カーボン振動板の重低音か?高域が輝くハイブリッドか?ラディウスの完全ワイヤレスイヤホン「HP-V500BT」「HP-V700BT」買うならどっち?
2020.12.22
■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
音質最優先のラディウスから新製品登場
ラディウスから完全ワイヤレスイヤホンの新製品が発売された。ラディウスと言えばクルッと回転させるとタテ表示ができるMac用のモニターを思い出される。まあ、1992年の話なので無縁な人も多いと思うが、その後、ラディウスはオーディオ製品にも進出。真空管アンプやイヤホン、スマホ用のハイレゾ再生アプリなどを販売している。
新製品は重低音を重視したVシリーズから、ダイナミック型ドライバーを搭載した「HP-V500BT」と、BA型とダイナミック型のハイブリッド「HP-V700BT」が登場。連続再生11時間、充電時間は約2.5時間で充電ケースを使うと最大50時間再生できる。操作はタッチセンサーでおこなえる。IPX4の防滴仕様、イヤーピースにはフィット感と遮音性能を高めたディープマウントイヤーピースが付属する。
Qualcommの新世代チップ「QCC3040」を採用
BluetoothのチップにはQualcommの最新チップQCC3040を採用。接続機器側の対応が必要になるが、電波状態に応じてビットレートを自動的に変更するaptX Adaptiveと、電池寿命を伸ばし接続の安定性を向上させるTrueWireless Mirroringにも対応する。対応コーデックはSBC、AAC、aptXとaptX Adaptiveとなる。チップに合わせて徹底したアンテナ設計の検討により、音切れを抑え、どんな環境下でも安定した接続性を実現したという。
ハイブリッドのHP-V700BTは高解像度の高域が特徴
上級モデルとなるV700BTは中低域用にφ6mmのカーボンファイバードーム振動板を採用。これは内部損失の低いポリウレタン樹脂の振動板のドーム部分に厚さ75μmのカーボンファイバーペーパーを貼り付けたハイブリッド構造で、音速の速いカーボンをセンターに貼り付けることで高域特性の改善を狙っている。
さらにV700BTは中高域用に超小型BAドライバーを追加している。ラディウスのイヤホンは元々、ハイファイ指向で、解像度が高い音を再生してくれた。BAドライバーを加えることで、この特徴が強調され全てを鮮明に描ききる4Kモニターを見るかのような音になった。音の粒立ちが良く、低域は量感たっぷりに聞かせてくれる。まさに2Wayハイブリッドのお手本のような音質だ。
組み合わせるDAPによっては音のエッジが立ちすぎると思わせるほど切れ味が鋭い。音のエッジが甘めのiPhoneとの組み合わせが良かった。女性ボーカルのなめらかさを重視する人にはV500BTがオススメだ。
「HP-V700BT」はマットブラックにゴールドがあしらわれた華麗なデザインだ
単品発売もされているディープマウントイヤーピースが4サイズ付属する
HP-V500BTはなめらかで音場感に優れる
V500BTはカーボンファイバードーム振動板のドライバーのみで勝負する。フルレンジ一発なので音場感が良く楽器の位置関係などがしっかり描かれる。低音の量感が豊かで、高域はなめらかでヌケがいい。バランスのいい音で音楽のジャンルを選ばず楽しめる万能タイプと言える。
カラーは発色の鮮やかなレッドとブラックで、どちらも光沢仕上げになっている。V700BTとの違いはドライバーが1個になったことと、外音取り込み機能がないことだけで、タッチ操作やIPX4、QCC3040採用、連続再生11時間などは共通スペックのハイコスパモデルである。実勢価格約1万9800円とU2万円を実現した。
「HP-V500BT」は鳴りっぷりのいい低音が魅力、カラーは2色ある
フラットな再生音のHP-NX500BT
重低音再生を重視したVシリーズと比較するために試聴したのが、同社のリファレンスモデルとなるNXシリーズである。「HP-NX500BT」はφ9.8mmの新開発ドライバーを採用して、ワイドレンジでフラットな音を追求。解像度が高く、粒立ちのいいクッキリとした音作りで低域はタイトなため、Vシリーズを聞いてしまうと物足りない感じがするほどだ。
DAPの音の個性を楽しみたいのでイヤホンは色付けがない方がいいという人にはオススメかもしれない。モニター指向が強く、クッキリ、スッキリ、低域の量感よりもレスポンスの良さを重視した音作りだ。
写真・文/ゴン川野
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