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「猫は耳で考える動物」ということが証明された話

2020.12.16

猫は「耳」で考えていることが、実験で証明!

猫は、耳から得られた情報に頼って行動している?

「人は見た目9割」という言葉があるように、私たち人間は視覚からの情報をもとに、その人の中身を類推しがちな生物です。

それに対して「聞く」ということを軽視する傾向があり、「聞いて極楽、見て地獄」「百聞は一見にしかず」などのことわざがそれをあらわしていますよね。

ところが、猫の場合は逆。

視覚よりも聴覚のほうが発達しているので、耳で聞いた情報を重視してさまざまな判断をする傾向があるそうです。

これを実験により証明したのが、猫の聴覚などを研究している麻布大学特別研究員でネコ心理学者の高木佐保(たかぎ・さほ)先生。

さまざまな実験により、「猫は耳で考える動物」であることを証明しました。

最初の実験はこのように行われました

高木先生は猫が耳からの情報を頼りに、どのように思考・判断しているかを解明するために、「2カップタスク」という課題を用いた実験を行いました。

これは以下のような方法です。

・一つには食べ物を、もう一つには何も入れない2つの紙コップを用意

・食べ物が入ったカップを横に振って音を出す

・空のカップを振る様子を見せ、その反応から音から食べ物があるか類推できるかを見る

簡単なことのように思えますが、人に遺伝的に最も近いといわれているチンパンジーですら、この実験で「音がするから食べ物が入っている」と類推するのは簡単ではなく、12個体中、2個体しかクリアできなかったとか。

ちなみに同じ実験を人の幼児に行っても、この「音から物を類推できるようになる能力」が発揮されるのは、3~4歳ころ。

これは発達のかなり後期の段階だそうです。

しかし、チンパンジーではそれなりの結果が出たこの実験も、猫はまったく興味を示さず失敗(迷路の出口を探る実験でも、犬はトライしたけど、猫は興味を示さなかったという話がありますが、猫って確かにこういう実験に協力してくれなさそうですよね…)。

もうひとつの実験の結果は

そこで高木先生は、「期待違反法」という手法を使うことにしました。これは、まだ言葉が話せない乳幼児や動物などの行動から、「対象に対して何を期待していたか」を探りだす方法。

・中が見えない不透明な箱と、小さな鉄の玉を用意

・電磁石を使い、スイッチをオンにすると箱に鉄の玉がくっつくしかけをつくる

・スイッチをオフにして箱をひっくり返すと鉄の玉がゴロン!と落ちてくる

・スイッチをオンにすると、(鉄の玉は電磁石にくっついているので)箱をひっくり返しても出てこない

もし猫が、箱を横に振った時のガラガラという音で「箱の中に何かが入っているんだな」「ということは、箱を逆さにしたら、中の物が落ちてくるはず」と類推していたとしたら、予想と違った時に「あれ?」という反応を示すはずです。

それが「猫は音から、物体の存在を類推している」という証拠になるのです。

30匹の猫を対象に試したところ、予想通り、ネコは自分の予想と異なる結果のときに長く箱を見ることがわかりました。

なかには瞳孔を大きく開いて「ええ⁉」という、まるでマジックを見せられた時のような表情をする猫もいたそうです。

猫の耳には20以上の筋肉がついている

人間の聴覚の可聴域(聞こえる範囲)は、20Hzから20kHzなのに対して、猫の可聴域は48Hzから85kHz。

つまり猫には、人間には聞こえない「超音波帯域」の音が聞こえることがわかっています。

さらに、高い音だけでなく、例えば「隣の部屋の虫の足音」のようなわずかな音も聞き逃さないことがわかっています。

それだけではありません。
猫の耳には20以上の筋肉がついていて、左右それぞれに180度回転させることができます。

つまり、右の耳で前からの音を、左の耳で後ろからの音を聞くことだってできるのです。

このように聴覚がすぐれているのは、猫は本来、「薄明薄暮性」といって、朝方や夕方の薄暗い時間が活動時間であり、獲物がたてる音を頼りに狩りをする動物だからです。

私たちが美味しいものを思い浮かべる時、視覚的なイメージが浮かびますが、猫は小さな音で好物の獲物をイメージしているんです。

よく猫が、何もない一点をじっと凝視していることがありますが、これはおそらく人間には聞こえないかすかな音に反応していると考えられているのです。

そういえば、思い当たることがあります。
わが家の愛猫には大のお気に入りのソファがあり、私が座っていると怒ってどかそうとするのです。

そこで、愛猫が別の部屋にいる時にこっそり座ろうとするのですが、いつもその瞬間に、ダッシュして怒りに来る…。

「なぜ離れた部屋にいるのにわかるんだろう?」と不思議だったのですが、私がソファに座ろうとしているかすかな音から「お気に入りのソファが奪われる!」類推してるんですね…。


▲愛猫のソファに座ろうとして振り返ると、いつもこの視線…。

文・桑原恵美子(PETomorrow編集部)

構成/inox.

人間の心揺さぶる犬猫情熱記事はPETomorrow!!
https://petomorrow.jp


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