
先日、エステーが実施した調査では、新型コロナの影響から「スローファッション」志向が増えている傾向が出ているという。これまでのファストファッションとはどのように違うのか。シンプルライフ研究家のマキさんに、スローファッションとは何か、無駄を増やさない服の選び方、長く服を着続けるためのメンテナンスの仕方などを教えてもらった。
コロナ感染拡大を受けて衣類に対する価値観が変化
エステーが2020年9月に実施した20歳~59歳の男女603名への「衣類への価値観に関する意識調査」の結果によると、衣類に対する価値観がコロナ前後で変化があることが分かった。
「衣類に対する価値観で最も強く当てはまるもの」についてコロナ前とコロナ後それぞれ尋ねたところ、「長く着られるようなお気に入りの服を少しだけもちたい」と考える人がコロナ前は32.7%だったところ、コロナ後は38.1%となっており、5.4ポイント増えた。
そして、従来のファストファッション志向の考え方「安くても服をたくさんもちたい」は5.8ポイント減少、「流行の服をそろえたい」は1.7%減少していた。
“服を長く楽しむ”という意味で使われる「スローファッション」を取り入れたいと思うか?という質問に対しては、20.6%が「既に取り入れている」と回答し、36.7%が「今後取り入れていきたい」と回答。実に半数以上が、コロナ禍でスローファッションに意識が向いていることが分かった。
スローファッションとは?
ところで、スローファッションとは具体的にどんなファッションなのか。これからスローファッションを追求していくためにぜひ知っておきたい。
そこで今回は、「不要なものは持たない」「不要な家事はしない」といったシンプルな暮らしを実践するシンプルライフ研究家 マキさんに、スローファッションについて解説してもらった。
【取材協力】
シンプルライフ研究家 マキさん
不要なものは持たない、不要な家事はしないシンプルな暮らしを綴ったブログ「エコナセイカツ」主宰。「しない家事」(すばる舎)など、累計発行部数は24万部を超える。全国やオンラインでの講演活動やアパレルブランドとの商品コラボなど幅広く活躍中。
https://www.econaseikatsu.com/
「“良質なものを長く着続ける”。これがスローファッションという考え方です。お気に入りの服は、特別の日のためではなく、毎日着るための服。毎日着たいと思えるくらい1枚の服に愛着を持つこと。着る自分は1人しかいません。そんなにたくさんの服を持っても袖を通す機会がなかったら服もかわいそうです」
コロナ以前は、「ファストファッション」、つまり低価格帯のトレンドのファッションを取り入れ、短い期間で楽しむといった傾向があったが、コロナで新しい生活形式となり、お出かけの機会も少なくなったことで、人に見られるより、着心地の良さや自分にとっての「お気に入り」を求める意識が高まったと考えられている。
30~40代向け!無駄な服を増やさないための服の選び方
服を複数シーズンまたぎ、長く楽しむ「スローファッション」は、服の数はそれほど必要なさそうだ。しかし、いざ実践するという場合、服選びはより慎重になる必要がありそうだ。マキさんに服選びのコツを聞いた。
「無駄な服を増やさないためには、店頭やネットで可愛い!と一目惚れした流行服より、自分のクローゼットと相談しながらよく考え、自分に似合う洋服を選ぶことが大切です。
流行を追いかけるのは外見を気にする10代~20代までで十分だと思います。30代~40代は本当に自分に似合うデザインや色を見つける期間ではないでしょうか。いつも目まぐるしくファッションをとっかえひっかえ変えるよりも、これを着ていたら、『〇〇さんっぽいよね~』という雰囲気を出していくほうが、オンリーワンで上質なオシャレになると思います。内面が充実して美しければ“いつも同じ雰囲気”ということに勇気を持てると思います。30代からは外見よりも内面を磨く、そう心がけるだけで、無駄な服は増えないと思いますよ」
長く服を着続けるためのメンテナンスの仕方
スローファッションを実践し、お気に入りの服を長く着続けるためには、服を大切にする意識も高まる。具体的にはどんなメンテナンス方法があるだろうか。
「生地の中で一番丈夫なのはリネン、麻の一種です。私はここぞという毎日着たい服はリネンの洋服を買うようにしています。お気に入りすぎて生地が薄くなってきたら、縫って補強し、色があせてきたら染め粉で染めて5年ぐらい着るようにします」
「またウールなど冬にしか着ない洋服は、『ムシューダ 防虫カバー』などの防虫カバーを使い、上手に保管することも大切です。虫食いだけでなく、ほこりやカビ、色あせも防いでくれる便利なアイテム。冬のコートはお値段が高いことが多いですから、汚れや毛玉を取りながら、時には市販の防虫剤も上手に取り入れて、お気に入りの服だからこそ長く愛してあげたいなと思います」
マキさんのように自分で縫ったり、染めたりするのも、おうち時間が増えた今の生活では楽しめそうだ。しかし時間がなく手間がかけられないという場合には、日頃からの防虫・防カビなどの予防策を行っておくことが正攻法であるようだ。
すでにスローファッションへと意識が変化している人も、これからスローファッションへと転向したいと思った人も、ぜひヒントにしてみよう。
取材・文/石原亜香利
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