コロナ不況の影響で、副業を始めるビジネスパーソンが急増しています。副業には「収入増」以外にも、複数のメリットがあります。そこで、副業マッチングサービス最大手のランサーズ取締役・曽根秀晶さんと、最新刊『儲かる副業図鑑 在宅勤務のスキマに始める80のシゴト』が話題の公認会計士・山田真哉さんに、「お金と副業」をテーマに対談してもらいました。
『さおだけ屋』から『オタク会計士』に転身
「YouTuber」に転身して大成功する芸能人が増えているが、その勢いはビジネスの世界にも及んでいる。「ビジネス系YouTuber」として大儲けする人や、企業のYouTubeを使ったマーケティング活用の成功事例が増え、その存在価値はますます高まっている。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(165万部)、『女子大生会計士の事件簿』(シリーズ100万部)などのミリオンヒットがある公認会計士・税理士の山田真哉さんも、副業でYouTubeを始めたひとりだ。
山田さんの『オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する』のチャンネル登録者数は短期間で15万人を突破し、「会計士YouYuber」としてナンバーワンの実績となっている。
「きっかけは私の会計・税務の仕事のお客さんでYouYubeを始める人が増え、ビジネスや収入の仕組みなどを実戦して学んでおいた方が業務の役に立つと思ったからです。
最初は反響が薄かったのですが、2年ほど前から、会計や税金、マネー関連の時事ネタを組み込んだ『生配信』を始めたところ、急に登録者数が増えました」(山田さん)
■山田真哉(やまだ・しんや)
公認会計士、税理士。1976年、神戸市生まれ。大阪大学文学部卒業後、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースなどを経て独立。『女子大生会計士の事件簿』(シリーズ100万部)、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(165万部)など、その著作活動も注目されている。YouTubeに開設した『オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する』はCH登録者数が約15万人(2020年11月時点)で、「公認会計士YouTuber」として第1位。最新刊は『儲かる副業図鑑 在宅勤務のスキマに始める80のシゴト』。
山田さんのようなYouTuberとして活躍する人だけでなく、ビジネスやエンターテインメント業界でYouTubeの存在感が高まる連れ、それに関連した副業で儲ける人も急増しているそうだ。
115万人の登録者を持つランサーズにおいても、コロナ禍の影響で「動画視聴者」が急増したためか、「動画関連」の仕事の成約件数の伸び率が圧倒的第1位となり、前年比500%ほどになっているという。
「YouTube用の動画編集を外注する企業や人が増えたことが大きな要因だと思います。伸び率2位は声優やナレーターの仕事で前年比400%超となっていますが、これも動画関連の仕事。
企業も個人も、情報発信のカタチがテキストや写真ベースのものから、動画ベースという『よりリッチなもの』へと急速に転換していることがうかがえます」(曽根さん)
情報発信は自己成長のためにも重要
年収1億円以上を稼ぐような有名カリスマYouTuberたちは、連日のように動画をアップして反響を呼んでいる。しかし、その大変さやプロとしての葛藤なども報じられており、素人が簡単にマネできるものでもない。
では、一般的なビジネスパーソンがYouTuberやインフルエンサーとして、副業で成功するためのコツなどはあるのだろうか。
「まずは自分の専門分野だったり、趣味や特技の延長で相当詳しかったりする分野を配信のテーマとして扱うのが安心です。慣れてきたら、時事ネタやトピックなどにいち早く反応し、なるべくわかりやすい解説動画などをアップできるかどうか。
ただし、見せ方や脚本、構成については自分の“型”を作り、それがその人のキャラとして受け入れられないと、なかなかチャンネル登録者数は伸びないと思います。
人気チャンネルをマネしたり、他の人のアドバイスに耳を傾けたりしながら試行錯誤しつつも、最終的には自分の番組のスタイルは自分で完成させないと、人気は長続きしないのではないでしょうか」(山田さん)
■曽根秀晶(そね・ひであき)
ランサーズ株式会社取締役、新しい働き方研究所所長。1981年、長野県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、経営コンサルタントとして20を超えるプロジェクトに従事。その後、楽天株式会社に入社し、国内の営業・事業企画の経験を経て、海外M&A・全社戦略などを担当。現在はランサーズで経営戦略の立案、新規事業の推進などの統括を務めている。
それでも、まだまだハードルは高いかもしれないが、仮にYouTuberとして成功できなかったとしても、その過程で身につけた知識やスキルを使えば、「動画編集」などの副業でも稼ぎやすくなるのは間違いない。
また、SNSも含め、自分自身で何らかの「情報発信」をしていくことは、ほかにもさまざまなメリットがあるという。
「知識や情報をアウトプットするためには、それらを整理したり、体系化したりする必要があります。これが自己の成長のためにも重要な作業なんですが、日々の忙しさに追われ、全くできていない人が多い。
SNSやYouTubeで自己発信するためには、おのずとこの作業をやることが求められ、それ自体にメリットがある。また、これらの“つながり”によって、仕事や人脈も大きく広がっていきます。
最近は会社より『個の時代』とも言われ、『マイクロ・アントレプレナー』(好きなことで稼ぐ小さな起業家)という言葉も広がっていますが、自己発信することがその第一歩だと思います」(曽根さん)
山田さんの最新刊『儲かる副業図鑑 在宅勤務のスキマに始める80のシゴト』には、副業をきかっけに独立や起業を果たすなどの成功事例も掲載されている。「マイクロ・アントレプレナー」に興味がある人は、目を通しておきたい一冊だ。
ランサーズ取締役・曽根秀晶さんと公認会計士・山田真哉さんによる「お金と副業」対談が動画でも公開されています。
次回『知識や経験の“棚卸し”で稼げ! 副業で大儲けできる「オンラインメンター」の仕事とは?』は12月24日公開予定です。
取材・文/堀田成敏(nh+)
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