組もうということで、地方にヒト・モノ・チエ・カネをグルグルと回していく地方創生事業をやっています。

その他の事業も基本的には社会課題を解決しようということをやっています。地方創生の挑戦ということで、具体的にはヒト・モノ・チエ・カネを活用していくということで国交省さんと一緒に「空き家バンク」を連携して運営し、全国で640ぐらいの自治体と連携させていただいています。人材の育成や地方の人材をマッチングさせて、地方で活躍するような方々を発掘、育成、そして採用マッチングをすることもやっています。

それからお金はですね、我々がファンドを作ったり、クラウドファンディングの形で地方にお金が回っていく仕組み作りをしています。空き家活用のプロデュースとしては、空き家を買い取って民泊に転用して、それをグループ会社の「楽天LIFULL STAY」に掲載して地域活性化に繋がるようになっています。一歩先の未来というよりは、2歩から3歩先の未来を作ろうということでLivingAnywhere Commonsというサービスもやっています。

人間は、歴史上、3つの制約にずっと縛られていると思っています。その3つの制約というのは、お金と時間と場所。この制約から人々を解放するようなことをやりたいと考えています。いろんな制限がありますけど、場所の制約でいくと電気、ガス、水道があるところじゃないと人は生きていけないという思考に縛られていますが、テクノロジーでこれをオフグリッド(*1)できますので、どこでも大丈夫だよっていうことを住宅も含めてチャレンジしています。

*1 オフグリッド電力会社からの送電線と繋がらずに、独立した電力で自立すること。

結果的に個人、企業、行政が一緒に地方創生のために動いて地域活性化が進んでいくと。それからテクノロジーは、例えば日本だけではなくて、途上国支援にも使えるわけです。アフリカで上下水道を整備するよりも、自律分散型のテクノロジーを入れて、砂漠のど真ん中でも水を生成できるみたいなことを提供すれば、途上国支援にも繋がっていきます。あとは災害対策にもなっていく。いろんなものを開拓している最中ですね。実際に、いま全国で10拠点、LivingAnywhere Commonsをどんどん開拓しています。拠点として使っているのは、基本的に遊休不動産です。廃校ですとか、企業が使わなくなった保養所、これを安くお借りして「Do IT Ourselves」で、みんなで作ろうというので、来年は25拠点、2023年には全国に100拠点を開拓していこうと考えています。

また、コロナの影響があったので、働き方がだいぶ変わってきましたよね。在宅で働くという方が増えました。ただずっと家にいるとストレスも溜まるということもあるので、ワーケーション(*2)という形で、いろんな形で企業と拠点開拓スピードを高めていって、お互いにその拠点をシェアし合いませんかということで、LivingAnywhere WORKというコンソーシアムを作りました。今、賛同団体が企業と自治体で106団体まで増えました。

*2 ワークとバケーションを組み合わせた造語。リゾート地や観光地などでリモートワークしながら休暇を楽しむライフスタイル。

ご賛同いただいた会社には、ヤフーさんや大手ゼネコンの前田建設工業さんなど。自動走行実験を一緒にやりたいと思っているヤマハ発動機さんですとか、こういったところと未来の都市を作れたならいいかなと思っています。こういう拠点が、いろんな地域に各社のサテライトオフィスができて、お互いの社員さんが利用し合っていくとセレンディピティとかWell-beingの向上やBCP(*3)のリスク分散、地域貢献の促進などいいことがいっぱいあるので、このネットワークを広げていきたいと思っています。LivingAnywhereな働く場所をどんどん増やそうというのに関しては、2021年までに賛同団体を1000団体まで増やして、全国各地にホットなスポットをどんどん皆さんと一緒に作っていきたいなと考えています。最後は、働く場所から皆さん自由になりましょうということで締めさせていただきます。

*3 BCPは、事業継続計画「Business Continuity Plan」の略称。企業が災害やシステム障害や不祥事など緊急事態が発生した時に、損害を最小限に抑えて重要な業務が継続できるように戦略を考えた計画。

池本:井上さんありがとうございました。次は、アドレスの佐別當さん、よろしくお願いします。

佐別當:ご紹介いただきましたアドレスの代表をやっている佐別當と申します。シェアリングエコノミー協会という業界団体を立ち上げて、今は住まいの分野のシェアリングというところで、月4万円で全国どこでも住み放題という多拠点居住を提供するサービスを起業して運営しております。テクノロジーが進化したことによって、いろんなものから解放されていくと思っておりまして、ひとり1住所やひとつの住まいというところから、テクノロジーを活用することにより、ひとりで複数の住所で複数の住まいが持てる社会を作りたいと。

自分の居場所といえるところが1か所とかひとつの家庭だけではなく、いろんな地域に自分の居場所ができるというところを広げたいと思って多拠点居住のサービスを提供しています。月額4万円で、いま100ヶ所以上の物件がありますが、地域の空き家を活用して、それをサブリースという形で会員さんに貸し出しをさせてもらっております。

リモートワークによって若者の多拠点志向が加速

特徴としては単なる場を提供するだけではなくて、「家守(やもり)」と呼んでいますが地域に住んでいる方々に管理者として入っていただいてます。各地域に「家守」さんがいらっしゃるので、下は20代から上は83歳になるおじいちゃんまで、その地域の交流できる方が集まるような場所を紹介していただけるというサービスになっています。

空き家は、いまの800万件から今後は2000万件に増えるという状況になってくるので、この空き家が増加するということをネガティブに捉えるのではなくて、これから空き家になる綺麗な物件も含めて有効活用していこうというので、誰もが多拠点生活ができるように、都市にも地方にも暮らす社会を作りたいなと思ってサービスを提供しています。地方移住に関しては、地方に行きたい若者たちが急増していますけど、なかなか移住定住は難しいというところもあるので、観光よりもう少し深い関わりを持つ関係人口(*3)と言われるような方々の居住になればなと思っています。

*3 そこに住んでいる「定住人口」でも観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と関わる人口を指す言葉。

新型コロナで本当に地方に行きたいという若者がまさに急増していますけど、アドレスのサービスも会員数が3倍以上のスピードで伸びている状況になっていまして、地域で都心の仕事をテレワークで実践したいという方々も増えています。特に新規入会される方の約半数が会社員で、どこでも暮らせるという形でこれまではフリーランスや自営業の方が多かったんですけど、会社員が普通にこういう生活を送り、まさに人が都市から地方へどんどん流れてきているのかなと思っています。

場所に関しては、清里のような別荘地もあれば、元民宿もあれば、北鎌倉の古民家もあればというところで、さまざまな物件が初期費用だけで敷金・礼金もなしで、光熱費やWi-Fi、家具も家電も洗濯機も食器もついているので、地域で買い物をして、みんなでご飯を作って食べるようなことが行われています。

最近は個人会員だけじゃなく法人で利用する方もいます。都心近郊から1、2時間で行ける距離が一番多いですけど、それ以外にも本当に北海道から九州までさまざまなエリアに物件が増えています。基本的には4LDK以上の1軒家タイプを中心に広げていますが、最近はシェアハウスやゲストハウスや宿泊施設の提携という形で、旅館などもコロナで稼働率が厳しい状況になっているので、個室や一部屋単位でお貸しいただいて、ホテルや旅館にも滞在できるという形にもなっています。こちらも年齢層は、20代、30代、40代が多く、直近のデータでは20代が30%を超えて一番多いという状況になっています。女性の比率は約4割で、本当に若い人たちが多拠点居住をひとつのライフスタイルとして選択しているという状況になっています。

会員同士の繋がりというところでは、オンライン上で会員の交流ができたり、シェアハウスを多拠点で使うような感覚なので、いろんな地域でいろんな会員同士が出会ったり、また再会したりと会員同士のコミュニティというところもひとつの価値になってきています。こういった移住定住ではない、多拠点居住と言うものが広がることによって、地方の選択肢や戦略のあり方という点も変わってくるかなと思っていまして。地域の方々と自然の中で遊んだり食事をしたりすることが各地域で毎日行われていますけど、そうなってくると移住定住まで行かなくても、地域と交流する方々のために、本当に都市と地方で人口をシェアするような感覚で分散型の共同体がどんどん各地域にできてくるような、そういった地域との関わり方というのを作っていければいいなと思っています。

例えば学校に関しては、地域によってはデュアルスクール制度(*4)という形で、小学生、中学生が1日から30日未満であれば、その地域の学校にも通えます。そういった子供たちもいろんな地域で学べ、仕事に関してもいろんな地域でできる。お医者さんや看護師さんなどスキルを持った人たちが病院で働きながら多拠点生活をする。そういった関係性を作るようなプラットフォームになってきているなと思っています。

*4 地方と都市の両方のよさを取り入れることができるように、地方と都市のふたつの学校をひとつの学校のように教育を受けられる学校のスタイル。

それに加えて課題となるのが交通費です。4万円で住み放題と言いながら、交通費が月10万超えてくる状況にもなってしまうので、ANAやJRと提携して、飛行機であれば月額3万円で4回飛行機に乗れるチケットを販売していただいたり、新幹線もカーシェアリングも半額以下で適用していただけるような、移動の定額制というところを目指して広げています。

自治体の課題としては、空き家の利活用ですとか関係人口は「ワーケーション」といろんなキーワードで地域が取り組まれているので、そういった地域と一緒に空き家改修の補助金を出していただいたり、空き家をご紹介いただいたり、「地域起こし協力隊」の方を「家守」として管理人に紹介いただいたりと、そういう形で連携も広がってきています。僕らとしては「地方創生」というコンセプトではなくて、都市の課題と地方の課題を同時に解決するような「全国創生」というスローガンで、本当に2030年代には500万人ぐらいの方々が、多拠点生活をしているという状況を作っていきたいと思っています。

池本:ありがとうございました。竹中町長もわざわざ北海道の上士幌町から来ていただいていますので、まず簡単に町を含めてご紹介をお願いします。

竹中:はい、ありがとうございます。こういった機会を作っていただいて、本当に嬉しく思っています。かねてから地方が都会と向き合うことを非常に大事だと思っていましたから、こういった機会があれば、私どもを知っていただく機会になるということであります。

上士幌町と言ってもご存知ない方がほとんどだと思います。十勝地方の中に位置していまして、農業、林業、そして観光が主な産業になっております。広大な土地に約5000人が暮らしておりまして、肥沃な大地で食料自給率が3500%、そして多くの雇用を生み出しているということであります。中でも酪農が盛んで、日本一広い1700ヘクタールぐらいの公共牧場があります。どれぐらい広いかというと東京ドームが358個入るということで、ここで12万トンの牛乳を生産して、12000万人にひとり当たり1リットル供給するレベルの生産だということであります。


写真のとおりですね、観光牧場になっており、夏は北海道を象徴するような景観ということで多くの観光客が来ております。

また「プラチナ構想ネットワーク」が主催した『プラチナ大賞』では、上士幌町は優秀賞として「統合的地域づくり賞」を受賞しました。日本は課題先進国というふうに言われており、少子化の問題、あるいは高齢化の問題、エネルギーの問題など、これらの課題に対して果敢に取り組んでいる自治体や企業が検証するということでありますけど、上士幌町は人口が増えているんですね。極めて珍しい事例だと、そんなふうに思っています。それからバイオマスを使ったエネルギーが自給率100%だとか、あるいはICTを積極的に活用している。(受賞は)こういったこれからの日本が進んでいくべき課題に向き合っていくというような評価だと思っています。

中編へ続く

取材・文/久村竜二

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