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ロボット、AI、IoTで農業を効率化するスマート農業の現状と注目の最先端技術

2020.12.13

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、デジタル活用は農業の分野にまで及んでいる。自動走行トラクターや自動田植え機、センサーによるハウス内環境のモニタリングなど、人手不足でもデジタル化、スマート化が解決する未来や、若手の参入の未来の可能性が広がってきた。

現在、スマート農業はどこまで進んでいるのか、具体的なスマート農業のソリューションをもとに紹介する。

スマート農業とは?

農林水産省が進めている「スマート農業」は、ロボット・AI・IoTなどの先端技術を用いて超省力・高品質生産を実現する新たな農業のこと。

近年、国内では農業の担い手の減少・高齢化の進行等により労働力不足が深刻な問題となっている。また平均経営耕地面積の拡大により、1人当たりの作業面積の限界を打破する技術革新が必要とされている。

そのような中、農林水産業・食品産業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題だ。

こうした背景を受け、スマート農業は次のメリットを生み出すとしている。

●農業の自動化

ロボットトラクターやスマホで操作する水田の水管理システムなどの活用で、作業を自動化し、省力化が可能となる。

●情報共有の簡易化

位置情報と連動した経営管理アプリの活用により、作業の記録をデジタル化・自動化を実現。熟練者でなくても生産活動の主体になることが可能になる。

●データの活用

ドローン・衛星によるセンシングデータや気象データのAI解析により、農作物の生育や病虫害を予測し、高度な農業経営が可能となる。

矢野経済研究所の「スマート農業に関する調査(2019年)」の結果によれば、2019年は158億円見込みだったところ、2020年度には181億円、2025年度には442億円と試算されており、今後5年間で約2.5倍に拡大することが予測されている。今後、ますますスマート農業は注目度を高めていくだろう。

スマート農業の事例

では、現在、スマート農業では具体的にどのようなことが推進されているのだろうか。すでに実施されている事例を見ていこう。

●自動走行トラクター

北海道岩見沢市では、北海道大学、ヤンマーなどが協力し、「自動走行トラクター」開発による安全性評価を行った。この「ロボットトラクター」は2018年10月に販売がスタートしている。当システムを導入することで、限られた作期の中で1人当たりの作業可能な面積が拡大し、大規模化が可能になるという。まさに省力化の典型的なスマート農業事例といえる。

また、このほかにも、目視できない条件下で、無人のロボット農機がほ場間を移動しながら、連続的かつ安全に作業できる技術を盛り込んだ農研機構、農機メーカー、北海道大学などの「無人自動走行システム」、農研機構などの「自動運転田植機」などぞくぞく開発が進んでいる。

●クラウド型営農支援サービス

国際航業株式会社は、すでに2017年10月より、人工衛星が撮影したほ場の画像を解析し、農作物の生育状況を診断・見える化してお知らせするクラウド型の営農支援サービス「天晴れ(あっぱれ)」を提供している。いつでもWeb上からオーダーでき、オーダー内容に合った衛星画像をもとにした解析結果をWeb上からダウンロードして利用できる。

解析結果では、小麦のタンパク質含有率、穂水分率、大豆の生育診断や収穫適期診断、水稲のSPAD値、タンパク含有率、穂水分率などが分かる。

このシステムを導入すると、診断レポートに基づく、ほ場ごとの状況に応じた作業計画の立案、適切なタイミングでの施肥や収穫が可能となり、高収量化、高品質化、省力化に寄与するそうだ。

●農業用アシストスーツ

農作業は体力が必要だ。高齢者や女性等の就労を支援するために、農業用アシストスーツの開発も進んでいる。例えば、東京理科大学発ベンチャーのイノフィスは、空気の力で腰の負担を軽減するアシストスーツを作った。簡単に装着でき、防水性を持ち、バッテリー不要で、-30~50度まで対応可能。中腰姿勢での作業や収穫物の持ち運びなど、様々な作業で活躍する。

いずれも興味深く、ロボットや先端技術をうまく利用しており、スマート農業化の典型的な事例といえる。

進むスマート農業の技術

ところで、新たにこんな先端技術も、スマート農業の一助となろうとしている。近年、注目の技術やサービスを3つ見ていこう。

1.バイエル クロップサイエンス社「Plantect」

先日、ボッシュのスマート農業サービス「Plantect(プランテクト)」事業を買収したバイエル クロップサイエンス社(本社:東京都千代田区)。同社は農薬・防疫用薬剤の開発、製造、輸出入および販売を事業内容とする企業で、近年、ドローンによる農薬散布など、日本の農業の持続可能な成長に貢献すべく、先進ソリューションにも取り組んでいる。

プランテクトは、ボッシュが2017年8月から販売している日本発のサービスで、センサーによってハウス栽培のハウス内環境のモニタリングのできるサービスとAIを使った病害予測サービスが利用できるものだ。ハウス栽培の収穫量向上に貢献するのを目的とする。

すでに日本国内で累計6,000台以上のセンサーなどのデバイスが導入されている。

プランテクトでは、温度湿度センサー、CO2センサー、日射センサーで収集されたデータをタブレット・スマートフォン・パソコン等で確認し、ハウス内環境の最適化に活用できる。また、独自開発のアルゴリズムにより、計測したデータから病害発生に関する要素を解析し、感染リスクを通知する仕組みもあり、あらかじめ病害対策が行える。

センサーが無線である点から、利便性の高さが注目されている。

2.農業情報ポータルアプリ「FarmChat(ファームチャット)」

株式会社ファーム・アライアンス・マネジメント(本社:東京都千代田区)は、先日、農業情報ポータルアプリ「FarmChat(ファームチャット)」の正式版をリリースすることを発表した。

同アプリは、農林水産省のスマート農業加速化実証プロジェクトである『ICT技術やAI技術等を活用した『日本一園芸産地プロジェクト(施設園芸:なす・すいか)』の実証」においてベータ版が提供されていたものだ。

このアプリは、農業者と農業に関わる事業者向けのもので、一般的なチャット機能やお知らせ機能のほか、業務改善のための調査機能、全国約1,400箇所の気象データから、自分の地域を選択していつでも手軽に地域の気象情報を整理して確認できる機能、リアルタイムの市況と値動きが確認できる機能などを備える。

情報共有や情報取得を通じて、農業従事者がより賢く効率的に農業を実施していく。それには、若手がスマホを操作しながら農業に取り組む姿がイメージされる。

3.大型栽培装置を利用した植物工場

株式会社プランテックス(本社:東京都中央区)は、2019年から東京都中央区京橋に、密閉方式の大型栽培装置を設置し、葉物野菜を生産している。すでにその野菜は東京都内の大手スーパーマーケットで販売され、多くの利用客より好評を得ているという。

同社によると、こうした植物工場は、「省スペース・省資源で農村・都市を問わず、異常気象等の外部環境に左右されることなく、食と健康と安全・安心を提供できる」能力を持ち、食糧不足や環境問題など人類が抱える諸課題の解決に貢献する可能性を持っているという。

しかし、まだ実用化して間もない植物工場の生産技術は発展途上だ。

今後は、新方式の植物工場であるマザー工場を建設・運営し、野菜の生産量を拡大すると発表している。同社は植物生産システムが、効率的かつ安定的であることを実証する。

同社の大型栽培装置を用いることで、一般的な人工光型植物工場に比べ、生産の安定性と面積あたりの生産性を同時に高めることができ、栽培装置を複数台並べることで、同一工場内で複数の栽培環境を設定できるため、一般的な人工光型植物工場では難しかった多品種栽培に対応できるという。

植物工場は未来の農業を想起できる有望な取り組みといえそうだ。

スマート農業の取り組みや技術は、ここ数年で加速している。近いうちにさらに発展が進み、若手がどんどん参入し、新しいスマートな農業のイメージが定着していくのかもしれない。その未来を垣間見た。

【参考】
農林水産省「スマート農業の展開について(2020年8月)」
矢野経済研究所「スマート農業に関する調査(2019年)」

取材・文/石原亜香利

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